目次
■電子制御システムも投入し戦闘力を向上
モトクロスなどのオフロード競技で活躍し続けている競技用の市販マシンが、カワサキの「KX」シリーズ。
2023年には生誕50周年を迎えるロングセラーモデルですが、そのフラッグシップ、449cc・水冷単気筒エンジン搭載の「KX450」と、それをベースとしたクロスカントリーモデル「KX450X」が5年ぶりにフルモデルチェンジを受けて登場します。
2023年10月14日に発売される予定のこれら2モデルでは、従来モデルのメリットを活かしながら、エンジン性能やフレーム、足まわりなど、各部をアップデート。また、最新の電子制御システムなども採用し、さらに戦闘力をアップしています。
そんなKX450とKX450Xの詳細スペックなどが公開されたので、早速紹介してみましょう。
●エンジンは吸排気系をアップデート
まず、エンジンは、基本的な形式やレイアウトなどは従来モデルと同様ながら、吸排気系を改良。混合気を直線的に燃焼室へと送り込むことが可能な新設計のダウンドラフトインテークを採用しています。
また、吸排気ポートを新しくシンメトリーに配置し、それに合わせスロットルボディのレイアウトも最適化。吸気をシリンダー後方から直線的に流入させることで、エアフローの左右バランスが均一になり、エアフロー効果の向上に寄与しています。
そして、これらにより、スムーズな低速トルクと高いオーバーレブ特性を両立。低速コーナーでの立ち上がりに貢献すると共に、シビアなエンジン高回転域保持が必要ないため、ライダーはライディングに集中することができます。
マフラーエンドのサイレンサー部は、テーパー形状を採用。より前方、より中心線近くに配置することで、マスの集中化を実現します。加えて、KX450やKX450Xのレーシーなルックスだけでなく、落ち着いた挙動にも貢献しています。
●フロントの接地感を高めた新フレーム採用
一方、車体では、エンジン吸排気システムのアップデートに対応しつつ、剛性バランスも最適化した新設計のアルミペリメターフレームを採用しています。特に、フロントの接地感を高めたことで、安定性と軽快なハンドリングを向上。様々な条件において、より高いコーナリング性能を発揮します。
足まわりでは、高性能な径49mmの倒立コイルスプリングフロントフォークを採用し、ストローク初期動作を向上。カワサキのファクトリーマシンと同サイズという、大径インナーチューブの採用により、大径ダンピングピストンの使用を可能とし、滑らかな動きと確実な減衰特性を実現しています。
また、リヤサスペンションでは、サスペンションアームをスイングアーム下に配置したニューユニトラックリヤサスペンションを装備。ストロークを延長し、より精密なサスペンションチューニングを可能としています。
●スマホを使ったセットアップも可能
最新の電子制御システムを採用していることも、2024年モデルのトピックです。まず「ノーマル」「マイルドレスポンス」といった2つのエンジンマップを選択することができる「パワーモード」を搭載。モードの切り替えは、ハンドル左グリップ基部にあるモード(M)ボタンを使って、素早く簡単に操作することができます。
また、スマートフォンアプリ「RIDEOLOGYTHE APP KX」を使って、エンジンマップへのアクセスと調整も可能。従来モデルのアクセサリーであるKX FIキャリブレーションキットと同様に、燃料と点火時期の調整機能を用意するほか、メンテナンスやセットアップのログを記録することも可能としています。
さらに、路面状況などに応じて後輪のスリップを低減する「KTRC(カワサキトラクションコントロール)」は、ハンドル左グリップ基部にあるトラクション(T)ボタンにより、強、弱の2段階にトラクションを選択可能。
スタート時などに、前輪が浮くウイリーを抑えてスムーズな発進に貢献する「ローンチコントロールシステム」も搭載するなど、ファクトリーレーサーさながらの装備が満載です。
ほかにも、新型デザインのシュラウドは、幅をわずかに広げ、テーパーを緩やかにすることで、ライダーの動きをよりスムーズにすることに貢献。工具を使わず脱着できるクイックリリースサイドカバーの採用により、エアフィルターエレメントのメンテナンス性も向上しています。
価格(税込)は、KX450が107万8000円で、KX450Xが110万円。
なお、KX450には、KXシリーズ生誕50周年を記念した特別カラーの「KX450 50thアニバーサリーエディション」も用意されており、こちらは2023年11月1日に110万円で発売されます。
(文:平塚 直樹)