旧型のノア/ヴォクシー、セレナ、ステップワゴン。中古車で狙うならどれ?

■人気はノア/ヴォクシーだが、運転支援システムに不満あり!

現在、ハリアーやヤリスクロスといったSUVの人気が上昇中です。が、一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表している2023年1~6月の新車販売台数トップ20を見てみると、3位のトヨタ・シエンタをはじめ、5位にトヨタ・ノア、7位にトヨタ・ヴォクシー。11位にホンダ・フリード、12位に日産・セレナ、そして17位にトヨタ・アルファードと、6台もミニバンがランクインして安定した人気を誇っています。

旧型トヨタ・ノアとヴォクシーの2ショット
旧型トヨタ・ノアとヴォクシーの2ショット

国産ミニバンは大きく3つのカテゴリーに分けることができ、ラージクラスはトヨタ・アルファード/ヴェルファイアが独占し、コンパクトクラスはトヨタ・シエンタとホンダ・フリードの2モデルでシェアを分け合っています。

最も熾烈な販売競争が繰り広げられているのが、ミドルクラス。

このミドルクラスに属するトヨタ・ノア/ヴォクシー、日産・セレナ、ホンダ・ステップワゴンは、2022年に揃ってフルモデルチェンジを行い、世代交代を行っています。

中古車相場が最も活発に動くのは、フルモデルチェンジをした後と言われていますので、ここでは旧型となった国産ミドルサイズミニバンの中古車事情をチェックしましょう。

旧型トヨタ・ヴォクシーの走行シーン
旧型トヨタ・ヴォクシーの走行シーン

まずは、国産ミドルクラスミニバンのベストセラーモデルである、トヨタ・ノア/ヴォクシーから。

旧型のノア/ヴォクシーは2014年1月に登場。新開発の低床フラットフロアを採用することで、クラストップレベルの広々空間や、ノンステップによる子ども・高齢者にも優しい乗降性、使い勝手の良い荷室を実現。

特に、リアのステップの低さはライバルを大きくリードしています。

搭載するパワートレインは、2L直列4気筒ガソリンエンジン+CVTに加えて、1.8L直4エンジン+モーターの本格ハイブリッドシステムを搭載。駆動方式は、2Lガソリン車が2WDと4WD。ハイブリッド車は2WDのみとなります。

2016年1月に一部改良を行い、衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームをセットにした「Toyota Safety Sense C」を採用。また、従来はガソリン車のみに設定されていたエアロモデルを、ハイブリッド車に追加しました。

2017年7月にマイナーチェンジを行い、外観の変更に加えて、ボディ剛性の見直しやショックアブソーバーの改良により、静粛性や乗り心地を向上。

2019年1月の一部改良では、搭載している衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense」が、昼間の歩行者も検知対象に加えたプリクラッシュセーフティ(レーザーレーダー+単眼カメラ)を採用するなど進化しています。

現在、旧型ノアの中古車は約2,400台流通していて、平均価格は約216.4万円。中古車の平均価格は約69万~約397万円となっています。

一方の旧型ヴォクシーの中古車は約4,600台と非常に豊富で、平均価格は約224万円。中古車の価格帯は約65万~約368万円です。

ライバル車と比べると運転支援機能に不満のある旧型ノア/ヴォクシーですが、おススメは2Lガソリン車の特別仕様車。ノアならW×B、ヴォクシーは煌シリーズです。人気装備が充実してコスパが高いです。

●セレナの狙い目はプロパイロットを装着したe-POWER車

旧型日産・セレナe-POWERの走行シーン
旧型日産・セレナe-POWERの走行シーン

続いて、日産・セレナです。旧型セレナは2016年8月に登場しました。新世代日産のデザインアイコンである「Vモーション」をフロントグリルに採用し、内装は先代モデルよりも室内長は180mm延長され3,240mmとなり、クラストップの室内空間の広さを確保しているのが特徴です。

旧型セレナのセールスポイントは、バックドアは上部のガラス部分のみの開閉も可能なハーフバックドアを備えたデュアルバックドアを採用しており、狭い場所でのラゲッジへのモノの積み降ろしが容易にできます。

