新型プリウスのメーターは「操縦桿式ハンドル」を前提に設計されている?

■トップマウントメーター+操縦桿型ステアリングが本来の姿か?

●このような設定になった背景を推察

スタイリッシュな新型プリウス
スタイリッシュな新型プリウス

先頃、袖ヶ浦フォレストウェイで開催された試乗会で、予想を超えるパワフルな動力性能や自然な制動フィーリングが確認された新型「プリウス」ですが、一方で、試乗時に気になったのが運転時のメーター視認性。

新型プリウスに採用された「トップマウントメーター」
新型プリウスに採用された「トップマウントメーター」

新型プリウスにはbZ4X同様、視線移動を減らして遠視点化を図った”トップマウントメーター”が採用されていますが、ステアリングホイール上部がメーターに被り気味で、視認性がやや悪いように感じられました。

ドライバーの座高が高く、ステアリング上からメーターを見下ろせる場合は問題が無いかもしれませんが、小柄な女性の場合、ステアリング内周からメーターを覗き見る状態になることも予想されます。

新型プリウスではステアリング上部がメーターに被る
新型プリウスではステアリング上部がメーターに被る

シートアジャスターでシート座面を上下に調整したり、ステアリングのチルト機構で調整すれば解決する場合もあるとは思いますが、本稿では何故こうした位置関係になっているのかについて推察してみたいと思います。

●操縦桿タイプのステアリング前提で開発した?

そのヒントになりそうなのが、トヨタ自動車が2022年5月12日に発売した「bZ4X」。

「トップマウントメーター」を初採用したbZ4X
「トップマウントメーター」を初採用したbZ4X

発売前年の2021年4月19日には、中国・上海でコンセプトモデルが披露されており、その際、新型プリウスと同様のトップマウントメーターと共に、航空機の操縦桿のようなスタイリッシュなステアリングが装着されていました。

bZ4X初公開時に装着されていた操縦桿型ステアリング
bZ4X初公開時に装着されていた操縦桿型ステアリング

この組み合わせであれば、何の問題も無くメーターが見通せそうです。

しかしながら、bZ4Xの正式発売時には通常の丸型ステアリングが採用されており、トヨタは次のように説明しています。

「同社初となるステアバイワイヤと、操縦桿のような形状の異形ステアリングホイールを組み合わせたワンモーショングリップを、中国市場向け、その後、各国・地域に順次展開予定(日本市場への展開時期は調整中)」

●マイナーチェンジ等で操縦桿タイプに変更?

「トップマウントメーター」を初採用したbZ4X
「トップマウントメーター」を初採用したbZ4X

つまりbZ4Xでは、「トップマウントメーター」を操縦桿タイプのステアリング採用前提で開発したものの、ステアリングについては発売までに認可に向けた調整がつかず、従来タイプの丸型ステアリングを装着して発売したと考えられます。

メーター視認性に優れる操縦桿型ステアリング
メーター視認性に優れる操縦桿型ステアリング

新型プリウスも同様で、今後国内で認可が下り次第、操縦桿タイプのステアリングに切り替える計画なのかもしれません。

bZ4X、新型プリウス共に径が小さ目の共通ステアリングホイールを採用しているのも、操縦桿タイプ採用までの間のメーター視認性に配慮しているためと推測され、今後のマイナーチェンジ等を機に、本来の組み合わせでメーターの視認性が向上することが期待されます。

Avanti Yasunori

【関連記事】

トヨタが新型プリウスでも採用した「ハンマーヘッド」デザインって何?
https://clicccar.com/2023/02/06/1259139/

新型プリウスPHEVの実力をサーキット試乗で確認。公道でのHEVの実力は?
https://clicccar.com/2023/02/05/1258720/

トヨタ、ダイハツ、スズキが1.0Lクラスのミッドシップカーを共同開発?
https://clicccar.com/2023/01/30/1257322/

新型「プリウスPHEV」の車両価格が判明。オーダー殺到のHEVとの車両価格差は約90万円!
https://clicccar.com/2023/01/27/1256531/

トヨタ・セリカは水素エンジン搭載で復活か? 水素カローラはその布石か!
https://clicccar.com/2023/01/23/1255506/

【関連リンク】

トヨタ プリウス
https://toyota.jp/prius/

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
続きを見る
閉じる