スクーターが低速で自律走行! 座ったままスケッチができる! 高校生と車椅子テニス選手がアイデアを出したら?【これだけは見逃すなジャパンモビリティショー2023】

■スクーターにはまだまだできることがある

ヤマハのELOVE(イーラブ)
ヤマハのELOVE(イーラブ)

スクーターというのは、移動の道具としてかなり完成された乗り物のように思えますが、意外とまだまだできることがあるのかもしれないと思わせるのが、ヤマハ発動機の試作車ELOVE(イーラブ)です。

通学にスクーターを使う高校生と、プロ車椅子テニス選手とのコラボで作られたそうです。


●スクリーンが画板になる?

立てればスクリーンとなり、寝かせれば画板として使えます。
立てればスクリーンとなり、寝かせれば画板として使えます

通学にスクーターを使う沖永良部島の高校生から出たアイディアのひとつは、スクリーンの角度を変えることで、画板として使えるというもの。風景が好きな生徒から出た案だそうです。

とはいえ、スケッチのための画板でなかったとしても、この部分に簡易テーブルが出るとしたら…。たとえば、スクーターで移動しながら、ところどころでメモをとるような作業をする仕事などでも便利なのではないでしょうか。これは後付け部品でもできそうなのでかなり現実的なアイディアです。

このELOVEのロゴ部分は、水に濡れると模様が浮き出します。
このELOVEのロゴ部分は、水に濡れると模様が浮き出します

このほかにも、ヘルメットを装着したまま着られるスクーター用の雨ガッパや、水に濡れると模様が浮き出る、雨の日がちょっと楽しくなるロゴなどが採用されています。

●自律ライディングで立ちごけしない

後輪を動かすモーターは微妙な前後進を可能にします。
後輪を動かすモーターは微妙な前後進を可能にします。

そして、片足が義足のプロ車椅子テニスプレーヤー眞田選手とのコラボでは、バイク事故で片足を失った眞田選手が、またバイクに乗りたいという思いが実現しています。

このELOVE、前後進を可能にするモーターと、電動ステアリングによって、自律でスタンディングスティルができるというのです。静止状態から必要に応じてわずかに動きつつ、倒れそうな方向に細かくハンドルを切って転倒を防止する機能で、立ちごけの不安から開放されます。

また、さまざまなアタッチメントをつけることで、いろいろなものを積載できるようにし、車椅子の眞田選手でもバイクでキャンプに行けるようなスクーターになっているそうです。

ちょっとしたアイディアと電動化、電子制御で、スクーターはまだまだ可能性が広がりそうだと思わせる車両です。

(まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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