トライアル絶対王者トニー・ボウがホンダ・ワークスと契約更新。世界2大選手権で前人未到の34連覇をどこまで更新できるか?

■4年契約を締結し、41歳まで現役を続行

世界最高峰のトライアル競技シリーズが、アウトドアで闘う「FIMトライアル世界選手権」と、インドアで競う「FIM X-Trial世界選手権(以下、Xトライアル)」。

レプソル・ホンダ・チームから2027年まで契約を更新
レプソル・ホンダ・チームから2027年まで契約を更新

それら世界2大選手権で、合計34連覇という前人未到の偉業を成し遂げているホンダ・ワークスのトニー・ボウ選手が、ホンダのレース専門会社HRCとの契約を更新。現在所属する「レプソル・ホンダ・チーム(Repsol Honda Team)」から、2027年まで継続参戦することが明らかになりました。

トライアルの世界2大選手権で前人未到の34連覇を達成しているトニー・ボウ選手
トライアルの世界2大選手権で前人未到の34連覇を達成しているトニー・ボウ選手

ボウ選手は、2003年よりトライアル世界選手権に参戦しているベテランで、現在37歳。今回の契約更新により、41歳まで現役ライダーとして戦い、自らの記録をどこまで伸ばせるのかが注目です。

●世界2大選手権で17年連続チャンピオン

高低差や傾斜が複雑に設定され、途中には様々な障害物が設けられたセクションと呼ばれるコースを、いかにバイクに乗ったまま足を着かずに走り抜けるかを競う競技がトライアル。

トニー・ボウ選手
トニー・ボウ選手

その世界最高峰といえるのが、世界中からトップライダーが参戦するFIMトライアル世界選手権シリーズです。

2003年からこの選手権に参戦するボウ選手は、2007年にホンダのワークス・チーム「レプソル・モンテッサ・エイチアールシー(Repsol Montesa HRC/現在のレプソル・ホンダ・チーム)」へ移籍。ホンダのワークスマシン「Montesa COTA 4RT」で初の世界チャンピオンを獲得しました。

FIMトライアル世界選手権を闘うボウ選手
FIMトライアル世界選手権を闘うボウ選手

その年以降、ボウ選手は2023年までに同選手権で17年連続17回のチャンピオンに輝く偉業を達成しており、まさに「向かうところ敵なし」のシーズンを長年続けています。

また、同じく世界最高峰のXトライアルでも、ボウ選手はホンダ・ワークスで2007年から17年連続でチャンピオンを獲得。

ちなみに、FIMトライアル世界選手権が主にアウトドアで開催されるのに対し、Xトライアルはインドアの競技。野球場などのスタジアム内に設置された人工的な競技区間で行われ、豪快な走りとライトアップなどによる華やかな雰囲気が人気のシリーズです。

ボウ選手は、これら世界2大選手権の両方で、これまでに通算221回の優勝と291回の表彰台を獲得。それらの結果、17年もの長いシーズンでチャンピオンに君臨し続けており、まさにトライアル界の絶対王者だといえます。そして、今後は、その記録がどこまで続くのかも注目されます。

なお、前述の通り、ボウ選手は現在37歳ですが、今回の契約更新で41歳まで現役を続けることになります。

ボウ選手はXトライアルでも、17年連続17回のチャンピオンに輝く偉業を達成
ボウ選手はXトライアルでも、17年連続17回のチャンピオンに輝く偉業を達成

これに対し、ボウ選手は、

「私はこれまで『自分のキャリアを、レプソル・ホンダ・チームで終えたい』と、言い続けてきました。その気持ちは今でも変わっていません。家族だと思っているチームであり、また全てのタイトルを共に獲得したチームでもあるので、これからも一緒にいられることをうれしく思います」

といったコメントを発表。また、自らの競技キャリアを最後までホンダと共に歩み、「最大限の成果を得るために戦いたい」といった決意も表明しています。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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