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■ミクロンからキロメーターまで「運ぶ」を自動化させるヤマハ発動機
以前お伝えしたように、ヤマハ発動機は、2022年3月9日から12日まで開催された「2022国際ロボット展」に出展し、ミクロンからキロメーターまで「運ぶ(搬送)」をテーマに同社の高い技術を披露しました。
同社は、二輪車(オートバイや電動アシスト自転車)や四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークルなどの「ランドモビリティ」をはじめ、半導体製造装置や産業用ロボット、産業用無人ヘリコプターなどの「ロボティクス」など幅広い事業を展開しています。
今回のブースは、部門の垣根を越えて同社の高い技術力を広く知ってもらう場になったそうです。
●「自動搬送」テクの近未来
まず「今日から自動化」というコピーがつけられた「屋内外対応自動搬送用EV」は、工場などでの自動搬送を想定したEV。風雨に見舞われることもある屋外などの厳しい環境下でも搬送が可能なほか、傾斜や段差のある環境でも使用できます。
工事も不要で、ソフトで簡単にルート設定できるそう。ルート変更もアプリで容易にできるほか、運用サポートやサブスクリプションにすることで、導入障壁の低減が図られています。こちらは、2022年7月リリース予定。
また、工場内を自律移動する搬送用ロボットの「自律移動ロボットAFV」は、高度なロボット掃除機のようなイメージ。
20分の急速充電で4時間の連続動作が可能。周囲360度を監視し、全方向に自由自在に走行できます。コンベアでの積荷の受け渡しも可能など、停車精度などの高さも自慢です。こちらは、参考出品。
同じく参考出品の「組み立て式タフネスAGV:COW-el」は、現場の声から誕生したという無人搬送車で、従来のAGV(自動搬送装置)が苦手としていた鍛造現場などの厳しい環境下でも運用できるのが特徴です。
工場内にレールなどを埋没させる必要もなく、マッピングなどのプログラムも不要だそう。走行させたいルートは、ビニールテープを貼るだけで手軽に運用できます。
●作業ロボットも、画像解析で緻密な作業、人の腕の自在さに迫る
ロボットシステムでは、まず「3Dピッキング」の高い精度が目を惹きました。こちらも参考出品で、AI画像認識によるバラ積み部品のピッキングが可能なのが特徴です。画像解析技術によって複雑な設定がなくてもすぐに作業ができるそう。
小さな部品に対応するほか、作業ミスの防止、無価値作業の削減、人の作業の平準化に寄与します。
さらに、7軸ロボットの「協働ロボット」は、まるで人の腕のように自在に動き、7軸の採用により狭い場所での作業ができるだけでなく、低速動作に加えて高速作業も可能だそうです。こちらも参考出品。
そのほか、ラインの生産性を大きく高める「リニアコンベアモジュールLCMR200」や「タフネスロボットアーム」など高効率化を実現する幅広いソリューションが提案されていたヤマハ発動機のブースでは、多くの商談が行われるなど、モビリティとロボティクスの融合による提案は大好評だったようです。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)