スーパー耐久岡山戦の予選を「リアルタイム手話実況」。Make a Move PROJECTの実証実験【スーパー耐久2022】

■情報のバリアフリーを目指して手話でレースをリアルタイム実況

実際の手話実況の画面-Youtube Stai TVより
実際の手話実況の画面-Youtube Stai TVより

10月15日(土)、16日(日)に岡山国際サーキットで開催された「ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第6戦 スーパー耐久レースin岡山」。

その予選の様子を伝えるスーパー耐久の公式Youtube「Super Taikyu TV/Stai TV」でモータースポーツにとって全く新しい試みが行われました。

全く新しい試みと言うのは、なんとレースのリアルタイム実況を手話で行うというものです。この試みは一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation 以下「TMF」)のアイデアコンテスト「Make a Move PROJECT」の応募作の中から選ばれ、実際に実証実験を行う17チームの一つとして選ばれたことにより実現しています。

実況が行われたGr.2予選でポールポジションとなったTRACYSPORTS RC350TWS
実況が行われたGr.2予選でポールポジションとなったTRACYSPORTS RC350TWS

TMFでは、「もっといいモビリティ社会」の実現に向け、本年6月より、様々な想いやノウハウを持った人々とともに、アイデアやソリューションの社会実装を目指すアイデアコンテスト「Make a Move PROJECT」を実施。

本コンテストは3部門で構成されており、そのうちの一部門である「Mobility for ALL ~ 移動の可能性を全ての人に」部門では、モータースポーツに焦点を当て、障がいの有無などにかかわらず誰もがモータースポーツ観戦を楽しめることができるアイデア公募を行いました。

実際の手話実況の画面-Youtube Stai TVより
実際の手話実況の画面-Youtube Stai TVより

一次選考を通過した17チームが、10月15日~16日に岡山国際サーキットで行われるスーパー耐久レースの会場などにおいて、アイデアの社会実施に向けての実証実験を行いました。その中の一つで、岡山放送が応募したアイデアがこの「情報のバリアフリー化に向けたモータースポーツの手話放送」です。

実況が行われたGr.2予選では水素カローラも走ります
実況が行われたGr.2予選では水素カローラも走ります

手話によるリアルタイム実況が行われたのは15日に行われたGr.2予選ででした。このGr.2は1500cc相当のマツダ ロードスターやデミオ、フィットなどのST-5クラス、2400cc相当のGR86などのST-4クラス、3500cc相当のクラウン、レクサスRC350、フェアレディZなどのST-3クラス、そしてカーボンニュートラル技術を開発するための4台が参戦しているST-Qクラスの予選です。

カーボンニュートラル燃料マシンやバイオディーゼル、そして水素カローラが走るGr.2は社会的にも注目度が高いので、その予選を手話実況するというのは多くの方にその内容を見てもらえるということにもなります。

●手話ならではの独特な仕組み

実況はNHKみんなの手話などで講師を務める早瀬憲太郎さん
実況はNHKみんなの手話などで講師を務める早瀬憲太郎さん

手話実況を行うのは「NHKみんなの手話」などで講師を務める早瀬 憲太郎さん。ご自身もデフリンピックの日本代表として自転車競技に参戦したこともあるアスリート。また制作と脚本をした映画が「トロントろう映画祭最優秀賞」を受賞したという映像作家でもあります。

そんな手話の第一人者である早瀬さんが実況を行うGr.2予選の様子を、岡山国際サーキットの中に設置された特設スタジオ内で特別に取材をさせていただきました。

実況者の口の動きを見て手話にする
実況者の口の動きを見て手話にするため、モニターは複数用意される。

早瀬さん自身もろう者であるために、手話実況は実況者の口の動きを見て手話に変換するという作業が行われます。

実況者の口の動きを見て手話にする
実況者の口の動きを見て手話にするため、実況のお二人は特別にマスクを外しています。

そのため実況の数野祐子さんと解説の福山英朗さんは特別にマスクを外しての実況となります。

また手話実況では手の動きだけでレースを表現するのではなく、手話実況者の表情も重要となっているとのことです。この手の動きと表情で迅速にレースを実況していっているのです。

この手話実況が広まるとろう者の方でもリアルタイム放送でレースの様子を観ることができるため、レース情報のバリアフリーとなります。またYoutubeなどのインターネットプラットフォームと組み合わせることにより、サーキットのコースサイドでも手話実況を確認でき、リアルな観戦にも役立ちます。

実況の数野祐子さんも手話で自己紹介
実況の数野祐子さんも手話で自己紹介

こういった手話によるリアルタイム実況の他にも、これを含めた17の、障がいの有無などにかかわらず誰もがモータースポーツ観戦を楽しめることができるアイデアが岡山国際サーキットで実証実験が行なわれました。

実況が行われたGr.2予選では2400cc相当のST-4クラスも走ります
実況が行われたGr.2予選では2400cc相当のST-4クラスも走ります

これらを通じてモータースポーツ観戦の様々なハードルが下がっていくこと、そしてもっと多くの方々にその楽しさが伝わることを願って止みません。

(写真・文:松永 和浩

【関連リンク】

Youtube Super Taikyu TV/Stai TV
https://www.youtube.com/channel/UC8sfQKfk_4_JePSHSupvT4w

トヨタ・モビリティ基金、アイデアコンテストの「Mobility for ALL」部門の一次選考通過チームが岡山国際サーキットにて実証実験を実施
https://toyotamobilityfoundation.jp/news/631/

岡山放送 史上初の試み モータースポーツを“手話で実況”してみたら…“新たな楽しさ”が健常者にも見えた【岡山】
https://www.ohk.co.jp/data/21309/pages/

この記事の著者

松永 和浩

松永 和浩 近影
1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。