ホンダの二輪部門が過去最高の営業利益率を達成も、電動化に向け心配なことは……?【バイクのコラム】

■第3四半期累計の営業利益は二輪だけで4115億円

本田技研工業 2023年度 第3四半期 決算説明会 プレゼンテーション資料より抜粋
本田技研工業 2023年度 第3四半期 決算説明会 プレゼンテーション資料より抜粋

2024年2月8日、本田技研工業(以下ホンダ)は『2023年度 第3四半期決算および通期業績見通し』を発表しました。

ホンダ全体としての第3四半期累計(4-12月)の実績は、営業利益1兆763億円 ・ 営業利益率7.2%という好調な数字でした。

2023年度通期での見通しは営業利益1兆2500億円・営業利益率6.2%とアナウンスされました。前年度実績が7807億円・4.6%ですから、コロナ禍を乗り越え、ホンダの収益体質は強化されてきているというわけです。

なかでも収益性に優れているのが二輪事業です。これまでもホンダの二輪部門は高い営業利益率を誇っていることで知られていましたが、2023年度 第3四半期累計の二輪部門の営業利益は4115億円、営業利益率は17.5%と過去最高となっています。

二輪では世界トップシェアを誇るホンダは、しっかりと稼げる事業にもなっているのでした。

●四輪部門の営業利益率は大幅改善の4.6%

本田技研工業 2023年度 第3四半期 決算説明会 プレゼンテーション資料より抜粋
本田技研工業 2023年度 第3四半期 決算説明会 プレゼンテーション資料より抜粋

ちなみに、同期における四輪事業の営業利益は4605億円、営業利益率4.6%となっています。

いうまでもなく、大筋としては四輪のほうが車両価格が高いものですから、売上高でみるとホンダは四輪メーカーといえます。しかし、意外かもしれませんが、営業利益でいえば二輪と四輪は同等の事業規模だったりするのです。

もっとも、これまでホンダの四輪事業は営業利益率の低さが課題でした。実際、前年同期の四輪部門の営業利益率は1.4%と自動車メーカーの中でも最下位グループに属するもので、4%台の利益率はずいぶんと体質改善が進んだことを感じさせます。

それ以上にホンダの二輪部門は利益を出す体制が出来上がっているのです。

●電動化が進む2030年以降はどうなる?

世界に羽ばたくホンダの姿を示す「ウイングマーク」はホンダ二輪車の象徴だ
世界に羽ばたくホンダの姿を示す「ウイングマーク」はホンダ二輪車の象徴

ところで、ホンダは企業全体として「2050年にすべての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラル」を目指していますが、二輪事業においていえば、製品のゼロエミッション化を進めるということになります。具体的には、二輪のような小型モビリティにおいては電動化が基本路線になるといえるでしょう。

すでに発表されている電動二輪のロードマップとしては、2025年までに10モデル以上の電動二輪をローンチ、2030年までには電動モデルのラインナップを30車種へ増やし400万台を販売(グローバル目標)、電動二輪事業の本格拡大期にするとなっています。

ここで心配なのは、エンジンから電気モーターへパワートレインが変化したときに、いまの”儲かる事業体質”を守っていけるのかどうか。ホンダの経営陣、二輪事業に関わる人々からすれば、”そんなことは百も承知”なのでしょうけれど…。

ホンダの二輪部門がトップであり続けることは、ホンダ二輪の象徴たるウイングマークのファンが期待していることでしょう。いまが、しっかりとした収益体質であるだけに、モビリティの電動化というパラダイムシフトを超えても、その体質を強めていくことを期待したいと思います。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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