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■レクサスは米欧中で100%電気自動車になる
トヨタのプレミアムブランド「レクサス」が2021年の販売実績を発表しました。2021年1~12月の全世界販売実績は760,012台で、前年比 106%。新型コロナウイルスや半導体不足の影響が避けられない状況下において、回復基調を示しました。
主要地域別の販売実績は次のようになっています。
北米約 33.2万台(前年比 112%)
中国約 22.7万台(前年比 101%)
欧州約 7.2万台(前年比 102%)
日本約 5.1万台(前年比 104%)
中近東約 2.8万台(前年比 103%)
東アジア約 3.0万台(前年比 95%)
ほとんどの地域において前年比でプラスとなっています。モデル別では、ES、RX、UXといったハイブリッドモデルが好調で、電動車の年間販売は過去最高の約26万台(前年比 110%)に達したということです。
すでにレクサスは、2030年までにBEV(電気自動車)のフルラインナップで用意することを宣言しています。同時に、欧州、北米、中国の各市場ではBEV100%の販売とすることも発表済みです。2035年にはグローバルでBEV100%のブランドとして年間販売100万台規模になることを目指しています。
●トヨタbZ4Xのレクサス版が「RZ」
今回の発表に合わせて、レクサス初のBEV専用モデルとなる「RZ」の発売時期が2022年春になることも明らかとなりました。
車名に入っている”Z”という文字は”ZERO”を示すもので、このアルファベットは、トヨタのBEV専用ブランド「bZ」にも通じるものがあります。
実際、レクサスRZのアーキテクチャは、トヨタとスバルが共同開発するミドルサイズのBEV・SUVモデル(トヨタbZ4X/スバル・ソルテラ)と共通するe-TNGAという風に予想されています。
ハンドリングが楽しく、SUVらしい走破性も兼ね備えたアーキテクチャをベースにレクサスらしい味を加えたのがRZと予想されるわけです。今回の発表に合わせて、発表された画像には『RZ450eプロトタイプ』という車名が掲げられていました。つまり量産モデルのグレード名は「RZ450e」となることは確実です。
レクサスの電動車において3桁の数字はパフォーマンスをガソリンエンジン相当で表現しているといえますから、最低でもシステム出力は300馬力(220kW)くらいを目指していると予想されます。bZ4Xについては4WD仕様のシステム最高出力が160kWと発表されていますが、はたしてレクサス版でのパワーアップは期待できるのでしょうか。
●SDGsに関心ある層は電気自動車にも興味アリ
それはともかく、レクサスがBEV専用モデルをローンチしたとして、それは市場で受け入れられるのかは気になるところです。
その点について2021年秋に、トヨタのサブ(スク)ブランドといえるKINTOが興味深いアンケート調査の結果を発表していました。
インターネットを利用したアンケート調査の対象となったのは『現在クルマを保有しており、かつSDGsを他人に説明できるという人』550名です。
SDGsというのは2015年に国連サミットで採択されたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、人類が目指すべき目標として多方面から基準として認識されています。
そうした、いわゆる意識の高い自動車ユーザーのアンケート調査によると、現時点で保有しているクルマとしてはガソリンエンジン車が69.3%、ハイブリッド車が30.4%で、BEVを所有している人は4.5%でしかありませんでした。それでも全体よりはBEVの比率は高い傾向にありますが、まだまだガソリンエンジン車が主流です。
しかし、次に乗り換えたいクルマ(複数回答)としてBEVを挙げた人は37.8%もいたのです。ハイブリッド車の56.4%には負けていますが、ガソリンエンジン車の37.1%よりは多く、いずれにしてもSDGsを認識しているような自動車ユーザーは電動車に乗り換えようと考えている傾向が強いことは明らかです。
BEVについては、まだまだ同クラスのエンジン車と比べると高価になりがちですが、レクサスを選ぶようなユーザーは金銭的に余裕があるはずで、その意味ではBEVを買うハードルが一段低くなっているとも考えられます。
すなわち、SDGs的なマインドを持つユーザーとレクサスの親和性を高めるようなブランディングを進めることができれば、レクサスのフル電動化は順調に進んでいくといえるのかもしれません。