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■運転支援機能付きのクルマに関するアンケート
近年、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置など、交通事故の低減や運転中の疲労軽減などをサポートする先進の運転支援システムを搭載するクルマが増えています。かつては高級車など一部の車種にしか採用されていませんでしたが、最近は軽自動車やコンパクトカーなどにも搭載されるようになり、徐々に身近な機能となってきていますよね。
では、実際に、一般ユーザーはどれくらい運転支援システム搭載車に乗ったことがあるのでしょうか? また、乗った人の中には、どういった状況で機能を作動させることが多いのでしょうか?
時間貸し駐車場タイムズなどを運営するパーク24では、同社が運営するドライバー向け会員制サービス「タイムズクラブ」の会員6816人を対象とした、「運転支援機能付きのクルマ」に関するアンケートを実施。
その結果、実際に運転した経験がある人は全体の33%で、作動させた状況で最も多いのは「駐車時」であることが分かりました。
●運転経験者は3人に1人
今回の調査は、2021年2月15日〜2月21日の期間、非公開のインターネットによりアンケート形式で行われたものです。
まず、「運転支援機能付きのクルマを運転したことがありますか? 」という質問に対し、「ある」と答えた人は前述の通り33%。クルマへの運転支援機能の装着率は年々上がっているものの、実際に運転したことがある人はまだ3人に1人程度の割合のようです。
また、この結果を年代別に見てみると、20代以下が40%で最多に。一般的に全年代の中で20代以下のクルマ保有率は最も低い傾向にありますが、アンケートを実施したパーク24が運営するカーシェアリングサービス「タイムズカー」の会員比率では、20代以下が8割を超えるといいます。
そのため、今回の調査では、20代以下でもカーシェアを利用するなどで、運転支援機能付きのクルマを運転した経験者が多い結果となったようです。
●「駐車する時」が52%で半数以上
次に、調査では、運転支援機能付きのクルマを運転したことが「ある」と回答した人に、搭載されていた機能について質問しています。その結果は、衝突被害軽減ブレーキなどの「前方衝突防止機能」が85%で最多に。
以降は、高速道路などで車線をはみ出さないよう警告を出したりハンドルをアシストする「車線逸脱防止機能」81%、駐車時などに障害物があると警報などを出す「障害物センサー機能」66%、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などの「適切な車間距離を保って追随する機能」53%と続きます。
また、同じ人たちに、運転支援機能が作動、または使用したことがあるかについて聞いたところ、「ある」と答えた人は81%、「ない」と答えた人は19%で、多くの人が機能を経験しています。
さらに、どんな状況で作動や使用したかについては、「駐車する時」が52%で半数を超える結果に。次いで、「渋滞にはまった時」27%、「周囲の確認を怠った時」23%、「わき見をしていた時」21%となっています。
ちなみに、同社が2020年9月に実施した「苦手な運転技能」に関するアンケートでは、5051名中で駐車が苦手な人が29%で最多でした。それから類推すると、最も苦手な駐車時に、運転支援機能のサポートを受ける人が多いのかもしれません。
●運転支援機能付きのクルマの購入希望は?
調査では、運転支援機能付きのクルマを購入したいかどうかも質問。
結果は、「購入したい」と答えた人は全体の52%。なお、購入したいと答えた人の中で、運転支援機能付きのクルマを運転したことがある人は79%で、運転したことがない人に比べ30ポイント以上比率が高くなっています。
一方、運転支援機能付きのクルマを運転したことがない人の57%は「購入したくない」と回答。これについて、パーク24は「機能の利便性や安全性を実際に体験することが購入意欲に繋がっている」と分析しています。
また、クルマ保有者の中では、半数以上が、運転支援機能付きのクルマを「購入したい」と回答。さらに、非保有者でも、クルマの購入を検討中の人は60%が「購入したい」と考えていることも分かっています。
ほかにも、今回の調査では、将来クルマに付けたいと思う運転支援機能についても質問。1位は「前方衝突防止機能」の88%、2位は「後方衝突防止機能」73%、3位は「適切な車間距離を保って追随する機能」69%と続きます。
さらに、運転支援機能付きのクルマをすでに保有している人へ、クルマに搭載されている機能についても聞いています。
結果は、「前方衝突防止機能」が94%で最多。以降は「車線逸脱防止機能」84%、「適切な車間距離を保って追随する機能」72%、「障害物センサー機能」70%と続いています。
今回調査を行ったパーク24の調べによると、2019年の新車販売に占める「衝突被害軽減ブレーキ」と「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」の普及率は「8割を超えている(出典:国土交通省ー車両安全対策の実施状況)」といいます。
ただし、同社では、「支援機能の搭載が普及していくことによって、交通事故を未然に防ぐ可能性を高める一方で、搭載されている機能に対する過信や誤用から事故が起きてしまうこともあるようです。あくまでも、運転支援機能は運転をサポートする機能です。機能に頼りすぎず、安全運転を心がけましょう」と注意喚起しています。
2021年11月から販売される新型車には、衝突被害軽減ブレーキ搭載が義務化されるなどで、さらに普及が進む運転支援システム。また、機能も年々進化していますが、確実に作動するには速度や天候など一定の条件があったり、車種によっても差があります。
運転支援システム搭載車に乗る場合は、そのクルマが実際にどんなときに運転をサポートしてくれるのか、十分に把握して乗ることも必要なようです。
(文:平塚直樹)