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■日本初の次世代型路面電車「LRT」が宇都宮に登場!
●宇都宮ライトレールは2023年8月に開業予定
宇都宮ライトレールは、JR宇都宮駅東口と芳賀町の芳賀・高根沢工業団地を結ぶ路線です。2023年8月の開業へ向けて建設工事が進められていますが、すでに完成している、JR宇都宮駅東口〜平石間の本線試運転が11月17日から始まりました。
試運転は、車両基地に隣接した平石停留場への入線試験から始まり、本線から車両基地へ分岐するカーブ区間や停留場のホームなどの設備を確認しました。
続いて、平石停留場付近の高架線への入線試験を実施。深夜には、宇都宮駅に通じる鬼怒通りに設置された軌道の設備を確認しながら、5km/h程度でゆっくりと走行。JR宇都宮駅東口停留場に入線しました。
試運転2日目の19日未明に、JR宇都宮駅東口停留場手前のカーブで脱線事故が発生しましたが、幸い怪我人はいませんでした。今後、充分な対策を実施して試運転を再開すると思われます。
●宇都宮ライトレールは日本初のLRT新規路線
宇都宮ライトレールはLRT(Light Rail Transit)として日本で初めて新設された路線です。
LRTは1970年代に欧米の都市で普及。建設コストは地下鉄よりも安価。一般的な路面電車やバスを上回る中量規模の輸送力と優れたバリアフリー機能を有し、電車のメリットである定時性・速達性が期待できる輸送システムです。日本では次世代型路面電車とも呼ばれています。
車両は路面電車タイプの超低床車HU300形ライトラインが導入されます。
愛称の「ライトライン」のライトは、雷で有名な宇都宮エリアを意味する雷都、LRTのLight、明かりを意味するLightをかけたもの。ラインはつながりをイメージした言葉です。
ライトライン3両編成の全長は29.52mで、軌道法で規定されている30mギリギリのサイズとなっており、国内の路面電車としては最大級。定員は国内最多の160名です。
ライトラインの乗降扉は片側4ヵ所。全ての扉にICカードリーダーを設置していて、ICカードで乗降をすることができ、IC利用者には特に便利です。なお、現金利用者は運賃箱が設置されている先頭の扉からのみ乗降することができます。
ライトラインは100%低床構造を採用しているので、乗降口と通路には段差が一切ありません。車両間の貫通路の幅も広く、車いすでも通り抜けられます。
座席レイアウトはクロスシートと、ロングシートを配置するセミクロスシート。クロスシートの数を多くすることで座席定員50名を確保しています。また、ロングシートは優先席としてカラースキームを変えています。
フリースペースは全車両に設置。先頭車は運転台の背後に設置されいるほか、中間車のフリースペースには腰当ても設置されています。
●宇都宮ライトレールはどのような路線になる?
宇都宮ライトレールJR宇都宮駅東口〜芳賀・高根沢工業団地間の開業で期待されているのは、自動車・バスで通勤・通学している人を電車に移行させることによる渋滞の緩和です。沿線には宇都宮大学・作新学院大学などの学校があります。
また、清原工業団地・芳賀工業団地内を通っていて、終点の芳賀・高根沢工業団地停留場は、本田技研工業生産企画統括部・パワートレイン生産企画統括部などの目の前。清原工業団地・芳賀工業団地に隣接したニュータウン、ゆいの杜からの通勤・通学客の利用も期待されています。
それを証明するかのように、宇都宮ライトレールの開業が決定してから、ゆいの杜の人口は急増したそうです。宇都宮ライトレールの需要予測は平日1日あたり約1万6300人を見込んでいます。
宇都宮ライトレールは6時台〜23時台にピーク時6分間隔、オフピーク時10分間隔で運行することを計画。快速運行も計画しているので、利便性は高そうです。最高速度は40km/h。JR宇都宮駅東口〜芳賀・高根沢工業団地間の所要時間は約44分、快速運行では約37〜38分を予定しています。
また、JR宇都宮駅東口・宇都宮大学陽東キャンパス・平石・清原地区市民センター前・芳賀町工業団地管理センター前の5停留場をトランジットセンターとして、バスとの接続点とタクシー乗り場を設置するほか、パークアンドライド、サイクルアンドライドを整備する計画となっていて、宇都宮ライトレールを幹とした交通体系ができあがります。
宇都宮ライトレールの開業まで9ヵ月あまり。宇都宮・芳賀エリアの今後の変化が楽しみです。
(ぬまっち)