松永 和浩 
目次
■ポールポジションからのスタート
8月27日（日）に三重県鈴鹿サーキットで開催された「2023 AUTOBACS SUPER GT第5戦SUZUKA GT 450km RACE」の決勝。
気温33度という暑さの中スタートした450kmレースは、路面温度50度という灼熱の暑さ。富士戦では悪天候によりキャンセルされた地元県警察（鈴鹿では三重県警察）の白バイ8台、パトロールカー3台による交通安全啓発のパレードラップに続き、フォーメーションラップを経て、GT500クラスの決勝が切られます。
ポールポジションからスタートした16号車 ARTA MUGEN NSX-GTは、スタートドライバーの大津弘樹選手が序盤から着実にアドヴァンテージを広げ、6周目には2位の23号車 MOTUL AUTECH Zに約3秒もの大差をつけます。
また、ランキングトップでサクセスウェイト98kgを積んだ3号車 Niterra MOTUL Zは、予選の結果から10番手スタートとなっており、上位進出を狙うために6周目に最初のピットインを行う作戦にでます。しかし3号車はその後、なかなか周回ペースが上がらず順位を落とすこことなります。
11周目に入ったところで、GT300車両にアクシデントが発生。
それにより、この日最初のFCYが宣言されますが、その寸前に16号車 ARTA MUGEN NSX-GTはピットレーンに飛び込み、最初の給油作業とタイヤ交換を行ってコースに復帰。
ほぼ同時に、6番手の24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Zもピットイン作戦を行いましたが、こちらはピット入り口閉鎖に間に合っていないとの判定を受け、60秒のペナルティストップによって大きく順位を落とすことに。
●すべてが嚙み合う理想のレース
理想的なタイミングで1回目のFCYを見事に使っての給油を行った、16号車 ARTA MUGEN NSX-GT。これで全車が最初のピット作業を終えた時点で、16号車 ARTA MUGEN NSX-GTは2番手に30秒もの差をつけることに成功します。
その後も16号車は危なげなく周回を重ね、44周目に2度目の給油と福住仁嶺選手へのドライバー交代を行い、実質のトップを守ったままコースに復帰することとなります。
2位の23号車 MOTUL AUTECH Zは42周目に2回目のピット作業を行い、6号車 ARTA MUGEN NSX-GTを上回るペースで追い上げていきますが、最初のピット作業でつけられた差はあまりにも大きく、最後まで16号車に並ぶことはかないませんでした。
最終的には、16号車 ARTA MUGEN NSX-GTが2番手に10秒045の差をつけて77周を走り切り、ポール・トゥ・ウインで優勝。
福住仁嶺選手はスーパーGTで通算5勝目、大津弘樹選手はGT300から含めてスーパーGT初優勝を手にしました。さらに、今シーズンからARTAとなった16号車としても初優勝。Honda NSX-GTのラストイヤーに、Honda NSX-GTが鈴鹿サーキットで優勝するという理想的な優勝を果たしました。
来季からCIVIC TYPE-R GTにベース車両が変更されることから、ホンダファンには思い出深いレースとなったことでしょう。
そして、2位は2番手でチェッカーをくぐったMOTUL AUTECH Zがスキッドプレート摩耗が多すぎるということで、最低地上高を再計測、それにより最低地上高違反という判定が下り、レース失格というカタチで終えてしまったために、3位だった39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraが2位へ、そして、3位はENEOS X PRIME GR Supraという結果となりました。
次戦は9月16日（土）～17日（日）に宮城県・スポーツランドSUGOで開催のSUGO300kmレース。
魔物が出ると言われるSUGOではどんなドラマが繰り広げられるのでしょうか。
●スーパーGT2023第5戦 鈴鹿 GT500決勝 正式結果
順位 ゼッケン 車名 ドライバー ラップ
1 16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺、大津 弘樹 77
2 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口 雄飛、中山 雄一 77
3 14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也、山下 健太 77
4 17 Astemo NSX-GT 塚越 広大、松下 信治 77
5 1 MARELLI IMPUL Z 平峰 一貴、ベルトラン・バゲット 77
6 38 ZENT CERUMO GR Supra 立川 祐路、石浦 宏明 77
7 100 STANLEY NSX-GT 山本 尚貴、牧野 任祐 77
8 64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也、太田 格之進 77
9 19 WedsSport ADVAN GR Supra 国本 雄資、阪口 晴南 77
10 36 au TOM’S GR Supra TOYOTA GR Supra GT500 坪井 翔、宮田 莉朋 77
11 37 Deloitte TOM’S GR Supra 笹原 右京、ジュリアーノ・アレジ 77
12 3 Niterra MOTUL Z 千代 勝正、高星 明誠 77
13 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹、平手 晃平 76
14 8 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智紀、大湯 都史樹 69
23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生、ロニー・クインタレッリ 失格
（文：松永 和浩 ／写真：吉見 幸夫）
