■高速道路を最も得意とするジャストサイズSUV
フォルクスワーゲンの新型SUVのT-Roc(Tロック)は、全長4240×全幅1825×全高1590mmというスリーサイズで、Cセグメント級のSUV。
T-Cross(Tクロス)の全長4115×全幅1760×全高1580mm、Tiguan(ティグアン)の全長4500×全幅1840〜1860×全高1675mmと比べると、少しT-Cross寄りのサイズではあるものの、Tクロスとティグアンの中間を埋めるモデルになっています。
Tクロスでは少し小さめ、あるいはティグアンでは大きすぎる、という方に最適なサイズになっています。
今回試乗したのは「T-Roc TDI R-Line」。導入時点でT-Rocのパワートレーンは2.0Lのディーゼルエンジンのみ。兄貴分のティグアンにディーゼルエンジンが追加されて以来、ディーゼルの人気が高まっているからだそうで、今後ガソリンエンジン車が導入されるかは分かりません。
なお、ティグアンはディーゼル+4WDの組み合わせが人気で、T-Rocは現時点でFFのみ。T-Rocにも4WDが設定されるかは、今後の市場からのニーズ、動向次第ということのようです。
●ディーゼルターボらしいトルクフルな走り
DPF型の2.0L TDI(ディーゼルターボ)は、150PS/3500-4000rpm・340Nm/1750-3000rpm。スペックはティグアンの2.0Lディーゼルターボと同値です。
T-Rocの車両重量1430kgに対してティグアンは1730kgですから、その差は300kgもあります。大人4〜5人分もティグアンよりも軽いこともあり、発進時から十分なトルク感があり、高速域のパンチ力も常用域であればまさに必要十分で、軽さの恩恵を存分に抱かせます。
一方で、車重が軽い分か街中ではヒョコヒョコとした乗り心地に終始し、ピタッと収まってくるのは高速道路で流れを乗ったくらいの速度域。組み合わされるトランスミッションは、7速DSG。極低速域でのマナーも登場時よりもかなり改善していて、スムーズさが増している印象です。
「TDI R-Line」には、アダプティブシャーシコントロールの「DCC」が標準装備されていますので、「コンフォート」にすると、中低速域を中心とした揺すぶられる感じは少し穏やかになります。「スポーツ」モードはかなり引き締まっています。それでもフォルクスワーゲンらしいボディ剛性感の高さにかなり救われている印象を受けます。
試乗車のタイヤはブリヂストンの「ポテンザS001」で、サイズは225/40R19。「TDI Style」は215/60R16、「TDI Style Design Package」は215/55R17、「TDI Sport」は215/50R18。
試乗した「TDI R-Line」は、専用エクステリアによるスポーティな見た目が魅力である一方で、乗り心地もそれなりに硬くなっています。
T-Rocが最も得意とするのは、高速道路を中心とするロングクルージングで、2.0Lディーゼルターボは100km/h巡航時は1500rpm程度。
直進安定性の高さ、高速旋回時のスタビリティの安定感も見事で、ロングドライブを苦にしない、ジャストサイズのSUVを探しているのであれば、選択肢に入れたいところです。
(文/写真 塚田勝弘)