スズキが新型ツアラー「Vストローム800」を発表。フロント19インチのキャストホイールで舗装路の快適性を追求

■オンロードでの走りをより楽しめる仕様

スズキは、スポーツアドベンチャーツアラーの新型「Vストローム800(V-STROM800)」を発表し、2023年10月より欧州・北米を中心に全世界で順次販売を開始することを明かにしました。

Vストローム800フロントビュー(写真はUK仕様)
Vストローム800フロントビュー(写真はUK仕様)

2023年3月に日本で発売を開始した「Vストローム800DE(V-STROM800DE)」の兄弟車となるのがこのモデル。

Vストローム800DEがオフロードでの走破性まで考慮した装備を持つのに対し、新型のVストローム800では、舗装路や長距離ツーリングでの高い快適性や走行性能を、より重視していることがポイント。

フロント19インチ、リヤ17インチのチューブレスタイヤやキャストホイール、3段階で高さ調整が可能なウインドスクリーンなどの装備により、オンロードでの走りをより楽しめる仕様となっています。

●低重心でコンパクトな新型エンジン搭載

Vストローム800は、スズキのアドベンチャーツアラー「Vストローム」シリーズに属する新型モデルです。

Vストローム800のリヤビュー(写真はUK仕様)
Vストローム800のリヤビュー(写真はUK仕様)

1050ccや650cc、250ccなど、さまざまな排気量のモデルを揃えるのがこのシリーズ。なかでも、新型のVストローム800は、2022年11月に欧州で発表され、国内では2023年3月に発売されたVストローム800DEの兄弟車となります。

Vストローム800DEの主な特徴は、新開発の776cc・パラレルツイン(直列2気筒)エンジンを搭載すること。特に注目なのは、クランク軸に対して90度に一次バランサーを2軸配置した「スズキクロスバランサー」を採用している点です。

スズキが特許を取得済みというこの新機構は、エンジンの振動を抑えながら軽量・コンパクト化を実現するというもの。振動が少ないことで、街乗りはもちろん、長距離ツーリングなどでもライダーの疲労度は軽減されますし、前後長が短いコンパクトなエンジンは、車体の最適な重量配分にも貢献することで、軽快なハンドリングを味わえます。

スズキ・Vストローム800DE
スズキ・Vストローム800DE

ほかにも、様々な走行シーンに対応する最新の電子制御システム「S.I.R.S(スズキインテリジェントライドシステム)」を搭載。トラクションコントロールシステムには、未舗装路向けのGモードを設定するなどで、オンロードからオフロードまで、高い走破性を発揮することが魅力です。

●最新の電子制御システムなど装備も充実

そんなVストローム800DEをベースとするのが、新型のVストローム800。搭載するエンジンは、同じく776cc・パラレルツインを採用。800DEと同様に、振動の少なさや、軽快な操作性を生み出すことが期待できます。

776cc・パラレルツインエンジン(写真はUK仕様)
776cc・パラレルツインエンジン(写真はUK仕様)

よりオンロードでの快適性や走行性能を重視したVストローム800では、フロント19インチ、リヤ17インチのキャストホイールやチューブレスタイヤを装着。オフロードでの走破性も考慮したVストローム800DEが、フロント21インチ、リヤ17インチのスポークホイールやチューブタイプのタイヤを採用している点と差別化しています。

車体サイズは、海外仕様のVストローム800で(国内仕様のデータは未発表)、全長2255mm×全幅905mm×全高1355mm、ホイールベース1515mm。

一方、国内仕様のVストローム800DEでは、全長2345mm×全幅975mm×全高1310mm、ホイールベース1570mm。

フロントに19インチのキャストホイールを採用(写真はUK仕様)
フロントに19インチのキャストホイールを採用(写真はUK仕様)

全高を除けば、新型Vストローム800の方が、若干ですがコンパクトな車体となっているようです。

ちなみに、シート高はVストローム800(海外仕様)が825mmなのに対し、Vストローム800DE(国内仕様)は855mm。足着き性は新型の方がやや良さそうです。

また、装備重量も、Vストローム800(海外仕様)が223kgなのに対し、Vストローム800DE(国内仕様)は230kg。新型の方が、車体が軽い分、駐車場や細い路地などでの取り回しはやりやすそうですね。

ほかにも、新型では、Vストローム800DEと同様に、最新の電子制御システム「S.I.R.S」を採用。出力特性を3つの中から選択可能な「SDMS(スズキドライブモードセレクター)」、リヤホイールの空転が感知された時に、エンジン出力を制御する「トラクションコントロール」、クラッチやスロットルを操作せずにシフトアップ/ダウンが可能な「双方向クイックシフトシステム」などを装備しています。

さらに、高さを3段階で調整可能なウインドスクリーン、大容量20Lの燃料タンクなどで、長距離ツーリングでの快適性に考慮。スマートフォンなどの充電が可能なUSBソケットも装備することで、高い利便性も誇ります。

3段階の高さ調整が可能なウインドスクリーン(写真はUK仕様)
3段階の高さ調整が可能なウインドスクリーン(写真はUK仕様)

なお、新型Vストローム800は、まだ国内の販売時期や価格などは未発表。ちなみに、Vストローム800DEの国内販売価格(税込)は132万円ですから、近い価格帯になることが予想できます。

ともあれ、特に、オンロードが中心のツーリング派ライダーには注目のモデルだといえるのがVストローム800。日本にはいつ登場するのかなど、今後も注目です。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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