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■マウンテンバイクの機能を拡張する新機軸
●パワステ搭載で自転車でも安定感アップ!
電動アシスト自転車というと、シティサイクルや子乗せ自転車がポピュラーですが、電動アシスト機構付きのマウンテンバイクが欧米では非常に人気が高まっているジャンルなのだそうです。
そこで、ヤマハ発動機がジャパンモビリティーショー2023に参考出品してきたのが、Y-00Z MTBとY-01W AWDの2台。分割式ドライブユニットやパワーステアリング、AWD機構を搭載したユニークな電動アシスト・マウンテンバイクの試作車です。
まずY-00Z MTB(ワイゼロゼロズィーエムティービー)は、分割式ドライブユニットを搭載したモデルです。
通常ヤマハのマウンテンバイクは、クランクと一体となったドライブユニットでクランク合力で駆動力をアシストするのですが、これはトルクセンサーはクランク部分に搭載しているものの、モーター部分はクランクより上に別体として配置し、チェーン合力で駆動力をアシストします。
こうすることによって、フロントのスプロケットとリヤのスプロケットまでのチェーンを短く設定でき、クイックで小回りが効くようになるのだとか。
またリヤのスイングアームピボットは、クランク軸の部分ではなく高い位置に設定されています。これによって、下りで失速しにくく走りやすい特性になっているのだそうです。
またこのモデル、なんと電動パワーステアリングが採用されています。これはPASの電動アシスト機構に使われている磁歪(じわい)式トルクセンサーを使い、トルクを検知して作動するのですが、外部からの入力に対してその反対の方向に働くことで、挙動が乱れにくくなるのだそうです。
乗ったら案外、体感できないものだそうですが、外すと振られるようになるのでわかるはずだとか。
●フロント駆動で悪路に強い
Y-01W AWD(ワイ ゼロワンダブリュー エーダブリュディー)のほうは、通常の電動アシスト自転車と同様に、ペダルを漕ぐトルクを検知して後輪の駆動力をアシストするだけでなく、前輪にもインホイールモーターを搭載して前輪も駆動するというAWDの自転車です。
こちらもまだ研究段階の試作なので、前輪のトルクを可変にするか、どういうときに強くするかなど、まだまだ試してみることは多いそうですが、駆動力を後輪だけに頼らないため、悪路の走破性が高い自転車になりそうです。
いずれもすぐに市販化予定があるものではないそうですが、けっこう現実的な機構に思えます。
電動アシスト機構やその制御技術の進化によって、eMTBはどんどん進化して、技術や体力が未熟でもどんどん楽しめるものになっていっています。
eMTBで自然を楽しむレジャー、スポーツがもっともっと身近になっていくのではないでしょうか。
(まめ蔵)