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■超個性派の代表選手、ダイハツ ネイキッド
80~90年代の日本車のうち、チョット変わった個性派のデザインを振り返る本シリーズ。第27回は、男性の工作心に火をつける超個性的なクリエイティブミニ、ダイハツ ネイキッドに太鼓判です。
●ボルトもヒンジもすべて機能のため
「We do COMPACT」を掲げ、「ストーリア」など個性的なクルマを送り出していたダイハツは、新たに30代の男性をターゲットにした商品を企画。1999年、バイクの構造をヒントに、まったく新しいコンセプトで登場したのが「ネイキッド」です。
「ミラ」「ムーヴ」シリーズをベースに、「タフ&シンプル」をデザインコンセプトとしたボディは、直線とフラットな面で構成された超箱型スタイル。
一方で全高を機械式パーキングに対応した1550mmに抑えるなど、基本は機能重視であることを主張します。
フロントでは、ほぼ水平まで持ち上げたフタ形のボンネットと、奥行きを持たせた丸形ランプにメッシュのグリルが立体感を演出。修理など簡易な交換を可能にした3分割バンパーは、ホイールアーチと一体型とすることで力強さも表現します。
それらフードやグリル、バンパーなどはすべて角が大きく面取りされていて、その組み合わせが強い道具感を生み出しています。同様に、Aピラーもフェンダーから続く大きな面が特徴的で、太いルーフモールとのセットが道具感をさらに際立てます。
サイドビューでは、まずアウターヒンジが目に飛び込んできますが、これは85度という大きな開口を実現するためのもの。前後で共通化されたドア自体も合理的ですが、下部をナナメにカットしたことで大きく露出したBピラーは、これもまた側面衝突性能という機能を考慮したものです。
適度な張りを持たせたフラットなドア面では、凹面のキャラクターラインと同時に、前後ドアに3本ずつ施されたナナメのラインがアクセントに。リアクオーターピラーのエアダクト風のスリットも、ここは同じくアクセントが目的のようです。
やはり平面に近いガラスのリアビューは、小型の縦型ランプも含め非常にスッキリしたもの。分厚いバンパーはフロント同様3分割としていますが、そのシンプルさもリアのスッキリ感に寄与しています。
●クルマらしい個性を追求する
8分割のパッドをイメージしたインパネは独創的で、そこに円形で統一されたメーターや空調口が並びます。センターパネルは、エクステリア同様ボルトを見せたオーディオラック風で、実際に組み替えも可能。鉄板面をあえて見せたのは、もちろん素材感の演出です。
「自由自在にクリエイティブ・カー」という商品コンセプトは、当時クルマらしい個性を追求していたダイハツらしいもの。したがって、1997年の東京モーターショーへ出品したコンセプトカーの評判により、市販化を決めたのも自然な成り行きでした。
その個性は、ドアやピラー、ボルトの露出など、いずれも機能性を明快に反映しているのが肝であり、志の高さを感じさせるところです。ただ、このクルマの2代目をどう考えていたのか、いなかったのか。そこは大いに謎ではあります。
■主要諸元 ターボGパッケージ(5MT)
形式 GF-L750S
全長 3395mm×全幅1475mm×全高1550mm
ホイールベース 2360mm
車両重量 800kg
エンジン 659cc 直列3気筒DOHC12バルブターボ
出力 64ps/6400rpm 10.9kg-m/3600rpm
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