搭載されているパワートレーンは、モーター機能を強化した2L直列4気筒エンジン+CVTを核としたSハイブリッド。そして、2018年2月に、1.2Lガソリンエンジンで発電し、その電力でモーターを駆動させて走行する「e-POWER」というパワートレインを追加しています。駆動方式は2WDを中心に、2Lガソリン車に4WDを用意しています。

運転支援機能では、同一車線内の運転支援シスデムである「プロパイロット」を採用。そのほかにもスマート・ルームミラー、アラウンドビューモニター、エマージェンシーブレーキ、踏み間違い衝突防止アシスト、LDW(車線逸脱警報)。駐車枠を指定すると自動でステアリング操作を行い、駐車や車庫入れをサポートする「インテリジェントパーキングアシスト」も搭載されています。

2019年8月にマイナーチェンジを実施し、内外装の変更とともに安全装備を充実させています。

現在、旧型セレナの中古車は約6,000台流通していて、平均価格は約232万円。中古車の価格帯は約77万~約390万円となっています。運転支援機能は、年式が新しいほど現行型との差が小さいのは旧型セレナの魅力の一つです。

おススメは、乗車人数が変わってもスムーズな加速が可能なe-POWER ハイウェイスターVです。プロパイロット装着車ならば、さらに魅力アップです。

●ひと世代で廃止された、ステップワゴンのわくわくゲートの利便性は注目

旧型ホンダ・ステップワゴンスパーダの走行シーン
旧型ホンダ・ステップワゴンスパーダの走行シーン

最後に紹介するのは、ホンダ・ステップワゴンです。旧型ステップワゴンは、2015年4月に登場。標準車のステップワゴン、そしてエアロパーツを装着したステップワゴンスパーダというモデル体系は、先代と同じです。

ワンモーションフォルムと呼ばれる曲線を多用した外観デザインを採用し、縦開きのリアゲートに床下収納が可能なサードシートへのアクセスが可能な、横開き式のサブドアを採用した「ワクワクゲート」を採用しているのが特徴です。

旧型ホンダ・ステップワゴンスパーダに採用されているわくわくゲート
旧型ホンダ・ステップワゴンスパーダに採用されているわくわくゲート

旧型ステップワゴンは、この重量のあるワクワクゲートを採用したことで、リアの開口部の剛性を向上させた結果、クラストップレベルの走行性能を実現しています。

搭載されているパワートレインは、デビュー当初、1.5リッター直列4気筒ターボ+CVTのみでしたが、2017年9月に行われたマイナーチェンジの際に、スパーダに「スポーツハイブリッドi-MMD(後のe:HEV)」と呼ばれる、2Lガソリンエンジンと駆動・発電用2つのモーターを組み合わせたハイブリッドシステム搭載車を追加しています。ガソリン車は2WDと4WDを用意していますが、ハイブリッド車は2WDのみとなります。

安全装備は、ホンダ独自の運転支援システム「ホンダセンシング」を、デビュー当初は全車にオプション設定となっていましたが、2016年5月の一部改良で、Bを除くグレードに標準装備化。続く2017年9月に行われたマイナーチェンジで、歩行者事故低減ステアリング、さらにハイブリッド車にはアダプティブクルーズコントロール機能に時速0km/hから作動する渋滞追従機能を追加し、全モデルに標準装備となっています。

現在、旧型ステップワゴンの中古車は約1,700台流通していて、平均価格は約241万円。中古車の価格帯は約94万~約389万円と、4車種の中で最も高くなっています。元々新車価格が高いこともありますが、中古車となってもその差はキープしています。

おススメは、スパーダに設定されたハイブリッド車です。現行モデルと同じパワートレインですし、実は利便性抜群のワクワクゲートは旧型でしか選べないアイテムです。

国産ミドルクラスミニバンの中古車事情を見ると、優れた燃費性能などで、一番人気はノア/ヴォクシーですが、中古車の流通台数はセレナ。相場が高いのがステップワゴンと、人気がないから相場が安くなるという一般論が通用しないというのがおもしろいところです。

その理由は、旧型のミドルクラスミニバンでは人気のノア/ヴォクシーの運転支援システムが、他の2台と比べると物足りないということも相場に影響しているのは間違いないでしょう。

(文・写真:萩原 文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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