イタリアのエンスー流「オフ会」の過ごし方。あの名デザイナーも飛び入り参加!?【越湖信一の「エンスーの流儀」vol.019】

■イタリアとクラシックカーをこよなく愛する越湖信一さんによる、「インド〜イタリア“エンスー道”周遊」シリーズ第6弾。今回は、越湖さんが参加しているクルマ趣味のグループによる、春のミーティングに参加してきたご様子。果たして、イタリアのエンスーのみなさんは、普段どのような“オフ会”を開催しているのでしょうか。


●まずは愛車でサーキットラン!

モデナサーキットを楽しむメンバー達
モデナサーキットを楽しむメンバー達

今回はモデナが属するエミリア・ロマーニャ州へと移動範囲が広がります。

イタリアでも、オンラインをベースとしたクルマ趣味グループの活動がアクティブです。オフィシャルなオーナーズクラブにしようとすると税務手続きをはじめとして結構ハードルが高いこともあり、近年多くのグループが誕生しています。

私も幾つかのグループに入っていますが、今回は「Rosso-italia.it」が開催する春のミーティングにご招待頂きました。

そのコンテンツのひとつはサーキットラン。イタリアには大小含めてかなりの数のサーキットが存在し、日本と比較してロケーションが良いところが特徴です。

モデナには、かつてフェラーリやマセラティなどが開発テストを行ったAerautodromo di Modenaが存在しました。飛行場とサーキットを兼ねたもので、現在跡地は“エンツォ・フェラーリ公園”となっています。

そして、近年完成したのがAutodromo di Modenaで、ここは前記事で紹介したマセラティミュージアムから程ない距離にあるコンパクトなサーキットです。今回はこの場所で「Rosso-italia.it」の参加者たちがサーキットランを楽しみます。

フェラーリやマセラティなどメンバーの愛車を持ち込んでのファミリー走行がメインですが、イタリアンデザインということでプジョー406の姿も見られ、皆が和気あいあいと楽しんでいる様子が印象的でした。

●ピエトロ親子によるF40公開ドローイング製作を見学

Automotoretrò & Automotoracing。痛車も大きな注目を浴びる
Automotoretrò & Automotoracingでは、痛車も大きな注目を浴びる

もうひとつが、「Automotoretrò & Automotoracing」と称すクラシックカーとチューニングカーの展示会です。このイベントはこれまでトリノで開催されていましてが、会場の問題からパルマへと移転しました。

Automotoretrò & Automotoracing。フィアット ムルティプラもチューニングカーのベースに
フィアット ムルティプラもチューニングカーのベースに

「Rosso-italia.it」のメンバー達はモデナからパルマへと移動します。オーナーズクラブのスタンドや、スワップミートがメインの会場は多くのエントラントでにぎわっていました。チューニングカーのトレンドもなかなか興味深く、ユニークな個体も見られます。

Automotoretrò & Automotoracing。カマルデッラ親子の”ドローイング実演”はイベントの目玉の一つ
カマルデッラ親子の“ドローイング実演”はイベントの目玉のひとつ

しかし、私の主たる目的は親友であるピエトロ・カマルデッラを訪ねること。そう、彼は会場内でフェラーリF40の公開ドローイング製作を行うのです。ちなみにF40はピニンファリーナにおいて複数のデザイナーの手によって開発されましたが、若きピエトロも重要な役割を果たしたのです。

今回は彼の息子もアシスタントとして参加し、エアブラシを巧みに操りながらのドローイングはなかなか圧巻でした。


●グループのまとめ役が大切にすることは・・・・

もちろんトルテッリーニ・イン・ブロードも!
もちろんトルテッリーニ・イン・ブロードも!

もちろんミーティングの締めはおいしい当地のディナーです。今回会場としてアレンジされたのは、フェラーリファンの聖地でもあるマラネッロのRistorante Montana。私の愛する“トルテッリーニ・イン・ブロード”がふるまわれたのはもちろんです。

さて、こちらにも合流した前述のピエトロ親子の紹介や、サーキットランの授賞式などでディナーは盛り上がります。私も皆の前で少しハナシをさせて頂くと、グループ世話人のアレッサンドロがなにやら紙筒をうやうやしく手渡してくれるではないですか。

家宝にしたい(笑)素敵なプレゼントを頂いた筆者
家宝にしたい(笑)素敵なプレゼントを頂いた筆者

それを開けてみると・・・、素敵なドローイングでした。アウトスプリント誌で毎号、ひねりのきいた作品を見せてくれている風刺画家Matitacciaが私のモデナ愛を作品にしてくれたのです。「マセラティミュージアムにあるマセラティ420M“エルドラド”を運転しながらトルテッリーニを食べる私」という素晴らしい作品だったのです。

アレッサンドロと娘さん、そして彼がサポートする親友
アレッサンドロと娘さん、そして彼がサポートする親友

グループの世話人であるアレッサンドロはフェラーリ456マニアでもあり、昨2022年にはその生誕30周年を祝ってハードカバー本の自主制作までしてしまうというエンスーぶりなのです。グループを楽しくまとめ上げる彼は、イベントに長年彼がサポートしている障がいをもった友人をいつも同行します。

「親友と楽しみを共有するのはなによりも素晴らしい喜びなんだ」と語るアレッサンドロと彼のファミリー。私の大切な友人なのです。

そんなモデナでの楽しい日々を書き始めるとなかなか終わりませんが、これからもうひとつの“モーターシティー”へと移動しましょう。

(文&写真:越湖信一

この記事の著者

越湖 信一 近影

越湖 信一

イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表。ビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。
クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。著書に『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』などがある。
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