京都鉄道博物館で国鉄最強の電気機関車EF66形27号機を特別展示中

■国鉄最強の電気機関車の展示期間は8月28日(日)まで

EF66 27(右)とEF65 2085(左)

京都鉄道博物館では8月20日(土)〜28日(日)の期間中、JR貨物の電気機関車EF66形27号機、EF65形2085号機とコンテナ車のコキ104-1626とコキ107-161の4両を特別展示しています。

●引退間近のEF66 27「ニーナ」が大人気

今回展示された4両のうち、圧倒的な人気を誇っているのはEF66 27。

国鉄時代に製造されたEF66形0番代最後の1両で、ファンからは「ニーナ」と呼ばれています。

流麗な車体デザインで人気のEF66 27「ニーナ」

EF66形0番代は特急貨物用の電気機関車として開発され、国鉄時代の1968〜1074年に55両が製造されました。車体デザインは特急形に相応しく、他の電気機関車には見られない斬新なもので、これも人気の理由のひとつ。

EF66形は1000tの貨物を最高速度100km/hで牽引するため、1時間定格出力は3900kWを発揮します。これは当時のEF級電気機関車の標準だった2550kWの約1.5倍です。国鉄最強なのはもちろん、線路幅1067mmの狭軌用電気機関車としても当時世界最強でした。

国内最強の座は1990年に登場したJR貨物の6000kW 級電気機関車のEF200形・EF500形に一旦譲りましたが、いずれもすでに消滅していて、現在は最強の座に返り咲いています。

PS22形下枠交差式パンタグラフ
EF66形0番代用冷房装置

京都鉄道博物館の特別展示の魅力のひとつは屋根上の機器を間近に見ることができること。パンタグラフ等の屋上機器や、JR貨物所有のEF66形0番代特有の冷房装置をじっくりと見ることができました。

惜別ヘッドマークを掲出したEF66 27

さらに、8月20日(土)14時〜21日(日)12時と、21日(日)16時〜28日(日)12時は、ヘッドマークを掲出して展示されます。

EF66 27「ニーナ」は今年10月で全検(全般検査=自動車で言うところの車検です)の期限が切れて引退する予定で、これも人気に拍車をかけていると思います。

常設展示されているEF66 35

実は、京都鉄道博物館にはEF66形35号機が常設で展示されているのですが、やはり現役で活躍している車両の方に人気が集まるようです。

●国鉄型電気機関車もっともポピュラーなEF65形

特別展示された電気機関車のもう1両は、EF65形2085号機です。EF65形は新鶴見機関区所属で関東を中心に運用していて、関西への定期運用は僅かとなっているため、関西の人たちにとっては貴重なチャンスです。

関東から遠征してきたEF65 2085

EF65形は直流電化区間平坦線区向けの標準機として、1965〜1979年に308両が製造されました。

0番代のほか、寝台特急用の500番代P(P=Passenger)、特急貨物用の500番代F(F=Freight)、そして1000番代PFが製造されています。

EF65形2000番代は貫通扉がトレードマーク

1000番代PFは、言葉通り寝台特急と特急貨物両方の牽引に対応した万能機で、139両が製造されました。

特急貨物列車を牽引する場合は重連運転を行うため、重連総括制御装置を装備。外観では、前面には貫通扉を設置していることが0番代・500番代との大きな相違点となります。

EF65 2085は、EF65 1085として製造されました。後に、最高速度110km/h運転を実施する機関車に運転状況記録装置の取り付けが義務づけられた際に、JR貨物所有のEF65形は最高速度を100km/hに制限することとして、区分代を2000番代に変更。JR東日本・JR西日本の1000番代と区別しています。

EF65 2085には最終全検出場記念マークを掲出

RF65 2085は1000番代時代にブレーキの応答性を高める常用減圧促進改造を実施していて、前面のナンバープレートが赤くなっているのが特徴です。

また、EF65 2085にもヘッドマークをが掲出。最終全検出場を記念した特製マークで、デザインは2種類用意されていました。

そのほかEF65 2085は運転台も特別公開され、大好評でした。

●現役のコンテナ車も特別展示

今回はコンテナ車も特別展示。EF66 27には20D形コンテナを満載したコキ107-161を連結。EF65 2085にはコキ104-1626を空荷状態で連結しました。

コキ107-161には20D形コンテナ5個を積載
コキ104-1626は空荷状態で展示しました

どちらもコキ100系グループの一員。コキ100系は1987年から6000両以上が製造されているJR貨物の一大グループ。最高速度110km/hに対応しているのが特徴。コキ104形は40.5t積みで、1984〜1996年に2908両を製造。コキ107形は40.7t積みで、2006年どちらもユニットを組まず1両単位で運用できる車両です。

貨車も普段はなかなかじっくりと見ることができない車両ですので、この機会に見学するといいでしょう。

ぬまっち

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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