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■ブレーキ強化や高品質パーツを投入したSP仕様
イタリアのバイクメーカー「ドゥカティ」は、2022年9月15日、2023年ニューモデルを公開する「ドゥカティ・ワールド・プレミア」において、大型ネイキッドモデル「モンスター」に、よりスポーティな走りを楽しめる上級グレードの「モンスターSP」を設定することを発表しました。
モンスターといえば、1993年の初代モデル以来、世界中で大きな支持を受けているロングセラーモデル。
そのSPバージョンである新型は、2021年にフルモデルチェンジを受けた現行モンスターをベースに、オーリンズ製サスペンションの採用やブレーキの強化を敢行。
また、ベースモデルから車体を約2kg軽量化するなどで、より軽快なスポーツライディングを楽しめる仕様になっているといいます。
さらに、世界最高峰2輪レース「MotoGP」に参戦するドゥカティのワークスマシンを彷彿とさせるカラーリングや、各部にプレミアムなパーツを装備し、より高級感もアップ。ドゥカティファンには、かなり注目のモデルだといえます。
●モンスターとは?
モンスターは、初代モデルが1993年に登場した、ロングセラーのネイキッドモデルです。
それまでのドゥカティ製バイクといえば、フルカウルのスーパーバイクというイメージが強かったのですが、ストリートを快適で俊敏に走れるマシンとして登場したカウルレスのモンスターは、従来のドゥカティ製バイクが持つイメージを一新したモデルです。
車体にはスーパーバイクに由来する軽量・高剛性フレームを採用、900cc・90度V型2気筒(通称Lツイン)エンジンを搭載した初代モデルは、スポーティでロードユースに最適な乗り味などで、大ヒットを記録。1200ccなど、さまざまな排気量のモデルが作られた後継モデルの礎となります。
ちなみに、日本市場では、1990年代に400ccモデルも販売されています。当時、多くの若者ライダーが取得した中型限定自動二輪免許(現在の普通二輪免許)で乗れる最大排気量であることで、初心者や女性ライダーなど、幅広い層に人気を得ました。
そして、そうした伝説的な名車の血統を受け継ぐのが、2021年にフルモデルチェンジを受けて登場した現行のモンスターです。
エンジンには、ドゥカティが「テスタストレッタ11°」と呼ぶ、独自のデスモドロミック・バルブタイミング・システムを採用した937cc・水冷4バルブV型2気筒を搭載。
スーパースポーツの「パニガーレV4」からヒントを得たというフロントフレームには、非常に軽くコンパクトなアルミニウム製を採用し、優れたハンドリング性能と、車両重量188kgという軽量なボディに貢献します。
なお、現在のラインアップには、スタンダード仕様のモンスターと、小型のフロントカウルやタンデムシートカバーなどを装備したモンスター+(プラス)があります。
●専用カラーや高級パーツを装備したSP
新型となるモンスターSPは、数多くのプレミアムなコンポーネントを採用することで、さらなる軽量化を達成すると共に、スポーツ・ライディングの楽しさを強化し、よりアグレッシブなスタイルをまとっていることが特徴です。
まず、外観では、MotoGPに参戦するワークスチーム「ドゥカティ・レノボ・チーム」がレースへ投入するマシン「デスモセディチGP22」にヒントを得たカラーリングを採用。
オーリンズ製フロント倒立フォークには、ゴールド・カラーのアルマイト処理を施したほか、2本出しテルミニョーニ製サイレンサー(型式認証済み)などの装備で、高い戦闘力とアグレッシブなスタイルを実現します。
また、タンクからテールエンドへと繋がる一体感を強調したレッド・カラーのライダーシート、専用パッセンジャーシートカバーに入った「Monster SP」ロゴなどが、より質感の高さも演出。SPバージョンらしいプレミアム感を醸し出します。
●高性能なパーツで約2kg軽量化
エンジンは、スタンダード仕様のモンスターと同様の937cc・水冷4バルブV型2気筒を搭載。最高出力111ps/9250rpm・最大トルク9.5kgf-m/6500rpmといったスペックも同じです。
より軽量化を図ったSPでは、まず、フルアジャスタブル・タイプのオーリンズ製フロントサスペンションを採用。モンスターおよびモンスター+に装着されているフロントフォークよりも、0.6kgの軽量化を実現しています。
フロントブレーキには、ブレンボ製Stylema(ステルマ)キャリパーやアルミニウム製フランジを備えた320mmダブルディスクを装備。ストッピングパワーを向上させると共に、スタンダード仕様のモンスター比で0.5kgの軽量化も図っています。
さらに、バッテリーも、より軽量なリチウムイオンタイプを採用。SPでは、ステアリング・ダンパーや専用のマイクロビキニ・カウルなど、スタンダード仕様などにないパーツもプラスされていますが、それでも車両重量は186kg。スタンダード仕様やモンスター+の188kgに対し、約2kgの軽量化を実現しています。
●電子制御システムもアップデート
モンスターSPは、さまざまな電子制御システムのアップデートも注目点です。
各システムの設定は、車体に加えられた変更を最大限に活用できるように、すべてのライディング・モードで見直されたほか、滑りやすい路面をより安全に走行するために、新しく「ウェット」ライディング・モードも導入されています。
これにより、SPでは「スポーツ」「ツーリング」「ウェット」といった3つのライディング・モードを用意し、ライダーの好みや走行状況に応じた出力特性などを選択できます。
ほかにも、コーナリングABS、ドゥカティ・トラクション・コントロール、ドゥカティ・ウィリー・コントロール+などを装備。
加えて、ロケットスタートを実現するローンチ・コントロールも採用することで、サーキット走行などでも高次元の走りを実現します。
現在のところ、モンスターSPの日本仕様がいつ登場するのかや、価格などは明かになっていません。
スタンダードのモンスターが価格(税込)147万5000円、モンスター+の価格(税込)は152万5000円ですから、おそらく、これらよりは高くなることは間違いないでしょう。
ともあれ、ドゥカティ製ネイキッドバイクのフラッグシップとなるモンスターSPは、実際にどんな乗り味が楽しめるのか、今から登場が楽しみですね。
(文:平塚直樹)