金メダリスト・ボルト選手に黄金の日産「GT-R」を贈呈。1570万円でチャリティーオークション落札された世界に2台の特別なGT-R【今日は何の日?5月5日】

■金メダリストのために選ばれたのは、ゴールドの2013年型GT-R

2013年にウサイン・ボルト氏に贈呈されたゴールドGT-R
2013年にウサイン・ボルト氏に贈呈されたゴールドGT-R

2013年(平成25年)5月5日、日産自動車は、陸上競技金メダリストのウサイン・ボルト選手に、ゴールドの特別仕様車「GT-R」を贈呈しました。

日産のアンバサダーとして活躍しているボルト選手の貢献に対して、“世界最速の男に、最速のGT-R”を送ったのです。


●GT-Rの元祖は、3代目スカイラインの最強モデル・スカイラインGT-R

日産GT-Rの元祖は、3代目「スカイライン(通称、ハコスカ)2000GT」を超える性能を備えて1969年にデビューした、最強のスポーツモデル「2000GT-R」です。

1969年にデビューしたスカイライン2000GT-R
1969年にデビューしたスカイライン2000GT-R

エンジンは、スカイライン2000GTに搭載された直列6気筒2.0Lエンジンをベースに、DOHC化して3連キャブ仕様とした「S20型」で、最高出力160PS/7000rpm、最高速200km/hを発揮。サスペンションやブレーキなど足回りにも最新の技術を盛り込み、その走りはライバル達を圧倒しました。

レースでは、1972年まで国内レース49連勝という金字塔を打ち立てて、これがGT-R伝説の序章となりました。その後も、スカイラインGT-Rはスカイラインのモデルチェンジに応じて進化を続け、2007年に登場したR35型ではスカイラインの冠が取れて「日産GT-R」を名乗るようになったのです。

●ボルト仕様はR35型GT-Rをベースにした特別仕様車

ご存知のようにボルト選手は、2008年北京オリンピックと2012年ロンドンオリンピックで計6個の金メダルを獲得した陸上界のスーパースターです。日産GT-Rのブランドアンバサダーとして、日産ブランドの向上に大きく貢献したということで、日産は感謝の気持ちを込めて特別仕様のGT-Rを贈呈したのです。

2013年モデルのR35型GT-R
2013年モデルのR35型GT-R

贈呈されたGT-Rは、2013年R35型GT-Rのゴールドボディに、ホワイトで統一されたインテリア、BOSEオーディオシステム、ハイパーチタニウムカラーコートを施したRAYSの10本スポーク鍛造アルミホイールなどを採用し、さらにボルト選手のドライビングスタイル(事前のテスト走行でデータを入手)に合わせた特別チューニングも行っています。

ボルト仕様の2013年モデルのエンジンは、3.8L V6ツインターボ「VR38DETT型」で、最高出力550PS、最大トルク64.5kgfmを誇りました。

なお、このゴールドGT-Rは世界で2台だけ。もう一台は、前年2012年10月のチャリティーオークションに出品され、1570万円で落札。収益は、ウサイン・ボルト財団に寄付されました。

●先進技術満載の新開発VR38DETT型エンジン

ボルト仕様のR35型GT-Rは、2007年に登場しました。

R35型GT-Rの3.8L V6ツインターボのVR38DETT型エンジン
R35型GT-Rの3.8L V6ツインターボのVR38DETT型エンジン

搭載されたVR38DETT型エンジンは、アルミのシリンダブロックに剛性を高めるためにクローズドデッキ方式を採用し、プラズマ溶射で低炭素鋼をコーティングした“プラズマコーティングボア”によるシリンダーライナーレス構造によって熱効率向上と軽量化を実現。

トランスミッションは6速DCTで、駆動方式は通常は後輪駆動で状況に応じて前輪も駆動させるアクティブ・オンデマンド4WDです。

エンジン性能は最高出力480PS/最大トルク60kgmを発揮し、最高速度は300km/hを超えました。その後、2012年モデルでは、吸排気効率向上や制御の改良などで550PS/64.5kgmに向上し、これがボルト選手に贈呈した2013年モデルのベースとなりました。


R35型GT-Rの2013年モデルの価格は、875.7万~1516.83万円、ボルト選手に贈答されたモデルは専用のチューニングが施され、ボルト自信のセレクトで特別な仕様に仕上がっているといいますので、オークションの1570万円は希少価値も含めると相当なお買い得価格なのかもしれません。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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