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■1830年代に登場したEVは内燃機関車よりも古い!
テスラの躍進に象徴されるクルマの電動化。日本車でも日産アリアやトヨタbZ4X、スバル・ソルテラといったニューモデルの登場が登場しています。
欧州やアメリカの一部州などでは、2035年に内燃機関のクルマの販売を禁止し、EVを主力とすると伝えられており、EVは次世代のクルマの代表格となっています。
ここでは意外と知られていないEVの歴史を紹介しましょう。
EVの歴史は実は内燃機関を採用したクルマより古く、1832〜39年に登場した記録が残っています。しかし、まだ当時はバッテリーやモーターの技術が未熟で、実用化には至りませんでした。その後1884年に実用的な電気自動車がイギリス人の手によって製造され、1900年頃にはアメリカ市場の約38%を電気自動車が占めるまでに普及します。
しかし1904年、ガソリンエンジンを搭載したクルマが時速100マイルを超えたことをきっかけに、ガソリン車が有利となります。そして1908年にフォードがあのT型フォードを発売してから1990年代になるまで、電気自動車は歴史の表舞台からほぼ姿を消してしまいます。
●日本ではたま電気自動車のたま号が初
日本では第二次世界大戦後、石油は統制品だったためEVの需要が高まりました。そこで、後のプリンス自動車になるたま電気自動車が1947年に開発したたま号が登場しました。たま号は2ドアセダンで最高速度35km/h。1充電の走行距離は65kmでした。その後改良が加えられ1949年に発売された、たまセニア号は1充電で200kmの走行が可能となったのです。
しかし1950年に朝鮮戦争が勃発すると、電気自動車の動力源となるバッテリーに使用する鉛の価格が高騰し、EVは衰退してしまいます。1990年後半になると、テスト目的で開発されたEVが法人向けにリースされ始めます。1996年にトヨタはコンパクトSUVのRAV4 EVを、1997年には日産がプレーリージョイEV、そしてホンダEV・プラスをフリート販売しました
そして2000年2月に日産は2人乗りの軽電気自動車のハイパーミニを発売します。日本で最初に型式認定を取得して市販されたEVで、マウント式200V充電器付きで400万円という価格でした。
軽量化を狙い、当時国産初のランフラットタイヤを標準装備したハイパーミニは最高速度100km/hを達成。1回の充電115km(10・15モード燃費)の走行が可能でした。しかしハイパーにミニはわずか2年で生産を終了してしまいます。
●ついに量産初のEV「i-MiEV」登場!
2006年になると、三菱自動車は軽自動車「i」をベースとしたi-MiEVを発表し、2009年より量産を開始します。また2008年にはSUBARUが電気自動車のコンセプトモデルであるプラグインステラコンセプトを発表。2009〜2010年に市販モデルとして少量ながら法人・官公庁向けに販売しました。
2010年12月に日産は新開発の量産型EVである初代リーフを発売。当初1充電の走行距離は200km(JC08モード)でしたが、改良を加えて最終的には280kmまで伸ばしました。また2013年には商用EVのe-NV200を発表し、EVラインアップを充実させています。
これまで公害やエネルギー不足となる度に、その存在に注目が集まってたEVの歴史を超駆け足で振り返ってみました。
日産リーフは2代目となって航続距離を最長450kmまで延長し、テスラは時価総額を目まぐるしく急騰・急降下させながらもTwitter買収を決行、中国からは“黒船”BYDがいよいよ日本上陸を果たすなど、EV界隈の動向は世界中でおおいに盛り上がりを見せています。何度も表舞台から消えては現れるを繰り返してきたEVですが、これからは次世代車の中心として進化・普及して、より身近な存在になっていくでしょう。
(萩原文博)
※この記事は2022年11月2日に再編集しました。
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