990kg最軽量の新型NDロードスター「990S」は初代NAロードスターに通じる軽快感と価格30万円弱アップでRAYSホイールとブレンボ装備し2021年12月登場

■世界最大級のオーナーズミーティングでメーカー・マツダが新型車ロードスター「990S」を初公開

●ロードスター軽井沢ミーティング2021はコロナ禍ながら無事に開催

874台のロードスターが集まった軽井沢ミーティング2021
874台のロードスターが集まった軽井沢ミーティング2021

世界最大級に単一車種が集まるイベント、ロードスター軽井沢ミーティングは毎年5月の最終日曜日に開催されていいたものの、コロナの影響により昨年の2020年は10月に順延、今年2021年も10月24日に開催されました。

874台のロードスターが集まった軽井沢ミーティング2021
1406人が参加したロードスター軽井沢ミーティング2021

事務局によると、今回は地元からの「大丈夫か? ホントにやるのか?」といった不安の声も聞こえなかったとか。オーナーの代表たちがボランティア(運営側メンバーも入場料を払うそうです)で開催してきたミーティング、地元にも愛され根付いたイベントとして認められているのでしょう。

やや空気がひんやりとする快晴という、オープンカードライブにはうってつけの天候で開催された軽井沢ミーティング2021は、874台のロードスターと、1406名の参加者が軽井沢プリンススキー場駐車場に集結。お目当ては久しぶりに合う仲間の元気な顔を見るためもあるのでしょうが、マツダがたびたび「サプライズな出し物」を用意することが多く、ロードスター乗りでないメディア関係者の我々も注目のイベントなのです。

●足まわりの軽量と軽快を追求した990S(きゅーきゅーまるえす

ロードスターの特別仕様車「990S」
ロードスターの特別仕様車「990S」

さて、そんな今回のサプライズはコチラ! ロードスターの特別仕様車「990S」、読み方は、きゅーきゅーまるえすです!!

990Sのインスツルメントパネル
990Sのインスツルメントパネル

990Sは、「軽量で軽快な動き」が最大級の魅力とするロードスターにとって、さらなるその魅力を高めたものだそうです。

見た目にはネイビーの幌が目を引きます。インテリアでもエアコンルーバー部分にブルーの差し色を使っています。これも、軽快感をイメージしたカラーだそうです。

990Sの幌はネイビーブルー
990Sの幌はネイビーブルー
エアコンルーバーに青い差し色
エアコンルーバーに青い差し色

車名の「990」はその重量に由来します。とここで、990kgって言ったら、ベースとなる現行のSグレードとオンナジじゃん、進化でもなんでも無い…と思うのはちょっと待った!

軽量なRAYS(レイズ)ホイール
軽量なRAYS(レイズ)ホイール

RAYSのホイールで800g×4本、ブレーキ関係はローターが大きくなってるもののブレンボのキャリパーはアルミのためトータルではノーマルのSグレードに比べての軽量化となっています。

ブラックのキャリパーにブルーのブレンボロゴ
ブラックのキャリパーにブルーのブレンボロゴ

つまり、全体での重量減はスペックに現れない(国土交通省への重量の届け出が10kg単位のため)ですが、いわゆる軽量化が10倍となって現れるという「バネ下」の重さを軽減したことで、軽快さへの影響は10倍となって返ってきている(!?)、というわけです。

足まわりを軽快にして次にやることと言えば、サスペンションのセッティングです。ベースのSを選んだのにはもうひとつの理由として、デフがLSDでないオープンデフ、リヤスタビ無しというシンプルな構成もプリミティブな楽しみを与えてくれるクルマとして重要視されます。基本的にはスプリングはやや硬めにし、その分ダンパーの減衰は下げたそうで、おかげで乗り心地は良くなり、街中での走りに気持ちよさが増しているといいます。EPS(電動パワーステアリング)のセッティングも、アシストを強める方向で現行と同じようなフィーリングになるよう見直しているそうで、狙いは大きく変えていないとのことです。

ところで、リヤスタビのないモデルで大きくバンプしたときなどの走りに不安はないのかが気になるところ。この対策の一つとして車両姿勢安定化制御(世間ではKPCとも呼ばれていますが、当日メーカーサイドはその名称は言及していません)です。

ロードスターの走りイメージ
ロードスターの走りイメージ

KPC(と、ここでは言っちゃいます)はコーナリング時のリヤ内側が浮いた状態になると、その車輪のブレーキをちょんとつまむことによって、車体をほんの少し沈み込ませ安定を増すのだそうです。ブレーキを掛けるというとサーキットタイムなどではマイナスなのでは?と思われそうですが、走行抵抗になって速度を落とすほどではなく、逆に不安が減って一般のドライバーであればラップタイムも上がるくらいだと言います。

またLSDも速く走る車両に必須アイテムのように言われますが、そもそもLSDはコーナリング途中からの駆動輪が空転することによるロスを減らすためのものですが、この効果というか影響は減速時にも現れ、減速しながらのコーナリングの気持ちよさはLSDなしのほうが上であるとのことです。

ベースとなるロードスターSグレード
ベースとなるロードスターSグレード

ロードスター主査の齋藤茂樹氏によると、「ロードスターの魅力は色々あって、『デザインが好き』『オープンが好き』とか選ぶ理由もいろいろあると思うんですが、『純粋に運転が好きだからロードスターを選ぶ』というかたに乗っていただきたいですね。それもサーキットや山を汗をかきながら走るのが楽しいというより、街中でも普段の使い方で楽しみたいという人に向いていると思います。私も買います!(笑)」

●価格はSグレードの30万円弱アップか?

公式発表は12月で、価格も公式発表はされてませんが、すでにディーラーでは注文を受け付けており、Sグレードに比べ30万円弱のアップだと噂されています。RAYSのホイールとブレンボ代と考えればリーズナブルだし、もっともNAロードスターの軽快感に近いのが990Sと言いますから、それだけでも魅力的なのではないでしょうか。

990Sは限定車ではなく他のカタログモデルと同じような特別仕様車ですが、半導体不足や東南アジアなどのサプライヤからの部品供給遅れなど、自動車を生産するのが簡単ではない昨今、気になるようでしたら正式発表前にディーラーで様子を聞いたほうが無難だと思われます。

(文・写真:クリッカー編集長 小林 和久

●マツダ・ロードスター990S[特別仕様車]SPECIFICAION

車名・型式  マツダ・5BA-ND5RC
全長×全幅×全高 3915×1735×1235mm
ホイールベース 2310mm
乗車定員 2名
車両重量 990kg
タイヤサイズ 195/50R16
サスペンション フロント/ダブルウィッシュボーン式・リヤ/マルチリンク式
ブレーキ フロント/ベンチレーテッドディスク・リヤ/ディスク
原動機(エンジン)タイプ SKYACTIV-G 1.5
原動機(エンジン)種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
エンジン総排気量 1.496L
最高出力 97 kW〈132PS〉/7,000rpm
最大トルク 152N・m〈15.5kgf・m〉/4,500rpm
使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
タンク容量 40L
WLTCモード燃費 未定
価格 未定

ロードスター990Sスペック
ロードスター990Sスペック

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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