高級外車キャデラックのヘッドライト・テールランプはどう光る?最新キャデラックXT4試乗その3/ライトと夜間走行編【新型車ねちねちチェック第8弾】

■XT4の夜間のライト性能を検証してみた

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コーナーリングランプの性能が高かったぞ!

今回はキャデラックXT4の、ヘッドライトの性能を見てみます。

走行シーンは市街地、高速道路のほか、今回はカーブの連続する山道も走ってきました。

さあ、最新ライトの性能は?

●小さな目玉で強力な光を発するLEDランプ

led head light with text
すべてがLEDとなるXT4のフロントランプの配置

XT4のヘッドランプはオールLED式。第1回でT字型と述べましたが、デイライト兼用のスモールランプはフェンダー後方からグリル側、バンパー下に向かって枝分かれしたデザインで、よく見るとまるでひらがなの「て」の字のようです。

ヘッドライトはハイ/ロー兼用のバイ・ビームタイプで、夜間走行時、「これだけのサイズなのによくこれだけ明るい光が出るな」と思ったほど小さなプロジェクターレンズが「て」の中に収められています。

「て」の「はらい」の部分はウインカーで、スイッチを入れると白からオレンジに変化して点滅。その瞬間が中のドライバーにわかろうはずはありませんが、他車から見れば「ん?」と思うところでしょう。

light switch with text
XT4のライトスイッチ

ライトスイッチはハンドル左のウインカーレバー上にあり、ポジション構成は写真のとおり。AUTO(自動点消灯)を起点に向こうまわし1段でスモール(取扱説明書上ではパーキングランプと呼称)、2段まわしでヘッドランプが追加点灯。手前まわしでPCの電源ボタンと同じりんごみたいなマーク(正式には何ていうんだ?)に合わせて手を離すと自動でAUTOに戻り、りんごとAUTOを往復させるたび、消灯とAUTOを繰り返します。

auto high-beam indicator 1 with text
IntelliBeam ONで、自動ハイビーム作動待機中を示すランプ
auto high-beam indicator 2 with text
自動ハイビーム作動中

レバー先端の銀めっきボタンは自動ハイビームのシステム起動スイッチで、いわく「IntelliBeam(インテリビーム)システム」。AUTOまたはヘッドのポジションのときに押すと自動ハイビームがスタンバイ状態となります。

作動速度は40km/h超のときで、以下のどれかの条件に入ったときにハイからローに切り替えます。

・システムが接近してくる対向車のヘッドランプ光を検知したとき。
・システムが先行車のテールランプ光を検知したとき。
・ハイビームが必要なほど周囲が明るいとき。
・車速が20km/hを下まわったとき
・ウインカーレバー先端の銀ボタンを押してインテリハイビームシステムをOFFにしたとき。

auto high-beam indicator 3
これくらい真っ暗だと確実に作動する

これは高級車に起用されている、照射範囲内にあるクルマの幻惑を避けながらハイビームにするアダプティブ式ではなく、単にハイ/ローを切り替えるにとどまるシンプル型の自動ハイビームです。このシステムは高速道路で試しましたが、はるか遠くにある先行車や対向車の小さなランプ光をヘッドランプやテールランプと認識せず、ハイビームにしたままのことがまれにありましたが、全体的には割と正しくハイ/ローを切り替えたものです。

筆者は、周囲に幻惑を与えない限り、ヘッドライトは明るければ明るいほどいいと考えているのですが、XT4のランプもなかなか強烈な光を発してくれました。

先行車も対向車も道路照明も皆無の、真っ暗な高速道路でハイビーム走行で内部照明のない標識を照らした場合、その表面からハイビーム光を発しているかのような反射光が返ってきます。つまりそれだけの照射能力をXT4は持っているというわけです。

●コーナーリングランプ

このXT4には、筆者がどのクルマにもつけるべきだと思っているコーナーリングランプがあります。夜の右左折時に進入先を照らすランプを設けるか否かが、そのクルマの開発者がどれほどユーザー思いであるかの尺度になると思っているほどで、今回XT4のライトテストの中でいちばん楽しみにしていたものでありました。かつては国産車にもコーナーリングランプを持つクルマがけっこうあったのに…

cornering lamp 1 right side off
こんなちっこいのに・・・
cornering lamp 2 right side on
強力な光を発するコーナーリングランプ。これは昼間の写真だが、夜はここから驚くほどの光を発し、広範囲を照らす。内部はどうなっているの?

さて、このコーナーリングランプは「て」の字の先の方にあります。見れば「ほんとに照らしてくれんの?」と思うほど小さいのですが、光ればこれまたなかなか強力に発光し、けっこう広範囲を照らしてくれます。

点灯条件は以下のとおりで、これらの条件がすべて揃ったときに点灯します。

・ロービーム点灯中。
・ウインカーがON、またはハンドルが旋回角度になっている。
・車速が40km/h以下である。

夜の点灯状態を外から見てみましょう。

cornering lamp 3 left side from outside off
平地での左コーナーリングランプOFF。車両左前方は真っ暗だ
cornering lamp 3 left side from outside on
ハンドル左まわしでコーナーリングランプ点灯。明るくなった!

