■12月16日から運行開始
東京メトロは地下鉄南北線の輸送力増強のため、9000系6両編成の一部を8両編成化。その1番目の編成が2023年12月16日から営業運転を開始しました。
南北線は目黒〜赤羽岩淵間を結んでいる地下鉄です。目黒駅からは東急電鉄目黒線・東急新横浜線の新横浜駅まで、赤羽岩淵駅からは埼玉高速鉄道線浦和美園駅まで相互乗り入れ運転を行っています。
さらに新横浜以西から相模鉄道の車両も乗り入れしてくるほか、目黒〜白金高輪間は東京都営地下鉄三田線と線路を共用しています。
2023年3月18日からの東急新横浜線・相鉄新横浜線の開業に備え、東急電鉄は3000系・3020系・5080系6両編成の8両編成化を実施。都営三田線は8両編成の6500形を導入して6300形6両編成の一部を置き換えました。また、相模鉄道は8両編成の21000系を導入しました。
一方東京メトロ南北線9000系と埼玉高速鉄道2000系は6両編成のまま運行。両線を運行する8両編成は他社の車両を使用していました。
東京メトロは9000系23編成のうち、第9〜21編成の13編成を8両編成化すると発表。既存の6両編成は内装および主要機器を更新する大規模改修工事を実施し、中間に増結車2両を新4・5号車に挿入して8両編成化します。
増結車は川崎車両が製造。第1陣となる2両は2021年に製造されたもので、9000系としては2009年以来12年振りの新造車となります。そのため同じ川崎車両(当時は川崎重工業)で2010〜2017年に製造された千代田線用16000系の設計思想が活かされていて、既存の9000系とは窓や雨樋など車体の形状が異なるほか、台車も既存車のボルスタレス台車に対して増結車はボルスタ付の台車となるなどの相違点があります。
また、2016〜2019に大規模改修工事を実施した9000系第1〜8編成に合わせ、腰部にウェーブライン、幕板部にストレートの帯を配しています。
増結車の車内は16000系に準じたガラス製の大型袖仕切りを設置。また、セキュリティ性を向上させるため防犯カメラを設置しています。車端部にあるフリースペースの窓には手すり、壁には寄りかかることができるようクッションを設けています。
8両編成化に合わせて既存車両は大規模改修工事を実施。外観は帯の張替を実施したほか、フルSiC(炭化ケイ素)素子を採用したVVVFインバータ装置、ハイブリッドSiC素子を採用した補助電源装置を始め、主電動機など主要機器を更新して、省エネルギー性能を向上させています。
大規模改修工事車の車内は先に大規模改修工事を実施した第1〜8編成と同様、一般座席や床のカラースキームをエメラルドグリーンに変更。ただし袖仕切りは大型のものに交換せず、上部に半透明の仕切り板を増設する方法に変更しています。
また、防犯カメラの設置や一部車両に設置していたフリースペースを全車に設置しているのは、第1〜8編成と同様です。
8両編成化により、編成の定員は6両編成の882人から1200人に増加して、輸送力の増強が期待されています。
13編成を予定している8両編成ですが、営業運転を開始した2023年12月16日の時点では1編成だけ。今後増結車の落成と既存車の大規模改修工事を進めることで8両編成が順次増えていくことになります。
(ぬまっち)