■久々登場の液体水素カローラ、その進化は?
11月11日(土)・12日(日)に静岡県の富士スピードウェイで開催されたENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE第7戦『S耐ファイナル 富士4時間レース with フジニックフェス』。
ここに液体水素カローラ「ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」が、第4戦オートポリス以来3か月ぶりの参戦をしました。
参戦の無かった3か月の間、ひたすら開発に専念していたという液体水素カローラ。パワー向上、航続距離の増加、さらに車重軽減などの性能向上が図られており、特にエンジン性能については液体水素ポンプの昇圧性能と耐久性向上で、ガソリンエンジン車や2022年まで参戦していた気体水素使用時と同程度の出力である最高出力304馬力を出しています。
またそれらに伴い各部部品の適正化なども進めた上で液体水素タンクも作り直し、さらなる軽量化を図ることで航続距離の増加を進めていきました。
その成果は1スティント20周という目標達成にも現れており、今後の開発においても大きな躍進が期待できるものなっています。
●二酸化炭素を「食べる」液体水素カローラ
今回参戦の液体水素カローラ「ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」にはもう一つ新しい試みが搭載されました。
エアクリーナーの前にある装置で吸気の際に大気中の二酸化炭素を吸着するというのです。
この装置の中にあるフィルターで大気中の二酸化炭素を吸着し、熱処理によって二酸化炭素をフィルターから分離、回収します。実際に吸着できる量は1スティント20周ほどで10g程度。
たかが10グラムと言えど液体水素カローラがCO2を発生させないことを考えると、走りながらCO2を減らしていくこととなり、二酸化炭素を「食う」ことで回収を果たしているカーボンマイナスな存在となっているのです。
この二酸化炭素回収装置が本格的なものとなりあらゆるモビリティに搭載されることとなれば、もっと大規模なCO2削減となることは言うまでも無く、回収された二酸化炭素は貯蔵だけではなく、e-fuelなどのカーボンニュートラル燃料の原料としても生かされることから、大いに注目されることでしょう。
(写真・文:松永 和浩)