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■個性的な3つのモデルを登場させた3代目ワンダーシビック
1983(昭和58)年9月23日、ホンダから“ワンダーシビック”と呼ばれた3代目「シビック」の3ドアハッチバックがデビュー。続いて1ヶ月遅れの10月20日には、4ドアセダン、5ドアシビックシャトルと、バリエーション豊かなモデルが続々と登場しました。
●初代シビックは、CVCCエンジンを搭載して歴史的なヒットモデルに
1972年にデビューした初代シビックは、2ドアファストバックのコンパクトカーとしてデビュー。コンパクトながらFFによる余裕の車室内空間を確保した上で、軽快な走りと低燃費を両立させてヒットモデルになりました。
さらにシビックの名前を世界中に広めて人気を決定的にしたのは、翌年登場したCVCCエンジン搭載モデルです。
CVCCエンジンは、当時世界一厳しい排ガス規制(通称マスキー法)に世界で初めて適合した、世界が注目したエンジン。この初代シビックが、ホンダの4輪事業の成功、および北米市場成功の布石となりました。
1979年には、フルモデルチェンジによって2代目“スーパーシビック”が登場。キープコンセプトで、ボディが大きくなり、ブラッシュアップされました。
●ハッチバック、セダン、ハイトワゴンとバラエティに富んだワンダーシビック
3代目“ワンダーシビック”は、基本的にはキープコンセプトでしたが、ロングルーフのビュレットフォルムで、ボディタイプごとに異なるプラットフォームを使って最適設計をしているのが、大きな特徴でした。
最初に登場した俊敏な走りの3ドアハッチバックは、先代よりも全高を100mm下げ、全幅を50mmも広げたワイド&ローのスマートなスタイルを採用。
1ヶ月後にデビューしたセダンは、広い室内空間とトランクルームを確保したモダンな3ボックススタイル、ユーティリティが求められる5ドアシャトルはハイトワゴン風のスタイルと、同じシビックシリーズには見えない個性的なモデルとして仕上げられました。
エンジンは、1.3Lと1.5Lの4気筒SOHCのキャブ仕様および1.5Lの燃料噴射仕様を棲み分けて搭載。どのエンジンも、ホンダらしくパワフルで燃費も優れていました。やや人気が低迷した2代目でしたが、ボディスタイルの豊富な3代目シビックで人気を盛り返しました。
●トヨタのFRレビンに対抗して登場したシビックSi
3代目シビック登場の同年には、トヨタから名車「カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86型)」が登場し、大きな話題となりました。ホンダはAE86に対抗するため、翌年1984年にホットハッチの「シビックSi」を追加しました。
エンジンはF1技術を投入した新開発の1.6L直4 DOHCの名機ZC型エンジン、AE86の出力を5PS上回る135PSを発揮して、トヨタに対するライバル心を見せました。ZC型DOHCエンジンは、軽量コンパクトなロングストロークエンジンで、低中速トルクが高く、モータースポーツでも大活躍しました。
初代シビックの大成功によって、ホンダは一躍世界的な自動車メーカーへと成長しました。その勢いのまま登場した3代目シビックは、一見すると同じシビックシリーズとは思えないような3つのモデルを登場させた、まさにワンダーなモデルでした。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)