俊足のトヨタ「スターレット」4代目(EP82型)デビュー。“かっとび”野郎も丸みを帯びて人気拡大【今日は何の日?12月19日】

■軽量コンパクトで俊敏なスターレットの伝統を継承

1989年にデビューした4代目スターレット
1989年にデビューした4代目スターレット(
写真提供:スターレットのすべて[弊社刊])
1989(平成元)年12月19日、トヨタの「スターレット」が3回目のモデルチェンジ行い、4代目がデビュー。軽量コンパクトで扱いやすく俊敏といった、それまでのスターレットの伝統を継承しつつ、ユーザー層を広げるためにワイドバリエーション化を図りました。

●「パブリカスターレット」の名前で誕生した初代スターレット

スターレットの源流は、1961年に登場した「パブリカ」です。トヨタ最初の大衆車として、低価格と取り扱いの良さが売りでした。その後、1966年に排気量を1000cc/1200ccに拡大した2代目が登場、これがパブリカスターレットのベースとなります。

1973年に登場したパブリカスターレット(初代スターレット)
1973年に登場したパブリカスターレット(初代スターレット)

1973年に2代目パブリカの派生モデルとして登場したのが、初代「パブリカスターレット」です。パブリカスターレットは、パブリカシリーズのスポーティな上級モデルとして設定され、著名なイタリア人デザイナー、ジウジアーロによるデザインで、パブリカとは全く異なる直線基調のスポーティなクーペに変貌しました。

1978年デビューの2代目KP61スターレットはFR車だった
1978年デビューの2代目KP61スターレットはFR車だった

エンジンはパブリカと同じですが、軽量コンパクトなボディの強みを生かしてモータースポーツでも活躍。その後1978年に2代目が登場、これを機にパブリカの冠が取れて「スターレット」を名乗り、またクーペからハッチバックにスタイル変更して、ここから実質的にスターレットの歴史が幕開けたのです。

●軽量コンパクトで俊敏なスターレットの伝統を磨き上げた4代目

1984年にデビューした3代目スターレット。カットとびスターレットのキャッチコピーが評判となった。
1984年にデビューした3代目スターレット。かっとびスターレットのキャッチコピーが評判となった

2代目スターレットは、低価格のコンパクトカーとして広い層に支持され、3代目はFRからFFに変更。軽量コンパクトを生かして、キャッチコピー“かっとびスターレット”で走りをアピールして、若者の人気を獲得しました。

1989年にデビューした4代目スターレット
1989年にデビューした4代目スターレット(写真提供:スターレットのすべて[弊社刊])
そして登場した4代目、そのボディスタイルは、3ドアハッチバックと5ドアハッチバックの2種で、全体に丸みを帯びたソフトなフォルムが採用されました。

エンジンは、1.3L直4 DOHCと同エンジンのEFI仕様、加えてGTに搭載されたターボ仕様、さらに1.5L直4 SOHCディーゼルの4機種。トランスミッションは、4速/5速MTと3速/6速ATが用意され、当初FFのみでしたが、4WDが追加設定されるなど、バリエーションを増やしていきました。

4代目スターレットは、エントリーモデルからスポーティモデルまで、多彩なバリエーションを用意することで、若者だけでなく広い層から支持される人気モデルとなったのです。

●走りと安全性をレベルアップした5代目で終焉、ヴィッツにバトンタッチ

最後となった5代目スターレット
最後となった5代目スターレット

4代目に続いて1996年に登場した5代目スターレットが、スターレットの構築した流れをヴィッツへバトンタッチをした最後のスターレットとなりました。

5代目からエアバッグとABSが標準装備され、コンパクトカーながら安全装備を標準化させたパイオニア的なモデルとして注目されました。

一方で、5代目は2代目や3代目、4代目ほどのインパクトは残せませんでしたが、堅調な販売を続け、1999年に生産を終了。これにより、「スターレット」の車名は、5代26年の歴史に終止符を打ち、国内向けとしては「ヴィッツ」(海外では「ヤリス」)に後を託したのです。

そのヴィッツも、2020年に国内国外を統一してヤリスとなります。


スターレットの魅力は、コンパクトで安価、ビギナーでも運転しやすい操作性、そしてスポーティさです。その伝統を引き継いだヴィッツは、世界の小型車を変えた存在とまで評価され、大ヒットモデルとなりました。

そしてそのスポーティな血統は、現在ラリーで活躍するGRヤリスなどにも脈々と受け継がれているのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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