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■クラリティシリーズの燃料電池車、EVに続いてPHEVを投入
2018(平成30)年7月19日、ホンダはプラグインハイブリッドのクラリティPHEVを発表、翌日から販売を始めました。
当時ホンダは、電動車を推進するために「クラリティシリーズ」を展開していました。まずは2016年に「クラリティFC」を日本で、2017年にはEV「クラリティ・エレクトリック」を米国でリース販売、第3弾として「クラリティPHEV」が投入されたのです。
●クラリティシリーズ第1弾は燃料電池車「クラリティFC」
クラリティシリーズは、ホンダが進める電動化技術の象徴であり、第1弾は2016年にリース販売が始まった燃料電池車「クラリティFC(フューエルセル)」です。導入は、自治体や企業中心のリース販売ですが、2020年6月からは個人向けのリース販売も始まりました。
クラリティFCの燃料電池は、2014年から販売されているトヨタの「MIRAI(ミライ)」と同じ「固体高分子型」、基本的な構成や性能については大きな違いはありません。
固体高分子型の燃料電池スタックは、燃料電池セルを数百枚ほど直列接続して1ユニットにまとめたものです。このスタックと駆動ユニット(モーター/ギヤボックスなど)をボンネット内にコンパクトに収めています。
2016年時点で、クラリティFCの販売価格は766万円(ミライは723.6万円 ※以下カッコ内は初代ミライの数値)、FCスタック最高出力103kW (114kW)、タンク容量141L (122.4L)、航続距離750km (650km)。ミライに比べて航続距離で勝っているのが、クラリティFCの特徴のひとつでした。
●クラリティシリーズ第2弾はEV「クラリティ・エレクトリック」
クラリティシリーズ第2弾は、2017年に米国でリース販売が始まった電気自動車「クラリティ・エレクトリック」です。米国でリースを始めたのは、米国ZEV(ゼロエミッションンビークル)規制を意識したものです。ZEV規制は、メーカーに一定の割合でEVおよびFCEVを販売することが課せられる制度で、守らないとペナルティが発生します。
駆動モーターは、最大出力161PS/最大トルク30.6kgmで、25.5kWhのリチウムイオン電池を搭載し、満充電の航続距離は143km。また、先進のEVにふさわしいコネクテッドカー技術を搭載。スマホ連携ができる「ホンダリンク」をはじめ、音声認識や交通情報、充電ステーション情報など、豊富な機能をもつナビシステムも特徴です。
3年リース契約の販売で、月々のリース料は269ドル(約3万2000円)。2017年に日産自動車「リーフ」が航続距離を400kmに伸ばしていることを考えると、クラリティの143kmは実用面では見劣りしました。
●クラリティシリーズ第3弾はPHEVの「クラリティPHEV」
クラリティPHEVは、すでに「アコード」や「オデッセイ」で採用している2モーターのハイブリッド「SPORT HYBRID i-MMD」をベースにしています。特徴は、エンジンドライブモードとEVドライブモード、ハイブリッドドライブモードの3つのドライブモードによって、燃費と走りの両立を実現していることです。
モーターと組み合わせるエンジンは、アトキンソンサイクルを採用した1.5L直4 i-VTECエンジン。駆動電池は、容量17kWhのリチウムイオンバッテリーで、満充電時のEV航続距離は三菱自動車のアウトランダーPHEV(2018年モデル)の65.0kmを大きく上回る114.6km(JC08モード)です。
価格はといえば、廉価仕様で588万円。アウトランダーは、2015年標準モデルが395.5万円でしたので、クラリティPHEVは非常に高い設定でした。販売目標は年間1,000台と少ないものでしたが、それにも届くことなく2021年9月にクラリティFCとともに販売を終了しました。
クラリティシリーズは、ひっそりと消えました。価格設定を見る限り、販売が目的ということではなく、当時のホンダの電動化に対する姿勢をアピールするアドバルーン的な役目だったのでしょう。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)