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■世界のジャーナリストが選んだ20世紀最高の車は、T型フォード
20世紀が終わろうとしている1999(平成11)年の12月18日、20世紀に生産された乗用車の中から、歴史的に最も重要な役目を果たした車「Car of the Century」として、フォードの「T型フォード」がその栄誉に輝きました。
T型フォードは、ベルトコンベアを使った大量生産方式によって、自動車を大衆化させたことが評価されたのです。
●自動車を誰でも手の届くものに、大衆化させたT型フォード
“Car of the Century”は、20世紀に生産された乗用車の中から、歴史的にもっとも重要な役目を果たした1台を選出し、そのメーカーを讃えようという趣旨で設定されました。
世界の自動車ジャーナリスト132人(日本人12人を含む)が選考委員となり、投票で選出。
投票によるトップ5は、「T型フォード(742点)」「ミニ(521点)」「シトロエンDS(567点)」「VWビートル(521点)」「ポルシェ911(303点)」でした。T型フォードは、18年間に約1600万台生産されたベストセラーモデルで、自動車を大衆化させたことが評価されました。
ちなみに、日本車は選考100台の段階で7台残っていましたが、25台に絞られた段階ですべて落選しました。
並行して、今世紀最高の人物“Man of the Century”も選出。4つの分野に分かれ、“世紀のカー・デザイナー”にはジョルジェット・ジウジアーロ、“もっとも優れた自動車技術者”にはフェルディナント・ポルシェ、“最大の企業家”にはヘンリー・フォード、“最高の経営者”にはフェルディナント・ピエヒが、それぞれの分野における栄誉に輝きました。
●自動車の育ての親と称されたヘンリー・フォード
ヘンリー・フォードは、1863年にミシガン州ディアボーンで農場を経営する家庭の長男として生まれました。高校中退後、見習い工や蒸気機関の修理工として働き、28歳の時に発明王トーマス・エジソンが設立した照明会社へ就職します。当時から自動車に興味を持っていたヘンリー・フォードは、仕事をしながら自動車を独学で学び、自動車を試作していました。
エジソン照明会社のチーフエンジニア時代に、会社のパーティで初めてエジソンと話す機会を得ます。その時、自動車への熱い思いを語ると、エジソンは自動車の将来性について共感し、頑張るように励ましたそうです。エジソンのお墨付きを得て自信を持ったヘンリー・フォードは、本格的に自動車事業を進めることをこの時決断したのでした。
そして1903年、ヘンリー・フォードは40歳でフォード・モーター・カンパニーを設立しました。
●ベルトコンベアを使った大量生産によるT型フォードの成功
フォード設立の5年後1908年に、「モデルT」の販売を始めました。T型フォードは4気筒エンジンと2速MTを組み合わせたFRで、他社に比べて性能が優れ、しかも低価格であったため、人気を獲得しました。
1913年には、ベルトコンベアを利用したライン生産方式を導入、大量生産によってさらに価格を下げることに成功。初期の価格の半分程度にまで価格を下げ、1916年に販売台数は47万台を突破。1920年を迎える頃には、米国で保有される自動車の半分はT型フォードになったのです。
フォードが開発した大量生産方式によって、自動車産業の構造が大きく変わり、それまで手の届かなかった自動車が誰でも手にできる存在となり、これを機に急速に自動車が普及して、米国のモータリーゼーションが始まりました。
選考結果でトップがT型フォードであることに異論はありませんが、個人的にはVWビートルが4位でなく、2位ではないかと思いましたが、どうでしょうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)