ダンロップの創始者ジョン・ボイド・ダンロップ/シトロエンの創始者アンドレ・シトロエンが生まれる【今日は何の日?2月5日】

■空気入りタイヤを発明したダンロップ/フォード流大量生産で成功したシトロエン

J.B.ダンロップ&アンドレ・シトロエン(C)Creative Commons
J.B.ダンロップ&アンドレ・シトロエン(C)Creative Commons

1840年2月5日に、空気入りタイヤを発明したジョン・ボイド・ダンロップがスコットランドで、1878年2月5日には、フランスを代表する自動車メーカーのシトロエンの創業者アンドレ・シトロエンが、生まれました。


●息子の3輪車用に発明した空気入りタイヤ

ジョン・ダンロップは、1840年のこの日、スコットランドのノース・エアージャーで農家の息子として生まれ、エディンバラ獣医大学を卒業後、獣医師として働いていました。

タイヤのイメージ(引用:PhotoAC)
タイヤのイメージ(引用:PhotoAC)

ある時、10歳の息子に3輪車がもっと速く走れるように頼まれ、思いついたのが空気入りタイヤでした。空気で膨らませたゴムの袋を丈夫な帆布で包み、自転車の車輪に巻いて製作。それまでの空気のないゴムのソリッド(中実)タイヤに比べて、乗り心地に優れスピードも出せました。

すぐに実用化を検討し、1888年に空気入りタイヤの特許を取得し、翌年には自転車用タイヤの会社を設立。その後、自ら大規模なゴム園の経営に乗り出し、世界的なタイヤ会社に成長したのです。

ちなみに、自動車用の空気入りタイヤを初めて作ったのは、フランスのミシュラン兄弟でした。1895年のパリ~ボルドー間で開催された世界初の自動車レースで、パンクが多発して優勝は逃したものの、空気入りタイヤを履いた車の速さが評判になり、一気に普及しました。

●フォード流の大量生産で成長したシトロエン

アンドレ・シトロエンは1878年のこの日、ポルトガル人の父親とポーランド人の母親のもとで5人目の子どもとして生まれました。その後アムステルダムからパリに移住し、理工系のエリート養成機関のエコール・ポリテクニークに入学しました。

1955年にデビューしたシトロエン DS。革新的な技術と大胆なデザインで大ヒット(C)Creative Commons
1955年にデビューしたシトロエン DS。革新的な技術と大胆なデザインで大ヒット(C)Creative Commons

卒業後に、特殊な歯車ダブルヘリカルギアの製造と、砲弾を大量生産する会社を興して大成功。それを資金にして、1919年に「シトロエン自動車会社」を設立して、自動車事業に参入しました。ちなみにシトロエンのエンブレムは、ダブルヘリカルギアをモチーフにしたものです。

最初の車は、フォードの大量生産方式を参考にした、低価格で高品質の「タイプA/10HP」でした。その後も、大衆車の大量生産で業績を伸ばし、1955年には名車「DS」や1970年のスポーツモデルの「SM」、小型大衆車「GS」など数々のヒットモデルを発売し、フランスを代表する自動車メーカーへと成長しました。

●経営難となってプジョー傘下に、その後ステランティスのグループメーカーに

FCAとPSAが合併、新会社名はストランティスに(引用:FCA HP)
FCAとPSAが合併、新会社名はストランティスに(引用:FCA HP)

1970年代になると、シトロエンはラインナップにおける売れ筋の中型車の不在やエンジンの技術遅れに加えて、オイルショックなどが引き金となって経営難に陥ります。1974年に経営破綻したシトロエンは、1976年にプジョーの傘下となり、両社が統合した形で新たな「グループPSA」が誕生しました。

さらに最近になって、2021年1月にグループPSAは、フィアット・クライスラー・オートモービルズ「FCA」と合併し、新たな企業グループ「ステランティス」が誕生。この合併によってステランティスは、2022年の販売実績でトヨタ、フォルクスワーゲン、ルノー/日産自動車/三菱自動車連合に続いて世界第4位の自動車メーカーとなり、シトロエンもその一端を担っているのです。


シトロエンも、軍需産業の成功で得た資金で自動車産業に参入して成功。一方で技術的な課題やオイルショックの影響などで業績を落とし、自動車メーカー再編の波に翻弄されるという、よくあるパターンかもしれませんが、成長を続けているメーカーなのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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