未来の市販スポーツバイク?イタリアのドゥカティが電動バイクの世界最高峰レースMotoE用マシン「V21L」を公開

■電動バイクの市販車へ技術投入するためのプロトタイプ

カーボンニュートラル実現に向けた電動化の波は、4輪車だけでなく2輪車にも徐々に及んでいて、世界のバイクメーカーでもさまざまな電動モデルの開発や発表を行っています。

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カウリングなどには軽量・高剛性のカーボンパーツも使用

そんななか、イタリアのバイクメーカー「ドゥカティ」は、電動バイクの世界選手権シリーズ「MotoE(モトイー)」で、2023年シーズンから使用するワンメイク車両「V21L」プロトタイプの生産を開始したことを発表しました。

2輪の世界最高峰レース「MotoGP」で、2022年シーズンにチャンピオンを獲得したワークスマシン「デスモセディチGP」のテクノロジーが投入されたというこのマシンは、いわば電動のMotoGPマシンといえるもの。

しかも、ドゥカティは、このマシンで培ったノウハウなどを電動の市販ロードバイクへも投入することを公表しています。未来のスーパースポーツともいえるV21Lとは、一体どんなマシンなのでしょう?

●2023年シリーズは全23台を提供

ドゥカティが今回公表したV21Lプロトタイプとは、2023年シーズンから世界選手権シリーズのMotoEで使用される車両です。

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ファクトリー内の生産模様

2019年からスタートしたMotoEは、電動バイクで速さを競う世界チャンピオンシップ。4輪でいえば、日産などが参戦している「フォーミュラーE」にあたる、電動バイクの世界最高峰レースだといえます。

現在、世界最高峰の2輪レースといわれるレースがMotoGPと併催されているのがこのシリーズです。

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MotoGP2022年チャンピオンマシンのデスモセディチGPと、年間王者となったフランチェスコ・バニャイア選手

従来は、エネルジカというメーカーの「エゴ・コルセ」というマシンを使ったワンメイクレースで開催されていましたが、2023年からは、ドゥカティ製マシンにチェンジ。V21Lプロトタイプのワンメイクとなり、少なくとも2026年シーズンまでは使われるといいます。

ドゥカティでは、レースに参加する18台のバイクと5台のスペアマシン、全23台を2023年2月中旬までに提供する予定だそうで、ファクトリー内での生産模様も公開。1台1台を手作りで行っているようです。

ドゥカティによると、このマシンは「MotoGPマシンの製造に使用される高度なクラフトマンシップと同じプロセス、精度、細部への注意を払って組み立てている」といいます。

具体的なスペックなどは未公表ですが、写真をみて分かるのは、一般的なエンジン搭載車にあるクラッチレバーやシフトペダルがないこと。モーターで走る100%電動バイクのため、シフトチェンジは不要ということでしょうね。

●パニガーレV4の技術も投入

なお、ドゥカティは、MotoEへマシンを供給する目的を、

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MotoGPマシンの電動バージョンがV21Lプロトタイプ

「レースの世界でテクニカル・ソリューションを実験し、この分野で開発されたすべてのノウハウを量産車へとフィードバックすることで、そのテクノロジーを世界中のモーターサイクル・ファンに提供すること」

だといいます。つまり、将来的に電動の市販スポーツバイクへ投入する技術などを開発するためのマシン、ということですね。

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パニガーレV4S

また、「ドゥカティ・コルセ(ドゥカティのレース活動などを担当する子会社)が開発したエレクトロニクスとシャシーに、パニガーレV4をはじめとする(市販)スポーツバイクの設計プロセスとプロジェクト管理手法を組み合わせている」

ことも公表。

公道からサーキットまで俊敏に走ることが魅力の公道用マシン、1103ccスーパースポーツの「パニガーレV4」などで培った技術も投入されているといいます。

●水素バイクも開発中

ちなみに、ドゥカティでは、こうした電動バイクのほかに、「内燃エンジンの総CO2排出量をゼロにすることができる合成燃料(efuel)の研究」も平行して行っているとのこと。つまり、ガソリンに替わる再生可能エネルギーとして期待されている水素燃料などで走るバイクも開発中ということですね。

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MotoEプロジェクトのスタッフ

一般的に、こうした燃料の方が、従来からの内燃機関を流用でき、乗り味などもガソリン車に近いなどといわれていますから、こちらの市販バージョンにも期待したいところです。

なお、2023年シーズンのMotoEは、5月13日(現地時間の土曜日)フランスGPを皮切りに、全8大会を予定。1大会2レース制で、全16レースが開催されることになっています。

残念ながら日本での開催はありませんが、ドゥカティのレース用電動バイクがどんなポテンシャルをみせるのか、とっても気になりますね。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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