■ID. Buzzは2024年末以降に国内導入をスタート
1950年にタイプ1(ビートル)の派生車として生まれた初代ワーゲンバスは、永遠のファッションアイコンとしていまも世界中で多くのファンに愛されています。
愛らしいモノフォルム、ポップでカジュアルな世界観、タフな道具感と、機能性のすべてを兼ね備えたワーゲンバスは、幾千・幾万の移動を喜びに変え続けてきました。
そのワーゲンバスが、電気自動車になって21世紀に帰ってきました。
「ID. Buzz(アイディー バズ)」は、かつての名車を現代的に再解釈して作り上げられたピュアEV。100%電気で走るMPV、しかもあの愛らしいワーゲンバスをモチーフにしているとあって、2022年3月のワールドプレミア以来、各方面から大きな注目を集めています。
このID. Buzz、日本でも発売されることが決定しています。導入時期は「早くて2024年末」ということなので、いますぐ欲しい!という方には若干の我慢が必要にはなりますが、確実に正規輸入されることがわかっただけでも朗報です。
●ヴォクシーやステップワゴンに近いサイズ感
では、ID. Buzzは一体どんなクルマなのでしょうか。すでに販売をスタートしている欧州仕様のスペックを参考に、特徴をいくつかピックアップしてみましょう。
欧州仕様のID. Buzzには、5人乗りの乗用モデルと3人乗りの商用バンモデルの2モデルがラインナップされています。なお、日本には乗用モデルのみが導入されるとのこと。
車両寸法は全長4712×全幅1985×全高1937mm、ホイールベース2988mmで、ボディの長さはちょうどトヨタ ヴォクシー/ニッサン セレナ/ホンダ ステップワゴンクラスに相当します。
容量77kWhのバッテリーをフロアへフラットに敷き詰め、最高出力150kW/最大トルク310Nmのモーターで後輪を駆動。170kWの急速充電を使用すれば、約30分で5〜80%までチャージすることができるということです。
ワーゲンバスの面影を色濃く残すのはデザインだけにあらず。前後オーバーハングをできるだけ切り詰め、最大限の室内空間を確保したパッケージングも祖先ゆずりです。
ドライバーはボディ先端近くに着座できるため、見晴らしがよく開放感も抜群。そこにくわえて、ツートンカラーを基調にしたポップで明るい内装デザインが、ワーゲンバス最大の魅力である「楽しげなムード」を再現しています。
●ミニバンタイプの電気自動車は日本にうってつけ?
フォルクスワーゲン ジャパンが2022年の振り返りと2023年の活動を発表した記者会見の会場には、右ハンドル仕様のID. Buzzが展示されていました。
「もう日本仕様が!?」と思いきや、こちらはアイルランド仕様とのこと。でも国内に上陸するID. Buzzの雰囲気を想像するには十分! ということで、運転席や後部座席に乗り込んでみました。
前述したとおり、ID. Buzzはクルマを走らせるために必要な構造部品を、できるだけコンパクトにまとめたBEV専用プラットフォームを採用しているので、とにかくキャビンが広大。左右・天地方向にスペースがたっぷりとられていて、フロアにも無駄な凹凸がありません。
リサイクル材を多用したエコフレンドリーなマテリアルを積極的に活用したというキャビンは、フォルクスワーゲンらしく上質でかっちりとした作り。ゴルフやポロなどに共通する質実剛健さをベースにしつつ、ワーゲンバスを彷彿させるポップな空気感を上手に添加しています。
SUV隆盛の時代にあっても、いまなお根強いミニバン人気を誇る日本だからこそ、ID.Buzzは「バズる」EVになる可能性大。電気自動車ってなんだかワクワクしないんだよね…そんな風にお考えの方にこそ、ぜひチェックしていただきたい1台です。
●航続距離を伸ばしたID. 4を導入
ところで、フォルクスワーゲン ジャパンは2022年11月に、日本へ導入する電気自動車第1弾として「ID. 4」を発売しました。
Cセグメントに属する電動コンパクトSUVは、フォルクスワーゲンの電動車戦略を率いる旗頭ともいえる存在。その注目度を表すように、2022年モデルイヤー分はわずか数日で完売したそう。なお、フォルクスワーゲン ジャパンは、2023年には航続距離を延長した「ID. 4」を日本へ導入する計画です。
電気自動車の購入にあたって、やはり一番の不安は充電問題です。その問題を解消するべく、フォルクスワーゲン ジャパンは全国の販売店へ出力90kW級の急速充電器を順次拡大中。2023年度末までには、全ての店舗に充電器を設置する予定です。
さらに、フォルクスワーゲン ジャパンは急速充電網「プレミアムチャージングアライアンス」に加盟しているので、ポルシェとアウディの店舗でも愛車のチャージをすることが可能となっています。
●ゴルフの特別仕様車も第2四半期に投入
ここ日本でフォルクワーゲンの正規販売がスタートしたのは1953年。それからちょうど70年の節目となる今年、フォルクスワーゲン ジャパンはさまざまな活動を企画しているとのこと。
なお、70年の歴史の中で、国内で販売したワーゲン車の累計はじつに180万台超。その強力な販売を下支えし続けてきたのは、やはりなんといってもコンパクトカーの王様・ゴルフです。なんと180万台超のうち、100万台をゴルフが占めているのだとか。
そんな看板モデルであるゴルフにも、アニバーサリーイヤーである今年、特別仕様車「プラチナムエディション」が投入されます。ちなみに、結婚70周年の記念を「プラチナム婚」と呼びます。
つまり、このゴルフはフォルクスワーゲンと日本の70年にわたる“結婚生活”を記念するモデルということなんですね。
なお、プラチナムエディションにはナビや17インチアルミホイール、ID.ライト、ヘッドアップディスプレイといった上級装備が標準で搭載されます。導入時期は第2四半期となる模様です。
(文:三代やよい)