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■モータースポーツプロモーターや各省庁担当者も出席
3月30日(水)に東京都千代田区永田町の衆議院第二議員会館で、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟総会が開催されました。
同連盟の加盟議員に加え、SUPER GTのプロモーターであるGTアソシエイション・坂東正明代表、全日本スーパーフォーミュラ選手権のプロモーターであるJRP日本レースプロモーション・上野禎久代表、ラリージャパン実行委員会・鈴木賢志会長、そして全日本ラリーなど国内ラリーの振興団体JRCAの長瀬務副会長など、国内モータースポーツ関係団体の代表や関係省庁の担当者が出席しました。
またSUPER GTの2021年GT300チャンピオン、SUBARU BRZ R&D SPORT・山内英輝選手、スーパーフォーミュラーチームチャンピオンのTeam IMPULから平川亮選手、KYOJO CUPから辻本始温選手など、レーシングドライバーも出席しました。
開会に先立だって事務局長の司会により、3月16日に逝去されたTEAM KUNIMITSUの高橋国光総監督への黙祷が捧げられました。
その後、冒頭のあいさつで、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟会長・古屋圭司衆議院議員は、「高橋国光さんへは春秋叙勲を出させていただこうと準備を進めておりましたが、残念ながら先日亡くなられました。そのため、死亡叙勲というかたちで協議を続けております」との説明がなされます。
●公道モータースポーツへ向けての法案を今国会での提出を目指す
その後、古谷議員や元F1ドライバー・山本左近議員より、同連盟が進めている『自動車モータースポーツの振興に関する法律案』についての進捗報告が行われました。
地域振興や観光政策の一環で、公道を使用したイベントが全国で開催されるようになりましたが、プロモートサイドから「警察との協力がうまくいかない」「林道使用許可が下りない」など、自治体との連携が取りにくいといった相談を個別に受けていたとのこと。
マラソン大会などのスポーツイベントにおける道路使用許可の権限は、地域を担当する警察署の所長に委ねられていることから、それらのルールの統一などが急務とされていました。
そのため、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟は、自動車モータースポーツ振興に支する基本法の制定を目指し調整を進め、今国会において改めて自動車モータースポーツ振興に関する法律案の議員立法での提出を検討しているとのことです。
現在も政党間で調整中であり、悲願の公道レース実現に向け、早期の法案成立を目指し、最大限の努力を続けているとの報告がされました。
またモータースポーツ業界を代表した意見として、日本モータースポーツ連絡会よりの要請をGTアソシエイション・坂東正明代表が読み上げ、「F1や鈴鹿8耐、WEC、WRCなどの世界選手権に参加する海外チームの入国制限や、入国時の隔離の緩和」について訴えました。
それについて、法務省出入国在留管理庁やスポーツ庁の担当者から答弁があるなど、普段テレビで目にする国会中継のようなやり取りが、それよりもスピーディーに行われていきます。
●カーボンニュートラル燃料の国産化要望も!
また坂東代表は、モータースポーツにおけるカーボンニュートラルの施策として、SUPER GTやスーパーフォーミュラでは2023年より合成燃料e-fuel、国内モータースポーツでの呼称はCN-fuelとなるものを使用してレースを行うことを明言。
特にSUPER GTでは、2023年に30万Lを輸入し各チームに供給するとのことです。こうした取り組みを行うことを明言した上で、カーボンニュートラルのCN-fuelの国産化を立法、行政も含めて後押ししてほしいとも要請しました。
その要請の延長で山本左近衆議院議員は、自身が視察したスーパー耐久レース開幕戦・鈴鹿での合成燃料を使用したチームの内容を紹介し、各省庁の担当者に理解と協力を求めています。
会の最後には、同議連幹事長の三原じゅん子参議院議員があいさつし、「コロナ禍による外国人ドライバーや関係者の入国問題は大変難しいテーマではあるが、日本でレースを行うためにはドライバーだけでなく、チームの関係者にも来ていただく必要がある。私たちも向こうに行ってレースをするが、向こうもこちらに来ていただくことで、お互いの質が向上する。私の方からも国の関係各所の皆さまには入管のことをくれぐれもお願いしたい。また、KYOJO CUPをはじめとした日本のレースには、議連のメンバーと一緒に今年は視察に行きたいと思っている」と述べ、海外チームの入国問題に取り組むことを明言しています。
なお、このような議員、関係省庁担当者、運営プロモーターなどが参加し、なおかつメディアに公開された総会は、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟としては初の開催であるとのことです。
こういった開かれた議論の場がもっと広がっていくことを期待します。
(写真・文:松永 和浩)