エンジンの「馬力」って何? 5000ps超の車もある最高出力ランキングTOP5

■エンジンの馬力が大きいと何がいい?

車のカタログにはかならず登場する「馬力」、意外と説明できる人は少ない?
車のカタログにはかならず登場する「馬力」、意外と説明できる人は少ない?

車のカタログには必ず馬力、つまりエンジン出力が記載されています。

馬力がある車ほど速いということは分かりますが、馬力とは具体的には何を表しているのでしょう。そして、どれくらいあれば十分といえるのでしょうか。

車のエンジンの馬力や出力について、世界中の最高出力が大きい車と併せて調べてみました。

●そもそも馬力や出力って何? 1馬力は馬1頭分で合ってる?

75kgの物体を1秒間で1m持ち上げる力が1馬力(1PS)
75kgの物体を1秒間で1m持ち上げる力が1馬力(1PS)

馬力という単位は、蒸気機関を発明したイギリス人のジェームズ・ワットが、175ポンドの荷物を馬に引かせて1分間に188フィート移動させたのを確認したことから、この仕事量を1HP(ホースパワー)、つまり1馬力と定めました。

日本などメートル法が一般的な国では「75kgの物体を1秒間で1m持ち上げる力」が1馬力(1PS)として用いられています。

とはいっても、1馬力がどれくらいの力なのかピンときませんよね。

体重75kgの陸上選手が100mを約10秒で走ったときのエネルギーが、おおよそ1馬力に相当します。100mを15秒で走れる一般人なら0.7馬力程度。競走馬は3馬力以上を出せる場合もあるようです。

車は軽自動車でも最高出力40馬力程度はあるので、最大で陸上選手の全力疾走の40倍ものエネルギーを出力できる計算になります。

●街乗りでは最高出力の半分も使っていない

カタログに記載される最高出力は、あくまでアクセル全開時の出力です。

先の計算に当てはめると、車重1tの車が平坦路100mを10秒(36km/h)で走行したとき、エンジンが出力したエネルギーは約14馬力になります。

軽自動車もスーパーカーも車重が同じくらいなら、ゆっくりとした速度で街乗りをするときに必要な馬力も同じく10〜20馬力程度です。40馬力も出せれば高速道路も走行できます。

にも関わらず、なぜ何百馬力もの出力が出せるエンジンが必要かというと、より短い時間で高い速度に到達できるようにするためです。

このことから、車のカタログに記載される最高出力は加速性能の指標となります。ですが、実際の加速時には車重やギア比など他の要素も大きく関係するので、正確な加速性能は表せません。

むしろ最高出力は、その車が出せる最高速度を表していると言ってもいいかもしれません。

●世界の最高出力が大きい車トップ5

走行中は、登坂抵抗や摩擦抵抗などによってエネルギーが失われてしまうので、車はそれらの抵抗を超える馬力を出力しなければ、それ以上加速できません。

なかでも空気抵抗は速度の2乗に比例して増えるので、速度を出すほど大きな馬力が必要になります。特に400km/h以上の速度を出すためには、なるべく空気抵抗が少ないボディと1000馬力以上のエンジン出力が必須のようです。

参考に、世界における現時点での最高出力が高い車トップ5を調べてみました。

・第5位 ヘネシー ヴェノムF5(1842馬力)

ヘネシー ヴェノムF5
ヘネシー ヴェノムF5

アメリカのヘネシー・スペシャル・ビークルズが開発したヴェノムF5シリーズには1842馬力の6.6L V型8気筒ツインターボエンジンが搭載されます。オープンモデルやサーキットモデルも販売されており、いずれも最高速度482km/hを超える性能が持たされているとのことです。

・第4位 リマック ネヴェーラ(1940馬力)

リマック ネヴェーラ
リマック ネヴェーラ

ネヴェーラは、クロアチアの電気自動車メーカー、リマックが製造するハイパーカー。前後にそれぞれ2基ずつのモーターを搭載し、合計出力は1940ps。0-100km/h加速は1.81秒で、最高速度は412km/hに達するそうです。

・第3位 ロータス エヴァイヤ(2000馬力)

ロータス エヴァイヤ 
ロータス エヴァイヤ

イギリスのスポーツカーメーカーのロータスが製造する電気自動車エヴァイヤは、1基あたり500psを発生するモーターを4輪に搭載し、合計出力は2000馬力です。最高速度は320km/h以上とされていますが、もっとも特徴的なのは、ライバルより圧倒的に軽い1680kgの車重と言えます。

・第2位アラシュ AF10 ハイブリッド(2080馬力)

アラシュ AF10 ハイブリッド
アラシュ AF10 ハイブリッド

AF10 ハイブリッドは、イギリスのアラシュ・モーターカンパニーが2014年に発表したハイブリッドハイパーカーです。6.2L V型8気筒エンジンにスーパーチャージャーを組みわせ900馬力を発生。さらに、前後合計4基のモーターを追加して合計出力は2080馬力です。最高速度は320km/h以上とされています。

・第1位デヴェル 16(5007馬力)

デヴェル 16のV型16気筒エンジン仕様は5000馬力を生む(こちらはV型8気筒搭載バージョンの2000馬力)
デヴェル 16のV型16気筒エンジン仕様は5000馬力を生む(こちらはV型8気筒搭載バージョンの2000馬力)

ドバイに設立されたデヴェル・モータースの16(シックスティーン)は驚異の5007馬力を発揮します。12.3LのV型16気筒エンジンに4基のターボチャージャーを組み合わせ、その最高速度は500km/h以上とのこと。

この他、2000馬力や3000馬力に出力を抑えたモデルも販売される予定で、日本でも2000馬力の6.1L V型8気筒ツインターボエンジンモデルが販売される見通しです。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])