ホンダ新型ステップワゴンはトヨタ・ノア/ヴォクシーより走りと3列目シートの座り心地で優れる

■人気はハイブリッド仕様の「スパーダ」で「スパーダ・プレミアム・ライン」も大健闘

新型ホンダステップワゴンが好調なスタートを切っています。

初代からシビック・ベースのFFミニバンとして登場し、2022年5月リリースの現行型まで約26年間で6代を数えています。1996年誕生の初代ステップワゴンは、キャブオーバーベースのミニバンが当たり前だった中、現在のミニバンの流れをアコードベースのオデッセイとともに作ってきました。なお、セミキャブのトヨタ・タウンエースノアは1996年登場、FF化された2代目日産セレナは、1999年にリリースされています。

ホンダ ステップワゴン
新型ステップワゴンの走行シーン

ホンダは、ベースとなるちょうどいいサイズのセミキャブオーバーを持っていなかったという事情はあるものの、広いキャビンとラゲッジスペース、セミキャブオーバーよりもフロアを抑えられるFFベースのミニバンを送り出したのは、先見性があったといえるでしょう。

ホンダ ステップワゴン
「スパーダ・プレミアム・ライン」のリヤビュー

以前お伝えしたように、新型ステップワゴンは、発売1ヵ月後となる2022年6月27日時点で、先行受注分も含めて2万7000台を受注しています。

なお、発売1ヵ月で約7万台を受注したというトヨタ・ノア/ヴォクシーは、早くもリコールを出すというつまずきはあるものの、ホームページには納期の目処として6ヵ月以上(2022年7月11日現在)と記載されています。ノア/ヴォクシーの売れ方は、近年の登録車の中でも驚異的といえるかもしれません。

ホンダ ステップワゴン
初期受注は、ハイブリッドが人気になっている

新型ステップワゴンのパワートレーン別では、2モーター式ハイブリッド仕様の「e:HEV」が67%を占め、タイプ別でもハイブリッド仕様の「スパーダ」が35%、同じくハイブリッド仕様の最上級仕様「スパーダ・プレミアム・ライン」が24%と続いています。初期受注段階では、「高級グレードから売れる」というのが新型車にある程度共通する傾向といえます。新型ステップワゴンの「スパーダ・プレミアム・ライン」が売れているのもこうした傾向に加えて、販売を終えたオデッセイの受け皿にもなっているかもしれません。

●「スパーダ」が売れているのは、デザインだけでなく装備の差も相当に大きいはず

なお、「スパーダ」以上は、「エアー」よりも装備が充実しているという事情もありそうです。「エアー」になく、「スパーダ」以上に標準装備されるのは、「LEDアクティブコーナリングライト」、「トリプルゾーンコントロール・フルオートエアコン」「運転席&助手席シートヒーター」、「全列USBチャージャー(タイプC)」、「2列目オットマン」、「本革巻きステアリング」、「パワーテールゲート(メモリー付)」、「カラードテールゲートスポイラー」、「減速セレクター」などとなっているだけでなく、同じ装備を備えていても素材が異なるなど、仕立ても異なっています。

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「スパーダ・プレミアム・ライン」のエクステリア

先代は「わくわくゲート」がありましたが、新型はなくなり、大開口部の大型テールゲートを備えるため、とくに「パワーテールゲート」の有無は、グレード選びにも大きな影響をもたらしそうです。

●視界の良さは、ノア/ヴォクシー以上

さて、新型ステップワゴンの運転席に乗り込むと、視界の良さが印象的です。新型ノア/ヴォクシーも十分に良好な視界が広がりますが、新型ステップワゴンは、水平基調のベルトラインがそのままボンネット先まで水平に広がっています。

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新型ステップワゴンのインパネ

Aピラーをドライバー側に70mm後退させ、駐車時や狭い場所での右左折時にボンネットがしっかり見える視界にするなどの工夫が凝らされていて、運転席から見えるボンネットのエリアも先代よりも広くなり、Aピラーにあった三角パッチが廃止され、ドアミラーもドアスキンマウント化されるなど、斜め前方視界にも相当な配慮が施されています。

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新型ステップワゴンのサードシート

さらに、サードシートの着座位置を高めるシアターレイアウトにより、3列目まで良好な前方視界を備え、クルマ酔いしにくいシート配列になっています。また、3列目のシート自体の厚みや座り心地の良さもライバルのノア/ヴォクシーを上回っている印象で、ヒール段差こそやや低いものの、3列目まで大人がしっかり座れるシート設計になっています。3列目は、6対4分割式の床下格納式にしていて、格納時の斜め後方視界も優れている利点もあります。

●ハイブリッド仕様のパワフルかつ静かで快適な乗り心地が光る

走行フィールは、ホンダらしく爽快感があり、動力性能も十分に確保されています。売れ筋のハイブリッド仕様の「e:HEV」には、熱効率をさらに高めた2.0LアトキンソンサイクルDOHC i-VTECが積まれています。

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ハイブリッド「e:HEV」の走行シーン

徹底したフリクションロスを低減させると共に、車速と回転数が連動する気持ちの良さも追求。走行用モーターと駆動用モーターを備える「e:HEV」は、エンジン直結クラッチも備わり、高速域ではエンジンのみでの走行も可能で、エンジンの効率が高まる高速域でその良さを引き出せます。

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バイワイヤ化されたハイブリッドは、スイッチ式セレクターを採用

さらに、バッテリーの出力向上に寄与しているPCU(パワーコントロールユニット)の採用もあり、135kW(184ps)/315Nmもの最高出力、最大トルクを誇るモーターによるアシストも強力そのものです。エンジンは街中でも頻繁に作動するものの、静粛性はかなり高く、エンジン始動時に音や振動もよく抑えられています。

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こちらはガソリンエンジン車のシフトレバー

さらに、ハイブリッドの利点は、燃費だけではなく、静粛性や高級感にもあります。新型ステップワゴンも例に漏れず、ハイブリッドの方が静かなのはもちろん、同じタイヤサイズでも乗り心地もガソリン車よりも上質かつフラットライド感を堪能できます。

ハイブリッドは、ガソリンエンジン車よりも100kg重いことに加えて、シャーシの担当者もハイブリッドの方がより乗り心地がいいという傾向にあることを認めています。とはいえ、ガソリンエンジン車も乗り比べると分かる程度の差であり、逆に軽快感のある走りは、ガソリンエンジン車に乗り慣れている人にとって好ましく感じられるはずです。

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ガソリンエンジン車の走行シーン

ガソリンエンジン車の1.5Lターボは、エキゾーストポートやタービン、コンプレッサーが改良され、ターボの過給応答性が高まったことで、よりターボラグが小さくなり、気持ちのいい加速フィールを実現しています。同時に、低速域からしっかりとトルクが出ていて街中でも走らせやすく、高速域のレスポンスやパンチ力も十分に感じられます。

ハンドリングも背の高いミニバンであることを感じさせない素直なもので、高速域でのコーナリング時などにロール自体は当然許すものの、ロール剛性そのものは十分に高く、それでありながら、ガチガチの足まわりにはなっていません。

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オットマンを備えるキャプテンシート(スパーダ以上に標準装備)

ノア/ヴォクシーよりも若干硬めに感じられますが、多人数ミニバンとして十分に快適なチューニングといえそうです。ノア、ヴォクシーと比べると、初期受注の差ほど商品力や仕上がりに差はなく、走りの良さや、3列目の座り心地も含め、2列目以降の広さもステップワゴンが上回っている印象を受けます。

(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)

この記事の著者

塚田勝弘

塚田勝弘 近影
1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。クルマ、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。