メンバーが固定化されているだろうから、そんなに変わったところはないだろうなと思いながら足を運んだ第3回EV・HEV駆動システム技術展で、とても楽しげなシニアカーを見つけたのでリポートします。
この展示会は、“オートモーティブワールド2012”という大きな展示会の一部で、他にはこのショーの元になった第4回国際カーエレクトロニクス技術展(通称:カーエレJAPAN)、第2回クルマの軽量化技術展があります。元々は一つの展示会だったのですが、カーエレJAPANから毎年スピンオフさせているため、開催回数が異なります。
さてこのシニアカーです(余談ですが、一般的に使われている“セニアカー”はスズキの商標で、一般名称としては“シニアカー”と呼びます)。
まず色がいい。
地味な色合いになりがちなこのカテゴリーの電動カーですが、とてもカラフルで楽しげ。この標準色以外にグリーン、イエローがあるのですが、どれもパステル調でいい色。見ているだけで出かけたくなるんじゃないでしょうか。
またこの色は目立つので、路上での非視認性も高く安全面でも効果があるでしょう。
初めて見た時、エブリデイ・コムスと見間違えたのですが、全て自社開発のオリジナルだそうです。車体だけでなく、電動機、バッテリーなども全て自社開発。バッテリーや電動機などの製造は中国の協力会社に委託してはいるものの、全て自社でまかなっているとのこと。
なぜそんなことができるかと言えば、この会社が農機具メーカーだから。不勉強のため知りませんでしたが、その世界では知られた存在のようです。
販売も、農機具チャネルに乗せているから売れやすく、またそちらでのブランド力があるため受け入れられやすいこともあって発売以来200台以上の実績があるとのこと。
開発も、「シニアカーじゃものたらん。築水さん作ってくれんかね?」というニーズから始まったと言います。
充電は家庭用100Vから行います。完全放電から満充電までは約8時間。
ビールケース1箱がすっぽり入る貨物室。軽トラックのように開くこれは“ひくてあまた”という名前がつけられている。ふたを閉めれば上にも荷物が載せられる。フックもついているので落ちないようにきっちり縛ることができます。
話を聞きながら急速に興味がわき、前のめりになってきたころに本業の農機具のカタログを見せてもらいました。これがまた見てビックリ!
これが農機具のカタログ???というほど意外性のある表紙。
常識を打ち破る農機具のカラフルさにも驚きましたが、そのネーミングに大笑いしました。
緑地管理や草刈り作業用の“ブッシュカッター・ジョージ”、充電式草刈り機“軽井枝婦人”、マルチ電動カート“ついてくるか~い”、立ち乗り型マルチ電動カート“立ち乗りひろしです”、乗用クローラ運搬車“天城越え”、後押し三輪車“こまわりくん”等々。
“おでかけですカー”のカタログを見直すと、液晶メーター“シンパイムヨウ”(あとどれだけ走行できるかの心配を解消する)、減速時に自動的に充電し走行距離を伸ばす“キシカイセイ”機能など、これまた笑えるネーミングが並んでいます。
これらは全て社長が考えているらしいのですが、とても本人に会いたくなってきました。きっと農機具買う人たちも笑いが絶えないでしょう。会社の中もきっと楽しいんじゃないでしょうか?
こんなクルマが玄関に置いてあれば、出不精なお年寄りも元気になってついつい出かけたくなってしまうかもしれません。
これでお出かけしている人に出会ったら、まさしく「おでかけですカー?」と声をかけたくなりますね。
原付免許で乗れるこの電動四輪バイクのスペックはこちら。
種別: 原動機付自転車(4輪)
車名: おでかけですカー(ZAD-EJ50C)
車両全長: 1,950mm
車両全幅: 790mm
車両全高: 1,755mm
車両全量: 235kg
乗車定員: 1人
最高速度: 23km / h
一充電走行距離: 30km
電動機種類: 無整流子電動機
電池種類: 密閉型鉛畜電池
一般充電 / 電圧(h / v): 10h / AC100V
急速充電 / 電圧(分): –
車両本体価格(円) ※税抜き価格: 57万円
補助金上限額(円): 3万円
(株)筑水キャニコム:http://www.canycom.jp/
(Autanacar)