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■バッテリー劣化の原因のひとつを取り除く
少し前に「キャパシタタイプのジャンプスターターなら、事前の充電不要でバッテリー劣化による始動不良を助けてくれる」という記事を書きました。1月のある日に、バイクのバッテリーが弱っていて、エンジンが始動できなかったのが発端です。
しかし、エンジンをかけられなかったとはいえ、最初に「キュキュ……」くらいは言ったので、うんともすんともいわないわけではありませんでした。そこで、パルスを発生させて鉛バッテリーを延命させるという装置を取り付けてみました。
結果は……、3週間では完全復活には至りませんでしたが、手応えはありました。以下で詳しくご紹介しましょう。
●バッテリー劣化のひとつの原因はサルフェーション
バッテリーは消耗品で、寿命は2〜3年などともいわれますが、劣化の原因はいくつかあります。
そのひとつが「サルフェーション」と呼ばれるものです。これは「鉛バッテリーが放電する際に電極に硫酸塩が付着する現象」のことで、この硫酸塩は絶縁物質なので、バッテリーの性能を低下させてしまうのだとか。
基本的には、充電時にこの硫酸塩は溶けてしまうそうですが、放電させている時間が長かったり、充放電を繰り返していると、しだいに硬くなって溶けなくなってしまうのだそうです。そうやってサルフェーションが進行していくことが、バッテリーの劣化の主要な原因のひとつだそうです。
ただ、バッテリー充電器にはそのサルフェーションを除去できるという機能を持つものがあります。「パルス充電」といって「電流をパルスで流すことでサルフェーションを除去」できるのだそうです。そこまでは、過去に充電器の記事を書いたことがあるので知っていました。
今回の私のバッテリー性能低下も、最初は「ただの充電不足だったらいいなあ」と思って、その日は車のバッテリーからジャンプスタートして走行距離140kmくらいの日帰りツーリングに行ってきました。途中のエンジン再始動は問題なかったので、バッテリーが完全に息を引き取ったわけではありませんでした。
しかし、その8日後にエンジンをかけようとしたとき、やはりバッテリーは弱っていて「キュキュ……」くらいしかいわず、エンジンをかけられませんでした。「キャパシタタイプのジャンプスターターなら、事前の充電不要でバッテリー劣化による始動不良を助けてくれる」の内容を試してみたのはその状態ででした。
そして、このキャパシタタイプのジャンプスターターを試した数日後、こんどはバッテリー延命装置(デサルフェーターなどともいいます)なるものを装着してみました。
私が買ったのは、エルマシステムの『エコピュアEX』というものです。バッテリーサイズ別にいくつものモデルがあり、乗用車用のモデルになると『のび〜太EX』という製品がラインアップされています。
このエコピュアEX、Amazonで5000円弱でした。そう安くはありません。私のバイク用バッテリーの半分以上の値段はします。なので、実際にはバッテリーのライフを1.8倍近くまで延ばしてくれないともとはとれません。
とはいえ、3年の保証がつくし製品の寿命は10年くらいとのことなので、うまくいけば安上がりです。まぁ、なにより興味があったので試してみました。
エコピュアEXは、微弱なパルスを発生させて鉛バッテリーにも設備にも悪影響を及ぼすことなく、バッテリーのサルフェーションを除去するという装置で、鉛バッテリーの寿命を2倍にできると説明されています。
まぁ「バッテリー復活装置」ではなく「バッテリー延命装置」なので、本来はバッテリーが元気なうちに装着するのが正しいのかもしれません。しかし、それだと5年以上かけてテストしないといけません。すでに劣化したバッテリーに使ってみたら、効果がわかりやすいのではないかと思ったわけです。
●38km走行して8日間放置後に、難なく再始動!
さて、そのエコピュアEXを装着後、まずバッテリーのCCAを測ってみました。数値は82。新品時が180くらいだと思われるので、相当弱っています。ディーラーや修理工場では交換を強く勧められるレベルです。
実際このときも自力ではエンジン始動できず、ジャンプスターターを使ってエンジン始動しました。そしてバイク用品店に行ってきたのですが、出先でのエンジン始動は問題なくでき、約38km走って帰ってきました。
次に乗る機会があったのは8日後です。早朝、気温は3度くらいだったでしょう。エンジンをかける前にCCAを測ったところ、数値は110。判定も「LOW」ではなく「OK」と出ています。これは期待できます。
そしてセルを回すと「キュキュキュキュキュ、ブォン!」。エンジンを始動できました! これはかなりの回復です。人間でいえば、「お見送りの準備を」といわれていたところから、退院の許可が出るくらいまでに復活したのです! けっきょく、この日は約58km乗って帰ってきました。
そして次にエンジンをかけたのは2週間後です。これでかかれば、完全復活といっていいのではないでしょうか。始動前にCCAを計測したところ「100」。判定は「LOW」。あぁー、これは厳しいかも。そしてセルを回します。「キュキュキュキュキュ…………キュ」……んー、残念! 3、4秒は回ったのですが、そこで力尽きてしまいました。
エコピュアEXには、過放電防止機能があって、バッテリー電圧が一定以下になると機能が停止してLEDランプが消えます。この日エンジン始動を試みるまでは点灯していたのですが、この始動を試みたところで消灯。力尽きてしまいました。
これでねー、2週間おいたところで再始動できればよかったんですけどねー。できなかったので、中途半端な結果になっちゃってますよねー。
とはいえ、エコピュアEX装着前は、140km走行・8日間放置→セル一瞬回って始動不能。それがエコピュアEX装着後は、39km走行・8日間放置→エンジン始動。58km走行・2週間放置→セル3、4秒回るも始動不能。という結果だったので、実際のところ手応えは感じています。
メーカーのサイトを見ると、『バッテリー電圧は50日目で初期電圧値に回復、バッテリー容量は180日目に初期容量まで回復。』という回復例が掲載されていますが、乗る頻度が少ない趣味のバイクの場合、なかなかうまくいきそうにありません。どうしても2週間くらいは放置しちゃうことが多いですからね。これが、通勤や日常の買い物に使う車両ならば、効果がはっきり出るのかもしれません。
装着から3週間、完全な回復には至らず、しかし延命効果はありそうということで、非常にモヤモヤした途中経過になっております。
自腹で買ったので、「ムダでした」とか「おススメ」とか、バッサリいきたいところですが、どちらともいえないのが歯がゆいです。けっして安いものではないので、価格に納得できて、バッテリーの寿命が延ばせる可能性があるのなら試してみたい! というひとは買ってみてもいいかもしれませんね。
(まめ蔵)