トヨタ「カローラ」にHVモデル追加。クラストップの燃費33.0km/Lを達成。アクシオHV(G)207.5万円/フィールダーHV(G)216.5万円【今日は何の日?8月6日】

■アクアと同じHVシステムTHS-IIを搭載したカローラHV

2013発売のカローラフィールダーHV
2013発売のカローラフィールダーHV

2013(平成25)年8月6日、トヨタは「カローラアクシオ/カローラフィールダー」にハイブリッドモデルを追加しました。

パワートレインは、ハイブリッドシステムTHS-IIに1.5Lアトキンソンサイクルエンジンを組み合わせた「アクア」と同じもので、クラストップの燃費33.0km/Lを達成したのです。

●10代目セダンは、サブネームが付いたカローラアクシオを名乗る

2006年に登場した10代目でアクシオのサブネームが付いたカローラアクシオは、それまで世界共通であったプラットフォームを、日本特有の道路事情を考慮して日本専用に変更したのが特徴です。

2006年デビューした10代目カローラ
2006年デビューした10代目カローラ

スタイリングは、基本的には先代のボリューム感のある欧州車風イメージを踏襲。パワートレインは、1.5L直4 DOHCと1.8L直4 DOHCの2種エンジンとCVTの組み合わせ、1.5L車のみ5速MTが設定されました。

さらに、最新安全装備“プリクラッシュセーフティ”が採用され、セダンのカローラアクシオは、着実にレベルアップして上質化したカローラを印象付けました。一方、先代から設定されたワゴンのカローラフィールダーも同時にモデルチェンジして、当時のカローラシリーズの4割を占める人気モデルへと成長したのです。

●11代目カローラは、アクアのHVシステムを流用

2012年5月に登場した11代目カローラの特徴は燃費低減のために徐々に大きくなったボディをコンパクト化したこと。そして、2013年にさらなる燃費低減のためにハイブリッドモデルが追加されたのです。

HVシステム(THS-II)全体図
HVシステム(THS-II)全体図

ハイブリッドシステムは、高効率の1.5Lアトキンソンサイクルエンジンにリダクション付きハイブリッドTHS IIを組み合わせた、アクアと同じシステムです。そのほかにも、各種のフリクション低減やクールドEGR、電動ウォーターポンプの採用などにより、クラストップレベルの燃費33.0km/L(JC08モード)を実現しました。

標準的なグレードGの車両価格は、カローラアクシオHVが207.5万円、カローラフィールダーは216.5万円の設定で、受注1ヶ月で6,000台を超え、その後も堅調な販売を記録しました。

●カローラの歴史を簡単に振り返る

カローラは、日本のモータリゼーションを牽引して自動車を大衆化した、歴史上重要な役目を果たしたクルマです。1966年のデビュー以来、半世紀以上にわたり、日本を代表する大衆車としてロングランヒットを続けています。2021年11月時点のグローバル販売台数は5000万台を超え、現在も累計販売台数で世界1位の座に君臨しています。

1966年に誕生した初代カローラ。大衆車として日本のモータリゼーションをけん引
1966年に誕生した初代カローラ。大衆車として日本のモータリゼーションをけん引

・初代(1966~1970年):パブリカとコロナの中間的な位置づけで、半年前にデビューした日産自動車「ダットサンサニー」に対抗するためにデビュー。サニーより排気量が100cc大きい1.1L直4エンジンを搭載し、“プラス100ccの余裕”というキャッチコピーで、人気のサニーを凌駕して大衆車トップの座に君臨。

・2代目(1970~1974年):カローラスプリンターが独立して兄弟車「スプリンター」が誕生、1972年には「カローラレビン」も追加され、ワイドバリエーションを展開。

1974年に登場した3代目カローラ
1974年に登場した3代目カローラ

・3代目(1974~1979年):衝突安全性能に対応するため大型化し、ハードトップやリフトバックなどさらにワイドバリエーションを進め、生産台数世界一を記録。

・4代目(1979~1983年):直線的なスタイリングとなり、レビン専用だった1.6L直4 DOHCエンジンをカローラのスポーツグレードにも搭載。また、現在のカローラフィールダーの元祖となるワゴンが登場。

1983年に登場した5代目カローラ
1983年に登場した5代目カローラ

・5代目(1983~1987年):それまでのFRレイアウトからカローラ初のFFに変更。ただし、レビンはFRを継続、このタイミングで誕生したレビンが現在も高い人気を誇るAE86。

・6代目(1987~1991年):バブル景気の波に乗って高級志向となり、DOHCエンジンを多くのモデルに展開し、レビンにはスーパーチャージャーモデルを設定。1990年に、国内の年間最多販売台数30.8万台を記録。

・7代目(1991~1995年):さらに高級志向に進み、ボディサイズも拡大し、高級感のある大衆車に変貌。

・8代目(1995~2000年):バブル崩壊とともに、ボディサイズは変えずに最大50kg軽量化に成功。4ドアハードトップの「セレス」と、ミニバンの「スパシオ」が追加。

2000年に登場した9代目カローラ
2000年に登場した9代目カローラ

・9代目(2000~2006年):「New Century Value」をコンセプトに、プラットフォームやエンジンを一新。スポーツグレードのレビンと兄弟車スプリンターを廃止して、ワゴンが「フィールダー」を名乗る。

・10代目(2006~2012年):セダンに「アクシオ」のサブネームが付き、プラットフォームは日本専用設計に変更。

・11代目(2012~2018年):ヴィッツ系のプラットフォームを使用してコンパクト化が図られ、2013年には上記のようにHVを追加、安全運転支援「Toyota Safety Sense C」も追加。

2021年に登場したカローラクロスHV
2021年に登場したカローラクロスHV
2018年に登場したカローラスポーツHV
2018年に登場したカローラスポーツHV

・12代目(2018~):最大の特徴は、3ナンバーボディとなり、スポーティなスタイリングとなったこと。5ドアハッチバックの「カローラスポーツ」が登場、セダンはサブネームのアクシオが消え、フィールダーは「ツーリング」の名称に変更。さらに、2021年にはシリーズ初のSUV「カローラクロス」が登場して大きな話題となる。


アクシオとフィールダーにHVが設定された翌月2013年9月からカローラの月販台数は、翌年3月までの7ヶ月間それまでの倍近い1万台越えを達成しました。

なぜトヨタの看板であるカローラに2013年までHVが設定されないのかと思っていましたが、この結果を見る限り、カローラファンはHVを待ちわびていたということなのでしょう。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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