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■晴れの国岡山をイメージした外観デザイン
JR西日本は、新型車両227系500番代Urara(うらら)を2023年度以降、岡山・備後エリアに導入します。
Uraraという愛称は、公募で決められたものです。デザインコンセプトは「豊穏(ほうおん)の彩り」。「豊穏」とは豊饒と穏和からの造語で、岡山・備後エリアの豊かで穏やかな気候・風土を表現したものです。
車体のシンボルカラーは豊穏のピンクで、岡山の桃・福山のバラ・尾道の桜といった沿線を象徴したもの。また、太陽の恵みや穏やかさを表現した、暖色のグラデーションの帯を配しています。
この暖色のグラデーションは、岡山〜福山間で運行していた快速「サンライナー」用の117系電車が、2016年まで採用していた専用塗装をイメージしています。
車体にはエリアシンボルマークも設定。これは、岡山10路線のラインカラーで岡山の頭文字Oを構成したもので、晴の国の太陽をイメージしています。
ラインカラーは2016年に設定。山陽本線・三石〜岡山間が黄緑色、津山線が山吹色、桃太郎線(吉備線)が桃色、伯備線が緑色、山陽本線・岡山〜福山間が橙色、山陽本線・福山〜糸崎間が空色、福塩線が紫色、宇野みなと線(宇野線)が水色、瀬戸大橋線が青色、赤穂線が赤色となっています。
227系500番代Uraraの車体はステンレス製。両開き扉を片側3箇所に配置していて、ラッシュ時でも乗降がスムーズにできるようにしています。
安全性・信頼性向上策として、岡山・備後エリアで初めて衝撃吸収構造や車両異常挙動検知装置、先頭車間転落防止ホロ、戸挟み検知装置、運転士異常時列車停止装置を採用しています。
●客室の利便性も向上
227系500番代Uraraの車内は、快適に利用できるように配慮しています。扉間の座席はクロスシートを片側4脚配置。このうち2脚は転換クロスシートで常に進行方向を向くことができます。
吊手と手すりはとっさの際に掴まりやすい形状として、色調をオレンジ色としています。また、車内に防犯カメラを設置して、セキュリティを向上させました。
そのほか、ラッシュ時の乗降をスムーズにするため、出入口付近のスペースを拡大。拡大部分のクロスシート背面には補助椅子を設置しました。
一部のドア上部には情報表示装置を設置して2ヶ国語で行先案内をします。
車端部には、車椅子やベビーカーを置くことができるフリースペースを設置。フリースペースの向かいの座席は、ロングシートとなっています。
三原側の先頭車には車椅子対応の大型洋式トイレを設置。トイレの向かい側をフリースペースとしています。
227系500番代Uraraは3両編成25本、2両編成13本の合計38本101両の導入を予定していて、山陽本線などで運用します。
●岡山の国鉄型電車の現況
227系500番代Uraraが配置される下関総合車両所岡山電車支所には、現在275両の国鉄型電車が配置されています。これらの車両の現況を見ておきましょう。
■105系
岡山では唯一の通勤形電車で、2両編成7本14両を配置しています。
105系は福塩線・福山〜府中間を中心に、山陽本線・岡山〜福山間でも運用しています。
■113系
113系は平坦線区向けの近郊形電車で、4両編成13本52両を配置しています。
4両編成で収容力があるので、山陽本線・姫路〜三原間、赤穂線、宇野みなと線、伯備線・倉敷〜新見間で運用しています。
■115系
115系は、勾配区間向けのノッチ戻し機構と抑速ブレーキを備えているほか、寒地にも対応した車両です。岡山には4両編成12本、3両編成31本、2両編成8本の157両という大所帯となっています。
115系は山陽本線・姫路〜三原間、赤穂線・播州赤穂〜東岡山間、宇野みなと線、伯備線、山陰本線・伯耆大山〜西出雲間、福塩線・福山〜府中間と、広範囲で運用しています。
■117系
快速「サンライナー」用だった車両です。4両編成6本24両が配置されています。
快速「サンライナー」は2022年3月で廃止されたので、現在は山陽本線・東岡山〜糸崎間、赤穂線・播州赤穂〜東岡山間で朝夕に運用するだけとなっています。
■213系
瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」用に導入した、ステンレス車体の近郊形電車です。現在は3両編成4本と、2両編成7本の26両を配置していて、山陽本線・和気〜糸崎間、赤穂線・播州赤穂〜東岡山間、宇野みなと線、本四備讃線・茶屋町〜児島間、伯備線・倉敷〜新見間で運用しています。
227系500番代Uraraは、山陽本線を中心に運用すると発表されているので、113系・115系・117系が置き換え対象になると予想されますが、実際にはどのようになるのか。その答えが分かる日もそう遠くはないでしょう。
(ぬまっち)