ホンダから2代目ストリームが登場。室内空間を広げて強敵ウィッシュに挑む【今日は何の日?7月14日】

■室内空間を拡大しつつスポーティさを強調したコンパクトミニバン

2006(平成18)年7月14日、ホンダから2代目「ストリーム」がデビューしました。初代ストリームは、扱いやすい7人乗りコンパクトミニバンのパイオニアとして人気を獲得しましたが、ライバルのトヨタウィッシュ」の出現もあり、人気は徐々に低迷。その挽回のために登場したのが2代目ストリームです。

2006年に登場した2代目ストリーム。初代より室内空間を広げて、さらに快適性を向上

●コンパクトミニバンのパイオニアとなった初代ストリーム

初代ストリームは、2000年にデビュー。1994年に登場して大ヒットしたオデッセイよりも全高の低い、扱いやすい5ナンバーのコンパクトミニバンとして、新たな市場を開拓しました。

2000年にデビューしたコンパクトミニバンのパイオニア初代「ストリーム」
2000年にデビューしたコンパクトミニバンのパイオニア初代「ストリーム」

シビックのプラットフォームを延長した従来のミニバンにない低重心・低床パッケージングによって、5ナンバーサイズでありながら3列シート7人乗りの室内空間と流麗なスタイリングを両立。また、セダン並みの乗り心地も魅力でした。

コンパクトで小回りの利くミニバンとして人気を集めたストリームは、販売から10ヵ月で10万台を超える大ヒットモデルとなります。ところが、2003年に同じコンセプトのトヨタ・ウィッシュが登場すると、状況は一変、販売台数は大きく落ち込んでしまいました。

●一時的に人気は回復するもウィッシュの牙城は崩せず

人気挽回のためにモデルチェンジして登場したのが、2代目ストリームです。最大の特徴は、全高を下げながらもホイールベースを20mm伸ばすなどで3列目の室内空間を拡大し、より快適な室内空間を実現していること。パワートレインは、1.8Lおよび2.0Lのi-VTECエンジンとCVTおよび5速ATの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意されました。

2代目ストリームのコンパクトながら広い室内空間
2代目ストリームのコンパクトながら広い室内空間

スタイリッシュなフォルムとスポーティな走りが多くのファミリー層に受け入れられ、年間5万台近くまで販売台数は伸び、一時的に人気を取り戻しました。しかし、ウィッシュの人気は根強く、その後販売台数は徐々に落ち込み、結局2014年に生産終了、ストリームは2世代でその歴史に幕を下ろしました。

●ストリームの開拓した市場を奪い取ったウィッシュも生産終了

2003年にデビューしたトヨタのウィッシュ。一時は、年間15万台も売れた大ヒットモデル
2003年にデビューしたトヨタのウィッシュ。一時は年間15万台も売れた大ヒットモデル

トヨタはストリームの市場評価を分析して、コンセプトとボディサイズをほぼ同じにしながらも、すべてにおいてストリームを少しずつ上回る、いわゆる「2番手戦略」でウィッシュを開発し、成功したのです。

しかし、そのウィッシュの人気も徐々に右肩下がりとなり、2017年に生産を終えました。市場の流れは、背の低いコンパクトミニバンよりも、ヴォクシーのようなスライドドアを備えた背の高いミニバンへと移行したためです。コンパクトミニバンのブームも、10年ほどで陰りが見えてきました。


最近のクルマは、スタイリングよりも快適性や乗降性などの実用性が重視される傾向があるようです。「カッコよければクルマは売れる」というのは、遠い昔の話ですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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