「シンカンセンスゴイカタイアイス」が普通車で買えなくなる? 東海道新幹線の車内ワゴン販売が10月で終了

■普通車利用客は駅の売店・自動販売機を利用することに

JR東海は2023年8月8日に『東海道新幹線の新しい車内サービスの展開について』というプレスリリースにおいて、「2023年10月31日(火)をもって東海道新幹線の車内ワゴン販売を終了する」ことを発表しました。

10月31日で車内ワゴン販売を終了する東海道新幹線「のぞみ」
10月31日で車内ワゴン販売を終了する東海道新幹線「のぞみ」

新幹線に限らず、JR在来線特急や私鉄特急でも車内ワゴン販売は縮小の一途を辿っています。東海道新幹線でも各駅停車タイプの「こだま」の車内ワゴン販売はすでに終了されていました。

そしてとうとう、最速達列車「のぞみ」と速達列車「ひかり」も終了することになったわけです。

東海道新幹線の車内ワゴン販売は、車内清掃とともにこどもたちに人気の「新幹線のお仕事」。一般公開イベントでも人気のある体験コンテンツでした。

浜松工場の一般公開イベントで開催される車内ワゴン販売体験は、とても人気の高いコンテンツでした
浜松工場の一般公開イベントで開催される車内ワゴン販売体験は、とても人気の高いコンテンツでした

その理由についてJR東海は「飲食の車内への持ち込み増加」「静粛な車内環境を求めるご意見」「将来にわたる労働力不足への対応」等を踏まえたものとコメントしています。

ひとつ目の理由はどの列車にも言えることで、乗車前に売店などで飲食物を購入する人が増えています。逆にいえば売店の品揃えが充実していて、席に座ったらすぐ飲食ができるのですから、いつ来るか分からないワゴン販売を待つよりもいいという思う人も多い事でしょう。

ふたつめの理由は、乗客の意識の問題で、車内販売を利用していた人には非常に残念な流れです。

深刻なのは、3つ目の労働力不足で、鉄道業界では様々な現場での労働力不足が懸念されています。

「シンカンセンスゴイカタイアイス」が普通車で買えなくなるのは残念
「シンカンセンスゴイカタイアイス」が普通車で買えなくなるのは残念

東海道新幹線の車内ワゴン販売の名物のひとつが、アイスクリーム。このアイスクリームは、スプーンが立たないほどカチコチの状態で提供され、「シンカンセンスゴイカタイアイス」と呼ばれています。このアイスクリームを普通車で買えなくなるのは、非常に残念です。

東京駅のホームに設置された「シンカンセンスゴイカタイアイス」の自動販売機
東京駅のホームに設置された「シンカンセンスゴイカタイアイス」の自動販売機

JR東海では、ニーズの高いラインナップについては11月1日までに「のぞみ」停車駅のホーム上に自動販売機を設置して、順次拡充するとしていています。

実は東京駅には、「シンカンセンスゴイカタイアイス」の自動販売機がすでに登場しています。

この自動販売機が登場した時に筆者も買ってみたのですが、車内よりも気持ち柔らかかったです。現在はどうなのでしょう。

●グリーン車利用客にはモバイル端末を使ったサービスを開始

グリーン車利用客においては、東海道新幹線サポートコールサービスと東海道新幹線モバイルオーダーサービスを、11月1日(水)から導入する予定です。

東海道新幹線サポートコールサービスと東海道新幹線モバイルオーダーサービスの画面イメージ(JR東海プレスリリースより)
東海道新幹線サポートコールサービスと東海道新幹線モバイルオーダーサービスの画面イメージ(JR東海プレスリリースより)
東海道新幹線サポートコールサービスと東海道新幹線モバイルオーダーサービスのサービスイメージ(JR東海プレスリリースより)
東海道新幹線サポートコールサービスと東海道新幹線モバイルオーダーサービスのサービスイメージ(JR東海プレスリリースより)

東海道新幹線サポートコールサービスは、グリーン車の各座席に設置したQRコードを読み取って、モバイル端末から乗務員を呼び出すことができるサービスです。

東海道新幹線モバイルオーダーサービスは、モバイル端末を使って注文した商品をパーサーが座席まで届ける、いわゆるシートサービスです。

イメージ画像を見るとコーヒー、アルコールのほか、「シンカンセンスゴイカタイアイス」も用意されているようなので、グリーン車利用客は一安心かもしれません。

なお、東海道新幹線モバイルオーダーサービスは、「のぞみ」「ひかり」のグリーン車利用客のみのサービスです。

●多目的室が利用しやすくなります

11月1日から多目的室をタイムリーに利用できるようになります
11月1日から多目的室をタイムリーに利用できるようになります

東海道新幹線多目的室案内サービスも開始します。11号車に設置されている多目的室の扉に貼り付けたQRコードを読み取って、モバイル端末から乗務員を呼び出すことで、多目的室をよりタイムリーに利用できるようになります。

10月1日から約20年振りにリニューアルされるパーサーの制服(JR東海プレスリリースより)
10月1日から約20年振りにリニューアルされるパーサーの制服(JR東海プレスリリースより)

今回の新サービスの展開を前に、パーサーの制服を10月1日から20年振りにリニューアルします。

新制服はネイビー、シャンパンゴールドを基調とした落ち着いた配色として、より上品なデザインとなるほか、パンツスタイルも新たに採用。制帽を取り止めて機能性を向上させると共に、各自でアイテムやカラーを組み合わせることができるようになりました。

車内ワゴン販売の終了は、東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」にとってはとても大きな変化だと言えます。今後の新しいサービスの充実に期待したいものです。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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