■次期マカンは100%電気自動車となって2023年デビュー! エンジン版の後継モデルは2021年に登場予定
ポルシェ・マカンといえば、ハイパフォーマンスSUVの代名詞的モデル「カイエン」の弟分にあたりミドル級SUVですが、その次世代モデルについての情報がポルシェより発表されています。
いよいよ市販に向けて、カモフラージュしたプロトタイプによる実走行テストが始まったという次期マカンの発売時期は2023年、そのパワーソースは100%エレクトリック。つまり次世代マカンはEV、電気自動車になるというわけです。
ポルシェの電気自動車といえば、すでに4ドアモデル「タイカン」が存在していますが、次期マカンの電動アーキテクチャはタイカン譲りとなることもアナウンスされました。
800Vアーキテクチャによるパフォーマンスは、航続距離性能なども含めて、マカンの属するセグメントにおいて最高のパフォーマンスを期待できるともアピールしています。
とはいえ、プラットフォームまでもタイカンと共通というわけではありません。次世代マカンは、プレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)によるポルシェ最初のフル電動モデルとなるといいます。つまり、シャシーの開発はゼロベースで行っているというわけです。
そんな走りの磨き込みにおいても、電動化時代に見合った手法をとっているのが次期マカンの特徴です。つまり、環境負荷の低い方法を採用しているのです。
一般に、走り味の作り込みというと、テストコースや公道など様々なシチュエーションを走ることで作り上げていくイメージがあります。実際、次期マカンにおいても世界中の道を300万kmも走行するテストプログラムが予定されているといいますが、その前にデジタルによる開発を進めることで開発スケジュールの短縮とコストダウン、そして環境負荷の軽減を実現しているというのもセールスポイントのひとつとなっています。
このようにコンピュータシミュレーションによるデジタルプロトタイプを活用しているのがエアロダイナミクスチームだといいます。航続距離が大きな課題となる電気自動車においては無駄な空気抵抗は少しでも減らす必要があります。デジタルプロトタイプでは、冷却ダクトの形状などディテールまで作り込むことが可能となっているといいます。
合わせて、温度管理についてもシミュレーションされたということです。エンジン車と電気自動車では温度管理の感覚がまったく異なります。エンジンの適温というのは90~120度の範囲になりますが、モーターやバッテリー、インバーターなどの適温は20~70度となっているからです。
こうした温度管理に必要なテストもデジタルプロトタイプを用いた仮想空間で進めてきたことは、開発速度のアップにつながっているはずです。
そのほか、コクピットにおける視認性やユーザーインターフェースの使い勝手などもデジタルプロトタイプで進めてきたといいます。そうして完成度を上げ、手作りされたプロトタイプがこのたび世界中の道を使う実走行テストに出発したというわけです。
こうして2023年のローンチを目指して、電気自動車となる次期マカンの開発は最終フェイズに向かっているのです。
さらに注目すべき情報も発表されました。
欧州など地域によっては次世代車は電気自動車一択といえる状況ですが、グローバルにみるとまだまだエンジン車を求める市場も存在しています。そこでポルシェでは、エンジンを搭載したマカン後継モデルを2021年中に発表するということです。
すなわちマカンは次世代モデルにおいて、100%電気自動車と従来の流れを汲むエンジン車へと分かれるというわけです。
エンジン車と電気自動車の両方に、マカンという名前が与えられるのか、はたまた何らかの区別をするのかなどは未公表ですが、市場の価値観がグローバルでばらついている状況に合わせて柔軟な対応をするというのがポルシェの判断。はたして日本市場では、どちらのマカンが中心となるのでしょうか。