ヤマハが大型3輪バイクの新型「ナイケンGT」を国内発売。排気量を888ccにアップ、ナビ機能対応TFTメーターなど便利装備も満載

■長距離走行がより快適になった大型LMWモデル

ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、独自のLMWテクノロジーを採用する前2輪+後1輪の大型スポーツツアラー「ナイケンGT(NIKEN GT)」の新型モデルを国内販売することを発表しました。

独自のLMWテクノロジーにより軽快感と安定感を両立(写真は海外仕様)
独自のLMWテクノロジーにより軽快感と安定感を両立(写真は海外仕様)

2022年11月にイタリアのミラノで開催されたEICMA2022(通称ミラノショー)で発表されたのが新型ナイケンGTです。

その国内仕様では、海外モデルと同様にエンジンの排気量を888ccに拡大。また、新設計フレームなどの採用で、走りをグレードアップしていることがポイントです。

さらに、スマートフォンとの連携やナビ機能にも対応した新型7インチ高輝度TFTメーターも採用。ほかにも、ツーリングでの快適性などを向上させる装備も満載です。

●軽快感と安定感を両立する独自のテクノロジー

2018年に登場したナイケンGTは、独自のLMWテクノロジーを採用する前2輪+後1輪の大型スポーツツアラーです。

ナイケンGTの左サイドビュー
ナイケンGTの左サイドビュー

ヤマハ独自のパラレログラムリンクを用いたサスペンションとステアリング機構により、軽快感と安定感の両立に貢献する技術がLMWテクノロジー。

2つの前輪を持つ3輪バイクながら、コーナーの旋回時はフロント2輪が傾くことで、普通のバイクと同様に車体をバンクさせることが可能。優れた走行安定性と、スポーツバイクに匹敵する高い旋回性を両立していることが魅力です。

ヤマハでは、このLMWテクノロジーをほかにも、トリシティ・シリーズ(300cc、155cc、125cc)などに採用。ナイケンGTでは、より進化させた新ステアリング機構「LMWアッカーマン・ジオメトリ」を採用することで(トリシティ300にも搭載)、自然な操舵感、リーン特性を実現。新感覚の大型ツアラーとして高い存在感を誇るモデルです。

●新型エンジンはより余裕あるパワーを実現

その新型となるのが今回発売される2023年モデルです。大きな特徴は、まず、エンジンの排気量を845ccから888ccへアップしたこと。

新開発の888cc・直列3気筒エンジン(写真は海外仕様)
新開発の888cc・直列3気筒エンジン(写真は海外仕様)

最高出力85kW(116PS)/10,000rpm、最大トルク91N・m(9.3kgf・m)/7,000rpmを発揮するエンジンは、より余裕あるパワーを実現。また、クランクウェブの形状変更などにより、ドライバビリティ(動力性能/乗り味)も向上させています。

さらに、吸気ダクトとエアクリーナーの形状を最適化することで、クリアなサウンドチューニングも演出。長距離走行時でも、快適かつ胸が空くようなエンジンサウンドを楽しめます。

車体まわりでは、新設計のハイブリッドフレームを採用。スチール鋳造(ヘッドパイプまわり)・アルミ鋳造(リヤブラケットまわり)・スチールパイプ(メイン部分)を組み合わせたハイブリッド構造を持つフレームは、メイン部分を中心に改良を実施。

パイプ径や取り回し、エンジン懸架点を見直すことで、LMWモデルならではの安定感はそのままに、よりスポーティなハンドリングを実現しています。

新型ナイケンGTではリヤサスペンションも改良(写真は海外仕様)
新型ナイケンGTではリヤサスペンションも改良(写真は海外仕様)

また、リヤサスペンションはセッティングやアームリレイ(リンク)を見直すことで、リンクレバーとバネ下重量を最適化。1名乗車時はしなやかなストロークで衝撃吸収性を向上、2名乗車や荷物のフル積載時では余裕のクッション特性を実現しています。

●ツアラーとしての機能も充実

新型ナイケンGTは、ロングツーリングなどでの使い勝手や快適性を向上させる装備も魅力です。まず、電子制御スロットルにAPSG(Accelerator Position Sensor Grip)を新たに追加し、ナチュラルな操作性を実現。

ナイケンGTの右サイドビュー
ナイケンGTの右サイドビュー

シフトチェンジ時にクラッチ操作が不用なクイックシフターは、従来からのシフトアップに加え、シフトダウンにも対応。長距離走行時におけるライダーへの負担軽減に貢献します。

加えて、大型で見やすい7インチ高輝度TFTメーターも装備。モニター画面はシーンや好みに合わせて3種類から選択できるほか、スマートフォンとの連携も可能です。

ナビ機能対応の7インチ高輝度TFTメーターも装備(写真は海外仕様)
ナビ機能対応の7インチ高輝度TFTメーターも装備(写真は海外仕様)

専用アプリの「MyRide – Link」Appを自分のスマホにインストールし、車両とBluetoothで接続すれば、着信やメール受信、現在地周辺の天気、音楽再生など、スマホの情報を車両メーターに表示することもできます。

さらに、ヤマハとGARMIN社が共同開発した2輪ナビアプリ「Garmin Motorize(TM)」(有料)をインストールすれば、メーター画面でナビ機能を使用することも可能です。スマホを車載用ホルダーなどに設置する手間も不用ですし、大型画面でナビ機能を使えることで、より利便性を向上させています。

ほかにも、任意の位置に高さ調整が可能な可動式スクリーンは、最大70mmのスライド量を確保。足付き性を高めた新作シートや、大容量約30L・最大積載量5kg(いずれも片側の数値)のハードタイプサイドケース(別売)を固定するための上部ステーなど、ツアラーとしての機能を高める装備も充実しています。

可動式スクリーンはスムーズな風の流れが感じられるよう先端形状を最適化
可動式スクリーンはスムーズな風の流れが感じられるよう先端形状を最適化

なお、国内仕様の新型ナイケンGTは、受注生産での発売で、2023年7月7日より予約受け付けを開始中。

価格(税込)は220万円です。

(文:平塚直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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