初代の人気を加速した「エスティマ」2代目デビュー。ブラッシュアップして価格は272万~310万円(3.0L)【今日は何の日?1月11日】

■FF化でより広い室内空間とスタイリッシュさを手に入れた2代目

2000年にデビューした2代目エスティマ(弊社刊「第87弾エスティマのすべて」より抜粋)
2000年にデビューした2代目エスティマ(弊社刊「第87弾エスティマのすべて」より抜粋)

2000(平成12)年1月11日、トヨタの人気ミニバン「エスティマ」が初めてのモデルチェンジを行い、2代目に移行しました。初代は、1990年にデビューして“天才タマゴ”のキャッチコピーで大ヒット。

続いた2代目はエンジン位置をFF化して、さらに広い室内空間とスタイリッシュなフォルムを創り出し、人気を加速させました。


●“天才タマゴ”のキャッチコピーで登場した初代エスティマ

初代のエスティマは、1990年5月“天才タマゴ”のキャッチコピーを掲げてデビュー。もともとは、米国で急伸していたミニバンマーケットへ投入するために開発されたのです。

1990年に誕生した初代エスティマ。キャッチコピーは”天才タマゴ”
1990年に誕生した初代エスティマ。キャッチコピーは”天才タマゴ”

初代では、従来の商用車ベースのボクシーなミニバンでなく、乗用車ベースのスタイリッシュな卵型のフォルムが注目され、広い3列シートおよびラウンディッシュなコクピットを配した近未来的なインテリアも斬新でした。

従来のミニバンは、前輪の前にエンジンを搭載したFRが一般的でしたが、初代エスティマはセカンドシート下部の床下に、135PSを発揮する2.4L直4 DOHCエンジンを75度傾斜して搭載したミッドシップレイアウトを採用。駆動方式は、2WDとVCU(ビスカスカップリング)付フルタイム4WDが用意されました。

エスティマは販売開始とともに、アウトドア派やレジャー派のファミリー層から人気を集め大ヒット。新しいミニバンブームに火を付けて、新世代ミニバンの始祖となったのです。

●よりスタイリッシュなフォルムと広い室内空間を実現した2代目

2代目エスティマの最大の特徴は、初代のミッドシップレイアウトを、エンジンをフロント横置きに配置したFFレイアウトに変更したこと、また初代以上に流線型のスタイリッシュなフォルムを採用したことでした。

FF化によるメリットは、室内空間が広くなったことに加えて、エンジンスペースにも余裕ができたこと。これにより、最高出力162PSの3.0L高性能 V6エンジンも搭載できました。なお、従来の2.4L直4エンジン搭載モデルは、2ヶ月遅れの3月1日から発売が始まりました。

2001年に追加された2代目エスティマのハイブリッドモデル
2001年に追加された2代目エスティマのハイブリッドモデル

2代目は、初代を凌ぐ静粛性とパワフルな走りを実現し、初代から続くエスティマの人気はさらに加速。販売台数は、2000年には12万台を超えて、「カローラ」、「ヴィッツ」に次ぐミニバンとしては異例の第3位の座を獲得し、2001年にはミニバン初のハイブリッドが追加され、こちらも人気を後押ししました。

車両価格は、229万~286万円(2.4L)/272万~310万円(3.0L)、ちなみに当時の大卒の初任給は19.7万円程度(現在は約23万円)でした。

●3代目を最後に2019年に生産終了、しかし復活との情報も!

2006年にデビューした3代目エスティマ。2019年には生産終了
2006年にデビューした3代目エスティマ。2019年には生産終了

2006年には、2回目のモデルチェンジで3代目エスティマが登場しましたが、この頃にはミニバンは、コンパクトクラスと高級車クラスが人気となり、エスティマの人気は徐々に下降し、結局初代から30年続いたエスティマは、惜しまれながら2019年に生産を終えました。

最近、エスティマがe-TNGAプラットフォームを採用してEVをメインとした電動ミニバンとして本年(2024年)に復活するという情報が流れています。かつてミニバンをけん引したミニバンの始祖が、EVとして復活する姿をぜひ見たいものです。


現在のミニバン市場は、200万円程度のファミリー向けのコンパクトミニバンと、400万円を超える高級ミニバンに2極化しているようです。エスティマが電動化することで再び存在感を発揮できるか、期待せずにはいられません。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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