インプレッサの冠名称が消滅、スバル「WRX STI」を米国デトロイトショーで発表【今日は何の日?1月15日】

■スバル最高峰のスポーツモデルとして注目を集める

2014(平成26)年1月15日、スバルは米国デトロイトショーで新型「WRX STI」を発表。「インプレッサWRX STI」の後継として、前年に発表された「WRX」をベースに、エンジンをパワーアップしてボディの軽量化と剛性強化などによって圧倒的な走りを実現しました。

2014年デトロイトショーで公開されたWRX STI
2014年デトロイトショーで公開されたWRX STI


●インプレッサWRX STiの誕生

1992年に登場したインプレッサWRX
1992年に登場したインプレッサWRX

インプレッサは、レオーネの後を継ぐ形で1992年にデビューし、“4ドアセダン”と“スポーツセダンWRX”、“5ドアのスポーツワゴン”の3種モデルを設定。エンジンは、すべて水平対向4気筒エンジンで、2.0L DOHCターボ(EJ20型)とNA(無過給)SOHCの1.8L(EJ18型)、1.6L(EJ16型)、1.5L(EJ15型)の4機種で構成され、駆動方式は4WDとFFが用意されました。

1994年に登場したインプレッサSTi
1994年に登場したインプレッサSTi

人気を獲得したインプレッサは、さらなるイメージ強化のため、1993年に「インプレッサWRX」でWRCへの挑戦を決断。そのベースとなったSTI(スバルテクニカルインターナショナル)を中心に手掛けたコンプリートカー「インプレッサWRX STi(当時は小文字のi)」を1994年1月に発売。EJ20ターボエンジンのファインチューニングによって最高出力/最大トルクは、250PS/31.5kgmに達しました。

その後、「WRXタイプR STi」はバージョンI、II、IIIなど、続々と進化モデルが続き、1995年からWRCで3年間マニュファクチャラーズタイトルを獲得するという、日本初の偉業を成し遂げ、インプレッサは世界中のファンが憧れるスポーツモデルへと駆け上がったのです。

●WRXをベースにチューンした高性能モデル

その後も、2000年の第2世代、2007年の第3世代と進化し続けましたが、スバルは2008年にWRC撤退を決断し、2014年8月にインプレッサWRX STiはその役目を終えます。

2014年デトロイトショーで公開されたWRX STIのリアビュー
2014年デトロイトショーで公開されたWRX STIのリアビュー

そして、インプレッサWRX STiの後継としてデトロイトショーで2014年1月15日に公開されたのが、新型WRX STI(米国仕様)。WRXは、2014年の4代目からそれまでのインプレッサのスポーツモデルという位置付けから完全に独立して、インプレッサの名前が取れて単独モデルとなり、同様にインプレッサWRX STiも、WRX STIとなったのです。

WRX STIは、WRXの2.0Lから、米国・欧州については排気量を2.5Lに拡大した水平対向ターボエンジンに変更(日本仕様は、2.0L)してパワーアップし、さらにボディとサスペンションの剛性を高めて、走行安定性とハンドリング性能を向上。また、センターデフの制御特性を選択できる“マルチモードDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)”を採用して、高速性能に磨きをかけました。

日本では、2014年8月から販売が始まり、1ヶ月で月販目標250台に対して、約7倍を受注する人気を獲得し、大きな話題となりました。

●惜しまれながら2008年にWRC撤退を決めたスバル

1993年にニュージーランドラリーで念願のWRC優勝を果たしたレガシィの後継として、満を持してインプレッサがWRCに挑戦。三菱「ランエボ」と熾烈な戦いを行いながらも、1995年にマニュファクチャラーズとドライバーズの両タイトルを獲得、1996年と1997年もマニュファクチャラーズタイトルを獲得するという偉業を成し遂げました。

その後も、毎年複数回優勝を重ねて、スバルとインプレッサはWRCで揺るぎない名声を得ることになりましたが、2005年にグレートブリテンラリーの優勝を最後に、2008年にスバルは惜しまれながらWRCから撤退を決断したのです。


WRX STIは、WRC撤退後も高い人気を博していましたが、2019年に名機EJ20型エンジンが生産終了になるのを機に、WRX STIも注文受付を終了しました。復活を望む声も多く、電動化したWRX STIを期待したいですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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