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■12ヶ月および24ヶ月ごとに主要箇所を点検
●実施しなくても罰則はないが、故障なく安全に走行するためには不可欠な点検
バイクの点検には、ユーザー自身が行う日常点検と定期的に実施する法定12ヶ月および24ヶ月点検があります。法定点検は、バイクが故障なく安全に走行できるように定期的にチェックし、必要に応じて整備するのが目的です。
道路運送車両法で実施が義務付けられている法定12ヶ月および24ヶ月点検について、解説していきます。
●法定点検とは
道路運送車両法によって、バイクにはユーザー自身が行う日常点検と法定12ヶ月および24ヶ月点検、さらに排気量250cc超バイクには車検の実施が定められています。
法定点検の目的は、主要部品の消耗具合や劣化の程度を確認し、問題があればトラブルが起きないように部品の交換や調整を実施することです。故障やトラブルの発生を未然に防ぎ、性能を維持するのが目的で「予防整備」とも呼ばれます。
ユーザー自身が常日頃から行う簡単な日常点検に対し、法定点検は点検項目が多い本格的な点検です。車検の必要がない250cc以下のバイクも含め、すべてのバイクは実施しなければいけません。
●車検との違い
車検については別頁で詳細に解説しますが、バイクが公道を走行する際に安全対応技術や環境対応技術が、保安基準に適合しているかを検査する制度です。ただし、排気量が250cc以下のバイクには義務付けられていません。
なお車検を実施してないバイクは、当然ながら公道を走行できません。実施しないと、6ヶ月以下の懲役また30万以下の罰金が科せられます。もし車検を実施せずに公道を走行すると、運転免許停止処分となり厳しい罰則が与えられます。
●法定点検の点検項目
法定点検は、点検項目が多く専門知識や技術が必要なので、通常はバイクショップのサービスや整備業者に依頼します。12ヶ月点検は33項目、24ヶ月点検は12ヶ月点検の項目に追加して52項目の点検が行われます。
通常250cc超のバイクの法定24ヶ月点検は、2年ごとの車検と合わせて実施されます。
具体的な点検項目は、次の通りです。
・舵取り装置(ステアリング)
ハンドル操作具合、フロントフォークのステアリング・ステムの軸受け部のガタなど
・制動装置(ブレーキ)
ブレーキ・ペダルおよびブレーキ・レバーの効き具合、マスター・シリンダーおよびキャリパーの液漏れや摩耗、ブレーキ・ドラムおよびディスクの摩耗や損傷など
・走行装置(タイヤ/ホイール)
タイヤの状態、ホイールベアリングのガタ、ホイール・ナットおよびボルトの緩みなど
・緩衝装置(サスペンション)
サスペンション・アームのガタや損傷、ショック・アブソーバーの油漏れや損傷など
・動力伝達装置(ドライブトレイン)
クラッチレバーの遊び、トランスミッションの油漏れ、プロペラシャフトおよびドライブシャフトの継ぎ手のガタ、チェーンの緩み、ドライブ・ベルトの摩耗や損傷など
・電気装置(電装)
点火プラグの状態、バッテリーターミナル部の接続状態、電気配線の緩みや損傷など
・原動機(エンジン)
低速および加速の状態、排気ガスの状態、油漏れ、燃料漏れ、水漏れなど
・ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置
ブローバイガス還元装置の配管損傷、燃料蒸散ガス排出抑制装置の配管の損傷や詰まり
・エキゾースト・パイプおよびマフラ
取り付けの緩みや損傷、マフラの機能
・フレーム
緩みおよび損傷
12ヶ月点検の費用は、バイクの種類や業者によって異なりますが、125cc以下の原付が1万円前後、126cc~250ccのバイクが1万3000円前後、251cc以上のバイクが1万7000円前後が目安です。24ヶ月点検は、点検項目が多いので多少料金が上がります。
法定点検は、クルマが故障なく走行できるかを確認して、未然に事故や故障を防いで性能を維持するのが目的です。実施しなくても刑罰規定はありませんが、万一故障や不具合が発生しても、法定点検を実施してないとメーカー保証が受けられない場合があるので要注意です。
(Mr.ソラン)