ホンダ「フィットシャトル」を発表。大人気「フィット」ベースのステーションワゴンの勝負は?【今日は何の日?3月17日】

■広い室内・収納スペースと低燃費が魅力のコンパクトワゴン

2011年にデビューしたフィットベースのステーションワゴン・フィットシャトル(ハイブリッド)
2011年にデビューしたフィットベースのステーションワゴン・フィットシャトル(ハイブリッド)

2011(平成23)年3月17日、ホンダが新型ステーションワゴン「フィットシャトル」の発売を発表しました。

フィットシャトルは、当時大ヒットしていたコンパクトカー「フィット」をベースにしたステーションワゴンで、広い室内・収納スペースと、優れた燃費性能が魅力でした。

●フィットのワゴンとして最初に登場したエアウェイブ

2005年、ホンダからフィットベースのコンパクトなワゴン「エアウェイブ」が発売されました。フィットが採用した画期的なセンタータンクレイアウトを採用し、ホイールベースをフィットより100mm伸ばしたステーションワゴンです。

2005年にデビューしたステーションワゴンのエアウェイブ
2005年にデビューしたステーションワゴンのエアウェイブ

短いノーズで形成された流麗なフォルムに、広い室内・収納スペース、さらに低床・フラットフロアに多彩なシートアレンジなどを実現。

パワートレインは、1.5L直4 SOHCエンジンとCVTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意され、車重は重くなりましたが、パワフルなエンジンで安定した走りが楽しめました。

当時各メーカから投入されていたライバルのステーションワゴンの中でも、使い勝手の良さでリードしていましたが、車両価格がライバル車よりも高いため、販売は期待通りには伸びませんでした。

●ハイブリッドも追加されてトップクラスの燃費を達成したフィットシャトル

エアウェイブの後を継いで2011年に登場したフィットシャトルも、フィットをベースにしたステーションワゴンです。エアウェイブ同様、室内・収納スペースの広さ、使い勝手の良さと走り、加えて燃費の良さが特徴でした。

IMA(ホンダ・インテグレーテッド・モーターアシスト)」ハイブリッド
IMA(ホンダ・インテグレーテッド・モーターアシスト)」ハイブリッド

パワートレインは、フィットと同じガソリンエンジンの1.5L直4 i-VTECと、1.3L直4  i-VTECエンジン+モーターの“IMA(ホンダ・インテグレーテッド・モーターアシスト)”ハイブリッドです。

フィットでも採用されているIMAは、エンジンとトランスミッションの間にモーターを挟み込んで、モーターでエンジン出力をアシストするマイルドハイブリッド。ガソリンエンジン車、ハイブリッド車とも燃費はフィットと同等レベルで、トップクラスの燃費性能を達成しました。

フィットシャトルの広い室内・収納スペース
フィットシャトルの広い室内・収納スペース

しかし、立ち上がりの販売こそ順調でしたが、その後は徐々に低迷。 収納スペースや燃費、走りについては高い評価を受けましたが、結局、販売は回復しないまま2015年に販売を終えました。

●フィットシャトルの後継としてフィットの冠が取れたシャトルが登場

2015年、フィットシャトルの後継モデルとして、フィットの冠が取れた「シャトル」がデビューしました。

2015年にデビューしたシャトル。堅調な販売を続けるも、2022年に販売終了
2015年にデビューしたシャトル。堅調な販売を続けるも、2022年に販売終了

パワートレインは、7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を改造したハイブリッド“SPORT HYBRID i-DCD”、および1.5L直噴VTECエンジンの2種。ハイブリッドは、DCTに高出力モーターを内蔵したホンダ独自のシステムで、DCT特有の俊敏な変速が特徴です。

また、安全運転支援技術として“衝突軽減ブレーキ”と“誤発進抑制機能”が装備、2017年にはマイナーチェンジで全車に“ホンダセンシング”が採用されるなど、その後も進化を続けて堅調な販売を続けていましたが、惜しまれながら2022年に生産を終えました。


フィットシャトルが不振だったのは、ベースのフィットと同じ顔つきが新鮮味に欠け、安直なイメージが強かったこと、また当時5ナンバーミニバンとして人気が高かったストリームの陰に埋もれてしまったためではないでしょうか。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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