自工会の豊田章男会長が伝えた2023年の自動車産業への想い

■5団体の賀詞交換会を初開催

賀詞交換会
自動車5団体による賀詞交換会

3年ぶりに開催された日本自動車工業会など自動車5団体の賀詞交換会は、多くの関係者が集まり、大変な熱気に包まれていました。

2023年(令和5年)は、登録車の販売ランキングでもお馴染みの自販連(日本自動車販売協会連合会)も加わり、5団体(日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会、日本自動車販売協会連合会)による賀詞交換会として行われました。

永塚誠一副会長
永塚誠一副会長が豊田章男会長の挨拶を代読した

会場は都内のThe Okura Tokyo(オークラ東京)の平安の間。自動車メーカーなどのトップが顔を揃える中、自工会会長の豊田章男会長が定期的に受けているというPCR検査で陽性になり、欠席に。その旨がアナウンスされると少しどよめきが起きました。

豊田会長のスピーチを聞きに来る方も多いはずで、自工会専務理事の永塚誠一副会長が代読しました。

「皆様、あけましておめでとうございます。
自動車5団体としては、初となる賀詞交歓会をこうして開催できますことを本当にうれしく思います。太田経済産業副大臣、斉藤国土交通大臣におかれましては、公務ご多忙のところ、ご出席を賜り、誠にありがとうございます。そして、自動車産業で働く550万人の皆様、ありがとうございます。
私たちがこの言葉から新年をスタートするようになったのは、コロナ危機に直面した21年からになります。自由に移動できることは、決して当たり前のことではありません。世界中の人々が、それに気づいた年でもありました」

冒頭の挨拶の後、大型スクリーンの映像が乱れるハプニングがあったものの、メーカーだけでなく、販売店やレンタカー店、ガソリンスタンドまで、幅広い分野で働く自動車産業関連の550万人の方々が映し出されます。

映像の後にスピーチは続きます。

「昨年、米国、欧州、アジアを訪問する機会がありました。行く先々で感じたことは、感謝と期待です。

どの国でも自動車は基幹産業です。ただ、海外では、日本の自動車産業が現地に根付き、その国や地域の成長に貢献することを、当たり前のことではない、と感じていただいているように思いました」

筆者は、この『当たり前のことではない』ということを強調したいように感じられました。

「だからこそ、私たちの存在に感謝して期待をしてくださる。それこそが、誰かの役に立ちたい、より良い未来をつくりたい、という私たちの原動力になっていると思いました。これが今の日本にはなくなってきたと感じております。

毎年恒例ですが、年が明けると春闘の話題が盛り上がってまいります。賃上げの議論では、単年のベアばかりが注目されてまいりますが、本来注目されるべきは、地道に続けている分配の実績だと思っております。

この10年以上、私たちは全産業平均を上回る 2.2%の賃上げを続けております。雇用を維持するだけではなく、コロナ禍の2年間、22万人の雇用を増やしております。平均年収を500万円と仮定すると、1兆1000億円のお金を家計に回した計算になります。

ただ、ここ日本では、そんな私たちに対して、ありがとう、という言葉が聞こえてくることはほとんどありません。当たり前のことに感謝しあい、頑張っている人をたたえ、応援する。今日よりも明日を良くするために、みんなで必死に働く。その結果、成長し、分配して、中間層を増やすことで、私たちは豊かになってまいりました」

と、毎回、同会長が強調してきた自動車産業がもたらしている雇用の維持、そして雇用の増加などを強調。

さらに

「日本は、この強みを忘れてしまったのでしょうか。忘れたなら思い出せばいい。私はそう思います。

カーボンニュートラルをはじめ、今の私たちが直面する課題は、産業を挙げて、国を挙げて、みんなで一緒に取り組まなければなりません。今まで以上に、共感が大事になります。共感という言葉は、共に感謝すると書きます。ありがとう。と言い合える関係から生まれてくる未来への活力。それが共感だと思っております。

今年、私たちには、日本から『共感』を生み出していくチャンスがあります。5月のG7広島サミットは、日本らしいカーボンニュートラルの登り方を、各国の首脳にご理解いただく貴重な場になります。そして、10月のジャパンモビリティショーは、モビリティの未来を世界に発信する絶好の機会になってまいります。

G7も、モビリティショーも、オールジャパンの力が必要です。そのためには、産業界も官民も、心ひとつに動かなければなりません。今年のチャンスを生かせなければ、日本の未来はない。この危機感をもって、自動車産業は必死に働いてまいりたいと思います。

共に感謝しながら、みんなで動く1年にしてまいりましょう。皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました」

と、広島で開催されるサミット、東京モーターショー改めジャパンモビリティショーになる2023年のビッグイベントについての意気込みも語っています。

斉藤国土交通大臣
斉藤国土交通大臣
太田経済産業副大臣
マツダのある広島で生まれたという太田経済産業副大臣

なお、税制に関して触れられることはありませんでしたが、太田経済産業副大臣が挨拶でエコカー減税の継続についての成果を語っていたことも印象的でした。

(文・写真:塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘

塚田勝弘 近影
1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。クルマ、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。