ね、こんなちっちゃい発光部なのに、一体どんなリフレクター構造になっているのか不思議に思うほど、かなり強い光で広範囲を照らしているでしょう?

cornering lamp 5 left side from outside on
ね、かなり明るく広く照らすでしょ!
cornering lamp 4 left side from outside off
運転席ドアの外側から。

筆者はこれまで、中古で買った最終型パルサー、新車購入のU14ブルーバードに販社オプション品のコーナーリングランプをつけ、前の所有車、ティーダにはコーナーリングランプに近いAFS(アクティブアダプティブフロントライティング)付ランプの工場オプション品を漏らさず選んできましたが、それらのどれよりも明るく照らし出しています。

ティーダのAFSは、速度要件も加味しながらハンドルに連動して点灯するもので、ウインカー連動の点灯はしませんでした。コーナーリングランプは、まずはウインカーありきで点灯、副次的にハンドル連動で点灯すべきだと思っているのですが、XT4はその要件を満たしています。

ハンドル連動は、60~90度前後までまわさないと点灯しないタイプが多く、その場合は交差点の中ほどに入ってようやく進入先を照らし始めるので「遅い!」といいたくなったりするいっぽう、ハンドルを少なめに切るだけですむ大きな交差点、ゆるやかなカーブの山道では未点灯のまま進むことになるのでありがたみが薄い場合が多いのですが、XT4の場合はハンドルをたぶん10度前後傾けた程度で早々に点灯してくれるので、ほぼ進入しはじめ=曲がり始めから照らしてくれる優れた部類に入ります。

今回、このライト性能を確かめるべく、ちょっとした山道を夜に走りましたが、キツめのカーブでも大きめのカーブでもきちんと斜め前方を照らし出してくれました。

ただしもったいない点が2つ。

ひとつは速度要件がからんでいることで、速度とは無関係に点灯してほしい。車速40km/h以下での点灯となると、およそ交差点や住宅街の右左折時しか点灯チャンスがありません。いまでもかろうじてコーナーリングランプを忘れずにいるのがトヨタ&レクサス、ホンダ、ダイハツですが、トヨタ組が35km/h以下、ホンダがXT4と同じ40km/h以下の点灯に限定しています。しかし自車の斜め前方を照らしてほしいのは40km/h以上で走る幹線路や高速道路も同じで、車線変更時、ウインカー点灯とともに移りたい車線の先を照らしてくれるとありがたく思う人は多かろうと思うのです。速度制限を設けているのは法規上の問題なのかなあ? それにしては上限速度にバラツキが…

cornering lamp 7 left side from inside on
コーナーリングランプ点灯・・・ドアミラーとピラーが照射先を邪魔している。ここが解決できればすばらしい機能性を発揮してくれるだろう

もうひとつは、せっかく斜め前方を明るくしても、高めのウエストラインと太いピラー、大きめのドアミラーのせいで、照射部が運転席から見てほとんど見えないこと。太いピラーも大きいドアミラーも安全のためですから、このへん功罪相半ばなのですが、このあたりを何とか解決すれば、存在意義も格段に上がるでしょう。

それでもコーナーリングランプをつけてくれただけえらい! 国産車の多くはコーナーリングランプを廃止し、中には「いまは明るいLEDになって配光もうまくなったので、斜め前方を照らすための専用ランプは不要」としてまったくの過去もの扱いしているメーカーもあるくらいですから。

XT4のコーナーリングランプがいかに明るく広い範囲を照らす優秀なものであるか、他のシーンでの写真もたくさん撮りましたので、興味がおありの方はぜひ画像ギャラリーをごらんください。

●リヤコンビランプ

rear combi lamp with text
XT4のリヤランプ構成

リヤランプはボディ側ぶんと合わせてL字型を描くLEDタイプ。ただしL字型そのままに点灯するのはテールランプのみで、テールとは別個のストップランプ、ウインカーがボディ側に、リフレクターがリヤバンパーに設置されています。左のリフレクターの隣にはリバースランプ。

rear combi lamp rear fog lamp
リヤフォグランプはリヤバンパー右下に設置されている

右側は、同じ白なのでリバースかと思ったら実はリヤフォグランプでした。リヤフォグランプは濃霧時、ストップランプよりもさらに明るい光で後続車に自車の存在を知らせるものです。霧のない場所で使うと後続車には迷惑千万。霧の中だけで使ってください。

illumination with text
夜間の車内照明はこのようになる

最後は夜間のインテリア写真を飾っておしまいにしましょう。

前項コーナーリングランプもそうですが、ヘッドランプ、テールランプの各状態の写真も撮ってありますので、こちらもごらんになりたい方は画像ギャラリーでどうぞ。

次回はXT4の日常下での使用性をテーマにします。

(文/写真:山口尚志

【試乗車主要諸元】

■キャデラック XT4 プラチナム(左ハンドル・7BA-E2UL型・2021(令和3)年型・9AT・ステラーブラックメタリック)

●全長×全幅×全高:4605×1875×1625mm ●ホイールベース:2775mm ●トレッド 前/後:1600/1600mm ●最低地上高:-mm ●車両重量:1780kg ●乗車定員:5名 ●最小回転半径:-m ●タイヤサイズ:245/45R20 ●エンジン:LSY型(水冷直列4気筒) ●総排気量:1997cc ●圧縮比:- ●最高出力:230ps/5000rpm ●最大トルク:35.6kgm/1500-4000rpm ●燃料供給装置:電子制御燃料噴射(筒内直接噴射) ●燃料タンク容量:61L(無鉛プレミアム) ●WLTC燃料消費率(総合モード/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):-/-/-/-km/L ●JC08燃料消費率:-km/L ●サスペンション 前/後:マクファーソン式/マルチリンク式 ●ブレーキ 前/後:ディスク/ディスク ●車両本体価格:670万円(消費税込み)

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