ホンダの配光可変型前照灯「アクティブ・ヘッドライト」が運輸大臣認定を取得し、公道試験を開始【今日は何の日?12月22日】

■アクティブ・ヘッドライトの信頼性評価のため公道試験を開始

アコードで採用されているアクティブコーナリングライト(アクティブ・ヘッドライト)
アコードで採用されているアクティブコーナリングライト(アクティブ・ヘッドライト)

2000(平成12)年12月22日、ホンダが開発した安全な夜間走行のための、配光可変型前照灯システム「アクティブ・ヘッドライト」が、業界で初めて運輸大臣認定を取得しました。

これを受け、ホンダはアクティブ・ヘッドライトの商品化に向けて公道試験を開始したのです。

●安全な夜間走行のためのヘッドライト配光制御システム

アクティブ・ヘッドライトは、ホンダが進める事故を未然に防ぐためのプロジェクト「Honda ASV-2」で開発した、ドライバーの認知支援システムのひとつです。

夜間の交差点やカーブなどでのハンドルの切れ角や車速、方向指示器などから車両状態を検出し、ヘッドライトの反射鏡上部を進行方向へ動かすことで、最適な配光を可能にします。社内テストでは、すでに視認性の向上に大きく貢献することが実証されていました。

その後、ホンダのアクティブ・ヘッドライトは、アクティブコーナリングライトとして実用化され、一部のモデルに展開、そのほかのメーカーも同様の配光システムを展開しています。

●夜間の自車および対向車の安全を守る配光制御

ヘッドライトの役割は、単に遠くまで明るく照らすだけでなく、対向車や歩行者を眩しさによって幻惑しないことが重要です。夜間の幻惑による事故を防ぐため、すでに様々なヘッドライトの配光制御が実用化されています。

もっとも一般的な配光制御は、ハイビームとロービームを切り替える「自動ハイビーム制御」です。さらに、対向車や歩行者などを眩しくさせないように配光制御する「ADB(Adaptive Driving Beam)」、ホンダのアクティブ・コーナリングヘッドライトのように、ステアリングを切った方向に照射して視界を確保する「AFS(Adaptive Front-Lighting System)」、車両の上下動に応じて照射方向を水平に保つ「オートレベリングシステム」などがあります。

以下に、それぞれの制御内容について簡単に紹介します。

・自動ハイビーム制御

自動ハイビーム制御は、前方車両(先行車と対向車)をカメラなどで検知して、ハイビームとロービームを自動で切り替えます。切り替える手法としては、発光箇所を切り替えるブロック制御方式と、遮蔽板で切り替える遮蔽板方式があります。

ADB(配光可変ヘッドライト)の概念図
ADB(配光可変ヘッドライト)の概念図

・ADB(配光可変ヘッドライト)

ハイビームで走行中に対向車や先行車の位置をカメラなどで検知すると、前方車両のエリアのみ遮光して、他の領域はハイビームのままで照射。前方車両のドライバーに眩しさを与えることなく、ハイビームで遠方の視界が確保できます。

切り替え手法としては、発光箇所を切り替えるタイプと、可変シェードによって部分的に遮光する2つのタイプがあります。

AFS(配光可変型ヘッドライト)の概念図
AFS(配光可変型ヘッドライト)の概念図

・AFS(配光可変型ヘッドライト)

ホンダのコーナリングアクティブライトは、一般的にはAFSと呼ばれます。コーナリング走行中にステアリング操舵の方向に合わせて、光軸を移動させて進行方向前面を照射。いち早く、死角の車両や人などの障害物を発見して、安全に回避行動を取ることが可能です。

具体的な手法は、ロービームの光源をステアリング舵角、車速に応じて自動で左右に連動。また、コーナリング時には左右に内輪差があることを考慮して、左右のランプを異なる角度で動かして視認性を上げます。

オートレベリング機能の概念図
オートレベリング機能の概念図

・オートレベリングシステム

ヘッドライトの水平方向の照射範囲は、車の傾きや高さで変わってきます。オートレベリングシステムは、車両の前後傾斜を検出して、ヘッドランプの上下方向の照射範囲を適正に調整。2006年以降に生産された車両で、HID(キセノン)とLEDヘッドライトが標準装備されたすべての乗用車には、オートレベリング機能を装備することが義務付けられています。


夜間の交通事故による死亡割合は、昼間の2倍以上発生しています。最近は、より明るいHIDやLEDのヘッドライトが増えていますが、一方で、対向車や歩行者を幻惑しやすいので、幻惑を避けながら自車の視界を確保する配光制御技術が必要なのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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