■大黒PA、千葉フォルニア……モラル欠如は自分で自分の首を絞める事態に
高速道路のパーキングエリアや公共施設、公道、私有地など、車好きが集まる場所でのマナーについて、問題となるケースが増えています。
もちろん、この手のトラブルは今に始まったことではなく、峠での走り屋ブームや埠頭でのゼロヨン競争、高速パーキングでの音圧オーディオ騒動など、昔から繰り返し発生している事態でもあります。
しかし、現在はSNS全盛。誰でも自由にリアルタイムで情報を発信できるため、悪いイメージもあっという間に拡散されてしまうのが怖いところです。
昨今の車好きによる「炎上案件」もほとんどがSNSに端を発していて、たとえば「映える写真が撮れる」と口コミで広がった、千葉県・袖ヶ浦の海岸沿い道路。パームツリーが並ぶ景色はまるでアメリカ西海岸のようで、通称“千葉フォルニア”などとも呼ばれ、車を路肩に駐車して撮影するメッカとなっていました。
しかし、人が増えればマナーは低下するもので、渋滞やゴミの放置、騒音と、近隣住民からの苦情が殺到。今は、パームツリーに警告メッセージがずらりと貼り付けられて、大変残念な景観になってしまいました。もったいないですね。
首都高速の辰己パーキングエリアも、都心ビル群の美しい夜景をバックに愛車が撮影できると、SNSで話題になっていた名所。
しかし、元々広くないパーキングエリアなので、停められる台数にも限りがあり、夜な夜な集まって場所を占拠する車好きに非難が殺到。
対策として、写真のように高〜いフェンスが張り巡らされ、「映えない」パーキングに成り下がってしまったのです。これも残念。
そして横浜・大黒パーキングエリア。いつの時代も、車好きの聖地として良くも悪くも目立ってしまう、象徴的存在。
ひと昔前は、週末の夜のお祭り騒ぎが問題視されていたのですが、最近は曜日を問わず集まっているようで、よく大黒に足を運ぶ人に聞くと、
「多くの方々は、集まって車を並べてダベってるだけなんですよ。同じ車種やグループで待ち合わせしたりとか。そんな中で空ぶかししたり、タイヤを鳴らして急加速したりっていう連中が一部いるのでイメージ悪くなりますよね。
週末とか、あんまりひどい状況になると、一時閉鎖の判断が下されて、即全員追い出されます。違法改造の抜き打ち検査もときどき実施されますね」
と話しています。
「DAIKOKU」は海外でも有名になっているみたいで、車好きのインバウンドがわざわざタクシーを呼んで見に来たり、外の一般道からフェンスを乗り越えて入り込んだりする輩もいるらしい。そのせいか、英語での注意喚起もありました…。
問題は、道路やパーキングエリアだけにとどまりません。許可を得て、ミーティングやオフ会を楽しめる場所も年々減少しているのです。これまで車のイベント開催受け入れに積極的だった施設も「NG」を出すケースが散見されます。
たとえば、静岡県の「浜名湖ガーデンパーク」さん。申請すれば、駐車場の一部などをミーティング用に借りることができたのですが、最近は以下のようなアナウンスが出ています。
『今まで、車両のオフ会の開催場所として南ロータリーや北ロータリー等をお貸出ししておりましたが、警察当局より県営施設である当公園にて違法改造車等の参加が見込まれる行為の許可をすることのないよう、また騒音による周辺地域への迷惑が懸念されるとの指導があったため令和5年末をもちまして「オフ会」の開催引き受けを終了させていただきます。』
この件について直撃してみると、「残念ですが2023年末でこのような措置となりました。永久にダメというわけではないので、“当面は”という判断です。やはり違法改造車の来場や騒音など、近隣からの苦情が多く出ておりまして…」とのこと。
このほか、埼玉スタジアム2002の駐車場やGメッセ群馬の屋外展示場なども、特別な事情がないと「車のイベント」というだけで許可が出なくなってしまったようです。それもほとんどの場合が「暴走行為があった」「騒音がひどい」「近隣からの苦情」など、利用する側のマナー違反が原因となっているのです。
こうした事例を見ても、われわれ車好きが「自分で自分の首を絞めている」のが実情です。SNS全盛の時代だからこそ、「炎上防止」だけではなく、カーライフを楽しむために、残った貴重なロケーションを大事に守っていく姿勢を心がけたいですね。
(文・写真:TOKYO CIAO MEDIA)